簿記2級の模試を探すなら、まず「90分の通し演習」「ネット試験の操作」「苦手論点の確認」のどれをしたいかを決めましょう。無料でも目的に合う練習先はありますが、PDFのサンプル問題と、入力して採点するネット模試は別のものです。
この記事では、公式・提供元の案内で確認できる練習先を、費用と登録条件で整理します。後半では、模試の点数が上がらないときに、次の一回をどう変えるかを具体例で説明します。
この記事の目次
1. 簿記2級の模試は、目的から練習先を選ぶ
- 出題の形を知りたい:日本商工会議所のサンプル問題から確認する。
- 本番に向けて通しで解きたい:90分で取り組める2級模試を選ぶ。
- ネット試験の入力が不安:PCで解答する形式を選び、操作も含めて測る。
- 一つの論点で毎回止まる:次の模試を増やす前に、その論点の個別問題へ戻る。
ネット試験の2級は90分で、出題形式は選択式・入力式5題以内と案内されています。民間の模試の画面・採点箇所・配点が、本試験と完全に同じという意味ではありません。出典:商工会議所のネット試験案内。
2. 無料模試・サンプル問題を、登録条件で比べる
以下は2026年11月1日に確認した提供元の公開案内をもとにした比較です。利用するときは、実際の案内画面で対象年度・端末・登録項目を確認してください。
| 練習先 | 無料で確認できる内容 | 登録・利用条件 | 向く目的 |
|---|---|---|---|
| 日本商工会議所 | 2級の大問別サンプル問題・答案用紙PDF | 公開ページから閲覧。解答は別の教育機関の案内へ | 実際に出題された問題の一部から形式を知る |
| CPAラーニング | 講義・教材と、ネット/統一試験対応の模試を案内 | 利用登録。登録30日後の継続にはアンケート回答が必要 | 模試と、対応する講義・教材の復習を組み合わせる |
| ネットスクール | 2級・3級それぞれ全3回のネット模試と解説動画 | 氏名・メール等の入力、アンケート、お知らせメール受信への同意が必要 | PCでの解答・採点と、動画による復習 |
| TACの2級案内 | 公開の模擬問題・解説と日商サンプルの解答。登録特典にネット模試1回分 | 公開部分と、無料登録が必要な特典を分けて確認 | まず公開問題を確認し、必要に応じてネット形式も試す |
日商サンプルは、90分模試のセットと決めつけない
日商2級サンプルは、第1問〜第5問などの区分で、問題と答案用紙が掲載されています。過去の試験一回分を、そのまま公開した模試集として扱わないでください。問題・答案の無断転載をせず、公式ページで確認します。
解答を確認するときは、日商の案内ページからTAC・ネットスクールの解答へ進めます。これらは各社独自の作成で、日商公式の解答ではありません。ネットスクールの2級サンプル解説はメール登録が必要との案内があります。
「無料」と「登録不要」は別の条件
ネットスクールは、お知らせメールの受信同意を無料利用の条件にしています。また、採点は同社の予想に基づくもので、本試験の配点を保証しないと説明しています。登録なしで始めたい場合は、表の公開PDFなどから確認するほうが条件に合います。
CPAラーニングの教材・質問制約を含む使い方は、CPAラーニングの評判と注意点へまとめています。利用回数の制限と、異なる問題の種類数は区別し、同じ問題を繰り返して得た高得点を初見の結果と混ぜないでください。
日商のサンプル案内には、別に「公認模擬試験サイト(有料)」へのリンクがあります。公式ページから案内されていても、すべてが無料という意味ではありません。古い無料教材も、制限時間・出題範囲を見てから使います。2時間形式の教材を、現在の90分模試と同じ条件で比較しないようにしましょう。
3. 模試を始める時期と、90分を測る前の準備
基本講義をすべて見終えるまで、一切問題に触れない必要はありません。早い段階で形式を確認し、何ができるようになる必要があるかを知る使い方はできます。ただ、未学習が多い状態の点数を、直前期の準備状況と同じ尺度で受け止めないでください。
