簿記2級の連結タイムテーブル|配当ありの記入例と空欄テンプレート

簿記2級の連結タイムテーブル 時間と数字をつなぐ
連結タイムテーブルは、子会社の純資産・利益・配当とのれんを、同じ時間軸に置く下書きです。支配獲得日・当期首・当期末を先に決めると、開始仕訳に拾う数字と当期の修正を分けられます。配当ありの自作例題を2年分つなぎ、最後に空欄テンプレートで練習します。
この記事の目次

1. 書式を覚える前に「どの時点の数字か」を分ける

資料に出てくる利益剰余金は、すべて同じ意味ではありません。支配獲得時の残高は投資と資本を相殺する土台、当期首の残高は過年度分を引き継ぐ基準、当期末の残高は当期の利益・配当を反映した数字です。先に日付を置かずに金額を並べると、正しい計算でも使う欄を誤ります。

タイムテーブルの役割(横にスクロールできます)
表の上段 表の中段 表の下段
支配獲得日・各決算日 資本金・資本剰余金・利益剰余金 持分比率・非支配株主持分・のれん
何年目かを決める 当期純利益と配当をつなぐ 必要な残高・当期変動を取り出す

2. 配当ありの自作例題|まず資料を日付と変動に分解する

編集部作成の例題

P社は×1年3月31日、S社株式の80%を1,320で取得して支配を獲得しました。S社の支配獲得時の純資産は、資本金1,000・資本剰余金200・利益剰余金300です。×1年4月1日〜×2年3月31日を連結第1年度、×2年4月1日〜×3年3月31日を連結第2年度とします。

第1年度のS社当期純利益は240、配当総額は100。第2年度のS社当期純利益は300、配当総額は120です。配当はそれぞれ当該年度中に行い、他の純資産変動はありません。

この問題のポイントは、配当が「親会社の受取額」ではなく「子会社の配当総額」で与えられていることです。S社の利益剰余金を動かす段階では100・120を全額引きます。80%・20%に分けるのは、その次の段階です。

また、×1年3月31日は取得日です。その翌日から第1年度が始まるため、×2年3月31日は第1年度末かつ第2年度開始直前の時点になります。「取得した暦年」と「連結第何年度」を混同しないよう、期間も書き込みましょう。

3. 2年分のタイムテーブルを埋める|利益剰余金・持分・のれん

図は横にスクロールできます。

支配獲得日から2年目末までの時間軸×1/3/31 取得日×2/3/31 第1年度末×3/3/31 第2年度末利益剰余金 300利益剰余金 440利益剰余金 620非支配持分 300非支配持分 328非支配持分 364のれん 120のれん 108のれん 96→→
第2年度の開始仕訳は、中央の「第1年度末」の残高から拾います。単位:千円。編集部作成。

① 支配獲得時の純資産と、のれんを出す

S社純資産:1,000+200+300=1,500
親会社持分:1,500×80%=1,200
のれん:取得原価1,320−1,200=120
非支配株主持分:1,500×20%=300

ここで投資額1,320に20%を掛けると、非支配株主持分を誤ります。この基礎例では、S社の純資産1,500を持分比率で分けます。のれん120は毎年度12ずつ償却します。

② 子会社個別の利益剰余金をつなぐ

第1年度末は300+240−100=440。第2年度末は440+300−120=620です。この段階でのれん償却12を引きません。子会社の個別残高をつなぐ段と、連結上の修正を追う段を分けるのが重要です。

自作例題の完成タイムテーブル(横にスクロールできます)
項目/単位:千円 ×1/3/31 支配獲得 ×2/3/31 第1年度末 ×3/3/31 第2年度末
資本金 1,000 1,000 1,000
資本剰余金 200 200 200
S社個別の利益剰余金 300 440 620
当該年度のS社純利益 ― +240 +300
当該年度のS社配当総額 ― −100 −120
S社純資産合計 1,500 1,640 1,820
非支配株主持分(20%) 300 328 364
のれん未償却残高 120 108 96

③ 非支配株主持分は「残高」と「変動」の両方で検算する

第1年度末は1,640×20%=328。別の経路では300+240×20%−100×20%=328です。第2年度末も、328+300×20%−120×20%=364と一致します。この例では他の連結調整がないため、S社純資産に20%を掛ける方法が使えます。

のれんは120→108→96と減ります。のれん償却を非支配株主持分から引かないことにも注意してください。この例ののれんは、親会社の投資額と親会社持分の差額です。

4. 完成した表から、開始仕訳と当期の修正に使う数字を拾う

連結第2年度を解くなら、開始時点として読むのは×2年3月31日の列です。×3年3月31日の列を開始仕訳へ持っていくと、当期の利益や配当を先取りしてしまいます。

開始残高と当期変動を区別(横にスクロールできます)
用途 拾う金額 理由
第2年度開始時の非支配株主持分 328 前期末の残高を引き継ぐ
第2年度開始時ののれん 108 第1年度の償却12を反映済み
第2年度の非支配株主への利益振替 300×20%=60 当期利益から計算
第2年度の非支配株主に係る配当 120×20%=24 当期配当から計算
第2年度ののれん償却 120÷10=12 取得時ののれんと償却期間から計算

