簿記2級のCVP分析|損益分岐点・安全余裕率を自作例題で解く

簿記2級のCVP分析と損益分岐点・安全余裕率の解説

簿記2級のCVP分析は、公式を一つずつ暗記するより、営業利益=売上高−変動費−固定費の一行から考えると、何を逆算する問題かが見えてきます。利益をゼロにすれば損益分岐点、目標額へ置き換えれば必要な売上高です。

この記事の目次

1. CVP分析は、費用・販売量・利益の関係を見る

CVPはCost(費用)、Volume(営業量)、Profit(利益)の関係を扱います。基本問題では、販売量や売上高が変わったときに、営業利益がどう変わるかを考えます。

この記事で使う自作例題の条件

製品1個の販売単価は2,000円、1個あたり変動費は1,200円、期間固定費は240,000円。現在の販売量は400個です。単一製品、期首・期末の仕掛品・製品在庫なし、販売単価と単位変動費は一定、固定費総額は検討する販売量の範囲内で変わらないとします。変動費には変動製造原価と変動販売費を含め、固定費には固定製造原価と固定販売費・一般管理費を含めた額が与えられています。

この前提を先に置くのは、費用が変わらない範囲を超えて販売量だけ増やすと、追加設備や人員などで固定費も変わる可能性があるためです。複数製品の販売構成が変わる場合も、単純に同じ貢献利益率を使い続けられるとは限りません。

また「直接費」と「変動費」は分類の軸が異なります。製品へ直接結び付くかという分類と、営業量に応じて総額が変わるかという分類を混ぜず、資料の費用条件を読みます。

2. 貢献利益は、固定費を回収して利益を残す部分

1個売るたびに売上2,000円が増えますが、変動費も1,200円増えます。残る800円が1個あたり貢献利益です。これがまず固定費240,000円の回収に充てられ、その後が営業利益になります。

変動費率:1,200 ÷ 2,000 = 0.6(60%)
貢献利益率:800 ÷ 2,000 = 0.4(40%)
確認:60% + 40% = 100%
現在400個を販売する自作例(横にスクロールできます)
項目 計算 金額
売上高 2,000×400 800,000円
変動費 1,200×400 480,000円
貢献利益 800,000−480,000 320,000円
固定費 期間の一定額 240,000円
営業利益 320,000−240,000 80,000円

貢献利益320,000円を最終利益としない点が大切です。固定費が差し引かれる前の段階なので、ここから240,000円を引きます。変動製造原価だけを引いた途中段階を問う資料では、変動販売費も引いた貢献利益と区別しましょう。

3. 損益分岐点は、営業利益をゼロにして求める

売上高から求める方法

売上高をSと置けば、変動費は0.6S、貢献利益は0.4Sです。営業利益がゼロになる条件は、0.4S−240,000=0。したがって、S=600,000円です。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 貢献利益率
240,000 ÷ 0.4 = 600,000円

販売数量から求める方法

1個あたり800円で固定費を回収するなら、240,000÷800=300個が損益分岐点販売量です。300個×2,000円=600,000円なので、売上高からの計算とも一致します。

図は横にスクロールできます。

自作例の損益分岐図表横軸は売上高、縦軸は費用と収益、単位万円。売上高の線は原点から、総費用の線は固定費24万円から始まり、売上高60万円、総費用60万円で交差する。費用・収益(万円)売上高(万円)0246012060120売上高の線総費用の線損益分岐点60万円・300個固定費24万円から始まる

総費用=240,000円+売上高×60%。交点より右では売上高が総費用を上回り、左では下回ります。この図は例題の一定の費用条件を表しています。

検算では600,000−360,000−240,000=0を確認します。固定費を変動費率0.6で割ると400,000円になりますが、その売上高では営業利益が−80,000円となり、損益分岐点にはなりません。

4. 目標利益と目標営業利益率は、別の式で逆算する

目標営業利益が「金額」で与えられる場合

営業利益160,000円が目標なら、貢献利益で固定費240,000円と利益160,000円の合計400,000円を賄います。

目標利益を達成する売上高
=(固定費 + 目標営業利益)÷ 貢献利益率
=(240,000 + 160,000)÷ 0.4 = 1,000,000円
販売量:1,000,000 ÷ 2,000 = 500個

500個なら貢献利益800×500=400,000円、固定費を引いて160,000円です。現在の利益80,000円から目標へ80,000円増やすには、追加販売100個×単位貢献利益800円という見方でも確認できます。

目標営業利益率が「売上高の20%」の場合

ここでは利益額が売上高Sの0.2Sになります。固定費に、現在売上高800,000円の20%を足して終わりにしないでください。求める売上高自身に対する率です。

0.4S − 240,000 = 0.2S
(0.4 − 0.2)S = 240,000
S = 240,000 ÷ 0.2 = 1,200,000円
検算:(1,200,000×0.4−240,000)÷1,200,000=20%

固定費が正の値で、この費用条件が続くなら、目標営業利益率は貢献利益率40%より低い範囲で考えます。両者が同じ、または目標率の方が大きい場合は、同じ前提のまま有限の売上高を増やすだけでは達成できません。