通し演習を学習の軸に置くのは、商業簿記と工業簿記の主要範囲に触れ、基本問題を一通り使えるようになってからが一つの目安です。模試のために教材を急いで読み飛ばすより、解き終わった後に戻る場所を持っておきましょう。
- 日商2級用で、受験する年度の範囲に合っているか確認する。
- 初めての問題か、過去に解答を見た問題かを記録する。
- 電卓・計算用紙を用意し、ネット形式ならPCと入力環境を確認する。
- 中断しない90分と、その後の復習時間を確保する。
- 途中で解説を開かず、90分終了時点の答案を残す。
2026年度(2027年3月31日まで)と2027年度以降では、適用する商業簿記の出題区分表が異なります。年度をまたいで準備する方は日商の出題区分表と教材の対応状況を確かめてください。
中断や通信トラブルがあった場合は、その事情も残します。家事の合間にタイマーを止めた結果を、90分の通し演習と同じ記録にしないことが大切です。解く順番や見直しの分数は、簿記2級の時間配分で具体例を紹介しています。
4. 採点後は、合計点以外に5つ記録する
採点して点数を見たら、次の模試を開く前に答案を残します。解答をまだ見ずに延長して解けるかを確かめると、「時間をかければできる処理」と「知識が足りない処理」を分ける手がかりになります。延長中の正解は、90分の得点に足しません。
| 項目 | 記録例 | 使い道 |
|---|---|---|
| 時間内の得点・着手状況 | 57点、商業の一部が未着手 | 本番条件の結果を残す |
| 問題別の所要時間 | 連結の資料整理で長く停止 | どこで進まなくなったか特定する |
| 誤りの原因 | 知識/資料/計算/転記/時間 | 復習の方法を変える |
| 延長・解説後の変化 | 延長では解けず、解説で根拠を理解 | 速度の問題か、理解の問題かを調べる |
| 次回変える動作 | 期首と当期の資料を欄で分ける | 次の一回で改善を確かめる |
表の点数は説明用の仮想例です。失点を複数の原因へ重複計上すると優先順位が分かりにくくなります。まず主な原因を一つ決め、補足として「時間不足もあった」と書く形にすると整理できます。
計測用の欄が必要な方は、編集部作成の再受験・90分演習の記録シート(無料PDF・2ページ)の2ページ目を使えます。登録不要で、個人学習用に印刷できます。
5. 模試の点数が上がらないときの、原因別の復習
点数は入口に使い、復習内容は答案で決めます。次の得点帯は編集部の整理例で、合格に必要な日数や受験可否を判定する基準ではありません。
| 時間内の結果 | 最初に確認すること | 次の練習 |
|---|---|---|
| 49点以下 | 未学習範囲と、基本処理の誤答が多くないか | 大きく失点した単元を基本問題へ戻す。模試の連続受験を一度止める |
| 50〜69点 | 特定単元、未着手、入力など、失点が偏っていないか | 失点原因を二つ程度に絞り、修正後に別の初見模試を解く |
| 70点以上 | 解答を覚えた問題でないか、理由が曖昧な正解はないか | 初見の別問題と受験方式に近い環境で再現性を確認する |
同じ65点でも、次の勉強は変わる
仮に35点の失点のうち、Aさんは知識25点・操作5点・時間5点、Bさんは知識5点・操作5点・時間25点だったとします。これは各模試の配点を使って整理した仮想例で、本試験の非公開の採点を推測したものではありません。
Aさんは解く順番だけを変えても、知識の穴が残ります。Bさんは未着手部分を延長で解けるか、基本処理を思い出すのに時間がかかっていないかを見ます。「時間不足」という名前だけで、理解の問題がないとは言えません。どちらも35点すべてを次回取り戻せるという予測ではありません。
解き直すと90点、初見だと60点になる場合
