簿記2級の時間配分は?90分の解く順番・見切りと見直しを具体例で解説

簿記2級の時間配分。90分の解く順番と見直しのコツを紹介する記事

簿記2級で時間が足りないとき、「計算を速くする」だけでは解決しないことがあります。一つの問題で止まり続けたり、未確定の数字を何度も計算し直したりすると、解ける問題へ進む時間がなくなるからです。

この記事では、90分の配分・解く順番・保留・見直しを一つの流れで考えます。最初に配分例を示したうえで、自分の演習記録から直す方法と、時間を測れるオリジナルのミニ問題を用意しました。

配分の軸は、解ける問題を先に進め、止まる時間に区切りを付け、戻る時間を残すこと。固定の順番を守ることより、得点と未着手がどう変わったかを見て調整しましょう。
この記事の目次

1. 90分の時間配分は、まず見直しを残して考える

日商簿記2級の試験時間は90分、合格基準は70点以上です。ただし、70点を目指すことと、最初から特定の大問を丸ごと諦めることは別です。どの問題で基本部分を処理できるか、実際の資料を見て判断します。

以下は、仕訳・商業簿記・工業簿記の5大問を使う練習問題を想定した編集部の配分例です。出題の構成や指示は実際の問題で確認してください。公式が指定した配分ではありません。

90分の配分例:仕訳から始める場合(横にスクロールできます)
順番・取り組むもの 配分例 開始からの経過時間 ここで見ること
全体の構成を確認 3分 3分 要求、資料量、先に処理できそうな項目
仕訳(第1問を想定) 12分 15分 条件と勘定科目、入力の確定
工業簿記A(第4問を想定) 12分 27分 数量・単価・金額を分けて下書き
工業簿記B(第5問を想定) 13分 40分 解法が明確な項目から処理
商業簿記A(第2問を想定) 18分 58分 資料の対応、前後の残高
商業簿記B(第3問を想定) 24分 82分 独立して解ける箇所を先に拾う
見直し・保留へ戻る 8分 90分 入力漏れ、符号、桁、戻る問題を選ぶ
15分:仕訳まで40分:工業まで58分:商業Aまで82分:いったん一周残り8分:確認と保留

配分は合計90分です。得意な分野を短く終えられるなら、時間を他の項目へ回せます。ただし、一回だけ速く解けた結果で予定を詰めず、初見の演習で繰り返し確認しましょう。

2. 解く順番は、仕訳先行と工業先行を試す

仕訳から始める場合

短い資料で一問ずつ処理できる問題から入りたい人は、仕訳→工業→商業という順を試せます。一つの仕訳で迷っても、その問題だけを保留し、次へ進めることが大切です。仕訳だから必ず簡単、という前提は置きません。

工業簿記から始める場合

工業の基本処理が安定している人なら、全体確認3分→工業A12分→工業B13分→仕訳12分とし、開始40分でそこまで進む例もあります。後半の商業18分・24分、見直し8分を足すと、同じく90分です。

工業が得意かどうかは、気分ではなく、初見問題の正確性と所要時間で判断します。毎回そこで止まっているのに、「工業からなら点が取れるはず」と順番だけを固定しないでください。

どちらを選んでも、一つの不明処理が全体を止めないようにします。とくに総合問題では、資料の一部だけで出せる金額と、他の処理結果が必要な金額を分けてください。

3. 時間切れを防ぐ、保留と切り上げの基準

切り上げるか迷ったら、今の状態を「進んでいる計算」と「根拠が分からず止まっている時間」に分けます。計算が進んでいる途中で機械的に切り上げるより、同じ条件を読んでも前進しないときに区切るほうが調整しやすくなります。

保留して戻るための短いメモ(横にスクロールできます)
止まった状態 その場で残すメモ 次の行動
どの処理を使うか分からない 不明な条件・資料番号 独立して解ける別項目へ進む
式は決まったが計算が長い 途中結果と、残る計算 予定時間と残りの作業を見て判断
集計が一致しない 最後に一致した残高・未確認項目 全て消してやり直す前に、差の原因を分ける
入力や転記に不安がある 見直す欄・単位・符号 入力した状態を確認し、再確認対象を絞る

練習の仮ルールとして、「同じ箇所で2分ほど進展がなければ一度保留する」などを試せます。この分数は公式の推奨ではありません。急いで飛ばしたための失点と、止まり過ぎによる未着手の両方を見て直してください。

保留のメモの例

「難しい」とだけ書くより、「月末残高の対象が不明」「売上の未処理を反映する前」「数量は確定、単価を計算中」と残します。戻ったときに最初から資料を読み直す負担を減らすためです。

試験では、答案欄や計算用紙の使い方など、その場の指示に従います。自分用の練習でも、未確定の数字を確定した数字と同じ書き方で混ぜないようにしましょう。

4. 最後の見直しは、間違いやすい箇所から

見直しを「全部をもう一度計算する時間」にすると、残り数分では足りません。まずは短い確認で気づける誤りから見ます。

確認の優先順の例

  1. 入力漏れ・転記先:計算済みなのに答案へ反映していない欄はないか。
  2. 桁・符号・単位:円と千円、数量と金額、差引方向を取り違えていないか。
  3. 条件:月数、対象残高、期首と期末など、読み違えやすい指示はないか。
  4. 保留問題:少ない追加作業で完成できる項目から戻る。