5. 安全余裕率は、現在の売上高を分母にする

現在の売上高800,000円と損益分岐点売上高600,000円の差200,000円が、安全余裕額です。基本の安全余裕率は、この差を現在の売上高で割ります。予算売上高に対して求める指定なら、その予算額を基準にします。

安全余裕率
=(現在の売上高 − 損益分岐点売上高)÷ 現在の売上高
=(800,000 − 600,000)÷ 800,000 = 25%
損益分岐点比率:600,000 ÷ 800,000 = 75%
確認:25% + 75% = 100%

分母を600,000円にして33.33…%とすると、損益分岐点から何%上回っているかという別の比較になります。「現在の売上高から何%下がると損益分岐点へ届くか」と問い直すと、分母の意味を確認できます。

この例の25%は、販売単価・単位変動費・固定費が変わらないという前提の計算です。実際の経営で25%の売上減なら必ず問題ない、と広げるものではありません。原価構造や販売構成が変わる設問では、条件を更新して計算し直します。

6. 値下げ後は、単位貢献利益から計算し直す

販売単価を2,000円から1,800円へ下げ、単位変動費1,200円と固定費240,000円は変わらない場合を考えます。値下げによる需要増は仮定せず、必要な販売量だけを計算する自作例です。

同じ400個を販売する場合の比較(横にスクロールできます)
項目 値下げ前 値下げ後
販売単価 2,000円 1,800円
単位変動費 1,200円 1,200円
単位貢献利益 800円 600円
貢献利益率 40% 600÷1,800=1/3
営業利益 80,000円 0円

値下げ後も元の40%を使うと、必要売上高を過少に見積もります。元の営業利益80,000円を維持するためには、固定費と目標利益の合計320,000円を、1個600円で回収する必要があります。

必要販売量:(240,000 + 80,000)÷ 600 = 533.333…個
整数個だけ販売できるなら、少なくとも534個
534個の利益:600×534−240,000=80,400円
533個の利益:600×533−240,000=79,800円

「以上」を満たす整数個数なら切り上げます。小数の販売量を許す抽象的な計算か、売上高の丸めを問うのかは設問によります。端数処理は指定を読み、貢献利益率1/3を途中で33%へ丸めて誤差を増やさないようにしましょう。

7. よくある誤答は、単位・分母・費用条件から点検する

誤答の原因と確認する式(横にスクロールできます)
誤り なぜ違うか 直す場所
固定費÷変動費率 固定費を回収するのは貢献利益 売上高から変動費を引く
40%を40で入力 百分率と小数が違う 40%=0.4と記す
目標利益を売上高へ直接足す 追加売上にも変動費が発生する 固定費+目標利益を回収する
安全余裕率の分母が損益分岐点 比較の基準が違う 現在・予算の指定された売上高
値下げ後も同じ利益率 単位貢献利益が変わる 新しい単価と変動費で再計算

下書きには、まず「円・万円・個」の単位をそろえ、次に売上高→変動費→貢献利益→固定費→営業利益の順に五行を置きます。求めた売上高を代入し、ゼロ・目標額・目標率のどれを満たすかを確認するまでを一組にしましょう。

総費用から変動費と固定費を分ける資料が与えられる場合は、その分解が先です。高低点法なら操業度の高低を使い、費用総額の最大・最小だけで組み合わせない点を、教材で確認してください。

8. 自作問題で、公式を選ぶ理由まで再現する

自作確認問題

販売単価1,500円、単位変動費900円、固定費180,000円、現在販売量400個とする。単一製品・在庫なし・費用条件一定です。①損益分岐点売上高、②営業利益120,000円を達成する販売量、③現在の安全余裕率を求めてください。

確認問題の解答・検算を開く

単位貢献利益600円、貢献利益率40%です。①180,000÷0.4=450,000円。②(180,000+120,000)÷600=500個。③現在売上高600,000円なので、(600,000−450,000)÷600,000=25%です。

①450,000−270,000−180,000=0。②600×500−180,000=120,000。③安全余裕額150,000円を現在売上高600,000円で割ったかを確認します。

利益計画以前に費用の分類で止まる方は工業簿記の苦手原因別ガイドへ戻ってください。実際原価と標準原価の比較は標準原価計算の差異分析で扱っています。CVPは営業量に応じた利益計画、標準原価計算は標準と実際の原価差異という、問題で求める役割を区別しましょう。

解き方が再現できたら、模試の結果から復習する手順で混合演習へ進みます。分からない式を増やしたまま時間だけ測らず、まず一行の利益式を書けるかを確認してください。

About 会計資格ドットコム・編集部

簿記・会計資格を保有するメンバーによる編集部です。簿記の学習、税理士・公認会計士試験、資格を活かすキャリアについて情報を提供しています。制度や試験条件は公式案内を参照し、制度上の事実と編集部による学習上の提案を区別して解説します。

View all posts by 会計資格ドットコム・編集部 →