同じ問題では「次にこの計算をする」と覚えているため、資料を探す工程が短くなることがあります。復習が無意味なのではなく、処理を定着させる練習と、初見で判断する確認の役割が違うのです。記録には初見・再演習を必ず分けます。
同じ答案を白紙から再現した後は、数字だけでなく条件の違う問題を一つ解きます。たとえば減価償却なら月数、工業簿記なら数量と単価の条件を読み直し、解答の数字ではなく判断手順を使えるか確かめましょう。
6. 自作例題で、誤答の直し方を練習する
次は編集部作成の小問です。本試験の問題・難易度・配点を再現するものではありません。正誤だけでなく、どの数量を使うかを説明してください。
製品1個の標準直接材料消費量は2kg、標準価格は1kg当たり300円。当月は製品100個を完成し、実際材料消費量210kg、実際消費価格は1kg当たり310円だった。期首・期末仕掛品はなく、仕損等もない。材料価格差異は実際消費量を用いて分析する。
①実際消費額と標準原価の差、②価格差異、③数量差異を、有利・不利も含めて求めなさい。
解答と、数量を取り違えない確認を開く
標準原価:200kg × 300円 = 60,000円
実際消費額:210kg × 310円 = 65,100円
① 合計差異:5,100円の不利差異
② 価格差異:(310 − 300)× 210 = 2,100円の不利差異
③ 数量差異:(210 − 200)× 300 = 3,000円の不利差異
価格は標準より高く、数量も標準より多いため、どちらも不利です。ここでは不利差異の大きさを正数で表示しています。差異の符号は教材や答案の指示に合わせます。
検算:2,100+3,000=5,100円。価格差異に標準消費量200kgを使って2,000円とした場合は、「単価が違った実際消費量210kg」に戻ります。単に差異の式を再暗記するより、数字の役割を下書きで分けましょう。
この例で計算は合うのに有利・不利を逆にしたなら、次回は「標準より多く使ったか、高く消費したか」を先に確認します。問題の読み違いなら線を引く対象を、計算の誤りなら検算を変えます。誤答の種類に応じて、修正する動作も変えるのが復習です。
7. 次の模試までに、直す課題を絞る
たとえば一週間を使うなら、最初に模試と原因整理、次に優先単元の個別問題、その翌日に解き直しを行い、後半に別の模試で確かめる計画が考えられます。日数は生活と課題の量に合わせて調整します。模試だけで毎日90分を埋めず、解説と基本問題へ戻る時間も予定に入れてください。
次の初見模試では、合計点に加え、「前回と同じ誤りが減ったか」「まだ触れられなかった問題が減ったか」を見ます。問題の難しさが違えば点数は上下するので、一回の増減だけから教材や勉強法の良し悪しを断定しません。
解説を読んでも理解できず、同じ疑問が残る場合は、当サイトの無料講座目次から該当単元を確認できます。講義や質問支援を追加したいときは、無料・通信講座の比較へ進み、必要な支援が受けられるかを確認しましょう。再受験の予約を含む立て直しは不合格後の学習計画で扱います。
8. 簿記2級の模試に関するよくある疑問
模試で何点なら、本番を受けてもよいですか?
本試験の合格基準は70%以上ですが、民間模試一回の点数から合格は保証できません。初見か、時間内か、理由が曖昧な正解がないかを確認し、複数の結果と学習状況から考えます。
模試のほうが本試験より難しいのですか?
提供元や回によります。すべての模試が本試験より難しいという前提で、低い点数を一律に割り引かないでください。難易度の印象より、基本処理の誤りと未着手を確認するほうが次の勉強を決めやすくなります。
スマホだけでネット試験対策を終えられますか?
講義の復習には使えても、本番のPC操作まで同じように練習できるとは限りません。受験形式に合わせ、PCで資料を読み、入力し、計算用紙を使う練習も行いましょう。
無料模試を全部解けば十分ですか?
回数だけでは判断できません。間違いを解決せずに全回を消費すると、初見で確認できる問題が減ります。一回の復習を終え、変更した動作を別問題で試す使い方を勧めます。