基礎的な投資と資本の相殺等をまとめた、第2年度の開始仕訳は次のとおりです。勘定科目名は問題の指定に合わせます。

タイムテーブルから作る開始仕訳(横にスクロールできます)
借方科目 金額 貸方科目 金額
資本金当期首残高 1,000 S社株式 1,320
資本剰余金当期首残高 200 非支配株主持分当期首残高 328
利益剰余金当期首残高 340 ― ―
のれん 108 ― ―
借方合計 1,648 貸方合計 1,648

借方の利益剰余金340は、S社個別の前期末残高440をそのまま置く数字ではありません。この例では取得時300+第1年度の純増140×20%+過年度のれん償却12=340です。配当による調整も含めて過年度の連結修正を集約した金額になります。

同じ例を親会社側から検算すると、第1年度に増えたS社純資産140の80%からのれん償却12を引いて100。この「支配獲得後の連結利益剰余金への寄与」と、S社個別の利益剰余金440は別の数字です。開始仕訳の詳細を丸暗記する前に、表のどこから拾ったかを確認してください。

5. 数字が合わないときに確認する5か所

誤答の原因を数字で点検(横にスクロールできます)
誤り この例で起きること 戻る場所
配当100に先に80%を掛ける S社利益剰余金を460としてしまう 個別の利益剰余金には配当総額を反映
毎年の利益だけ20%を振り替える 配当による非支配持分の減少を忘れる 利益と配当を別行にする
S社利益剰余金からのれん償却を引く 個別残高と連結修正が混ざる のれんの行を独立させる
第2年度の開始に当期末を使う 非支配持分364、のれん96を先取り 当期首に縦の目印を付ける
未実現利益があっても表だけで終える 連結修正が不足する 資本連結の表とは別に成果連結を確認

タイムテーブルは連結会計の全処理を自動的に解く万能表ではありません。未実現利益や債権債務の相殺がある問題では、追加の修正が必要です。ここで示した「子会社純資産×20%」を、条件が違う問題へ無条件に使わないでください。

6. ノートに写して使える空欄テンプレート

まずは次の7行だけで十分です。表の上に持分比率、取得原価、のれん償却年数を付記し、利益・配当は列と列の間に書いても構いません。印刷する場合はブラウザの印刷機能を使えます。

空欄の連結タイムテーブル(横にスクロールできます)
記入項目 取得日:__ 前期末:__ 当期末:__
資本金 __ __ __
資本剰余金 __ __ __
S社個別利益剰余金 __ __ __
期間利益/配当 ― +__/−__ +__/−__
純資産合計 __ __ __
非支配株主持分 __ __ __
のれん残高 __ __ __

書き終わったら「前列+期間利益−配当=次列の利益剰余金」「前列の非支配持分+利益の20%−配当の20%=次列の非支配持分」「取得時ののれん−累計償却=未償却残高」の3方向で見直します。空欄を埋める作業より、関係式が合うことを重視しましょう。

7. 確認問題|利益ではなく損失が出たらどうなる?

自作の追加問題

第2年度末のS社利益剰余金620、非支配株主持分364、のれん96を引き継ぎます。第3年度のS社当期純損失は50、配当総額は40でした。持分比率・資本金等・のれんの償却条件は変わりません。第3年度末の①S社利益剰余金、②非支配株主持分、③のれん残高を求めてください。

第3年度の解答と検算を見る

①620−50−40=530。②364−50×20%−40×20%=346。純資産1,000+200+530=1,730、その20%も346で一致します。③96−12=84です。損失は利益剰余金と非支配株主持分を減らし、配当も別に減額します。のれん償却を損失50に混ぜないことがポイントです。

正解できたら、資料を見ずに「第3年度の開始時点はどの列か」を答えてみましょう。計算は合っても、残高を拾う年度が違えば答案に反映できません。損失でも同じ時間軸で考えられるかが、理解の確認になります。

8. タイムテーブルの使い方と、次に進む練習

タイムテーブルは必ず書くものですか?

答案の指定がなければ下書きの方法の一つです。単純な条件では仕訳を積み重ねる方法でも解けます。表を書くことで年度・配当・残高の取り違えが減るかを、同じ問題で比べて判断してください。

何分で書ければよいですか?

一律の合格基準はありません。まず正確な表を作り、次に読取り・転記・再計算のどこで止まるかを測ります。秒数だけを短くする練習より、同じ箇所で迷わない書き方を固めます。

次は、無料の模試・練習先で初見資料から表を作り、90分の時間配分の中に収まるかを確認しましょう。読み取りの段階で止まる人は、無料講義の使い方や質問を含めた学習支援の比較から、必要な支援だけを検討できます。

本記事の数値・空欄表は編集部の自作です。TAC掲載の問題・図の転載ではありません。2027年度は商業簿記の区分改定があるため、受験年度の教材と問題の条件を確認してください。

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簿記・会計資格を保有するメンバーによる編集部です。簿記の学習、税理士・公認会計士試験、資格を活かすキャリアについて情報を提供しています。制度や試験条件は公式案内を参照し、制度上の事実と編集部による学習上の提案を区別して解説します。

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