正しい答えを根拠なく変更するより、途中式や資料と一致していない箇所がないかを探します。たとえば原価の集計なら、製造した原価と売れた製品の原価を取り違えていないかなど、誤りの原因を決めて確認すると、限られた時間を使いやすくなります。

ネット試験を受ける場合は、計算だけでなく画面の資料確認や入力まで含めて練習します。使い慣れていない操作の時間を、計算時間から消してしまわないことが大切です。

5. 90分演習の記録から、配分を調整する

毎回「時間が足りなかった」とだけ残すのでは、次の配分を変えられません。予定・実際の所要時間・保留理由・得点を分けます。時間内の答案を残し、延長して解いた部分は色を変えるなどして区別してください。

演習記録から配分を直す(横にスクロールできます)
記録するもの 使い方
予定と実際の時間 どこに時間が寄ったかを確認する。予想より長かった理由も残す
時間内の得点 順番や切り上げによって、取りこぼしが減ったかを見る
延長後に解けた箇所 知識は使えるが時間が足りなかった可能性を調べる
解説を見て初めて分かった箇所 速度だけでなく、理解や判断を補う必要がある論点として戻す
次回変える動作 「仕訳の一問で止まらない」など、変更点を一つに絞る
演習結果の読み方の仮想例

90分で64点、20分延長すると78点だったとします。延長中に何を解けたかを見れば、時間配分の改善余地を探せます。ただし、その14点がすべて順番だけで取り戻せるとは限りません。処理を思い出すのに長くかかったのなら、個別演習も必要です。

比較のために一度に全て変えず、着手順か保留の基準など、変更点を絞りましょう。結果がよかった回だけで判断せず、別の初見演習でも同じ動作を使えるかを確認します。

6. オリジナルのミニ問題で、迷った時間を測る

次の2問は編集部作成のミニ問題です。合計4分を練習用の目安にし、どこで判断が止まったかも残してください。本試験の難易度・配点・合格点を再現した問題ではありません。

問1:仕訳の判断(目安1分)

商品15,000円を仕入先へ返品し、その代金を買掛金から差し引くことになった。仕入時は掛仕入として記帳済みである。三分法、消費税は考慮しない。仕訳を示してください。

問2:CVPの計算(目安3分)

製品1個の販売価格2,000円、単位変動費1,200円、期間固定費240,000円とする。単価・単位変動費は販売数量によらず一定で、製造数量と販売数量は一致するものとする。①損益分岐点の販売数量、②その売上高、③400個販売時の営業利益を求めてください。

ミニ問題の解答と、時間がかかった理由の確認を開く

問1:返品で減る債務と、仕入を対応させる

(借)買掛金 15,000 /(貸)仕入 15,000

買掛金を減らす借方と、仕入の取消しの貸方を対応させます。現金を受け取る取引ではないため、現金勘定を使いません。

問2:まず単位当たり限界利益を出す

2,000 − 1,200 = 800円/個
① 240,000 ÷ 800 = 300個
② 300 × 2,000 = 600,000円
③ 400 × 800 − 240,000 = 80,000円

式を思い出すまで止まったのか、個数を求めた後に売上高へ直すところで迷ったのかを分けます。速さだけを追わず、単位当たり限界利益の「円/個」で固定費を割ると数量になる、という意味も確認しましょう。

ミニ問題の結果を次の練習へつなげる(横にスクロールできます)
解答後の記録 次にすること
4分内に正解し、理由も説明できた 同じ論点を含む別問題でも再現する
時間を延ばすと正解できた 止まった判断を一つに絞って練習する
解説を見ても根拠が曖昧だった 基礎の説明に戻り、式や仕訳の意味を整理する

7. 本番前の練習で、知識不足と操作不足を分ける

本番前は、初見の90分演習だけでなく、その復習を行う時間も確保します。試験問題を再現した情報に頼らず、市販の予想問題や公式サイトが紹介する教材など、利用できる問題を使いましょう。

処理は分かるのに操作で止まるなら、受験方式に合う入力・転記を練習します。処理自体が曖昧なら、順番の変更だけでは解消しません。簿記2級の得点別の立て直しで、知識・資料整理・時間・操作を分ける方法を紹介しています。

解説を読んでも疑問が解消しない場合は、講義や質問が必要かを考えます。無料・通信講座の比較へ進む前に、「どの問題の、どの説明が分からないか」を書いておくと、支援を選びやすくなります。スマホでの復習と筆記・PC演習の組合せを考える方は、スタディング簿記講座の教材と質問制度も確認できます。

8. 時間配分と解く順番についての疑問

第3問は最初から捨ててよいですか?

大問の番号だけで判断することは勧めません。難しい部分があっても、基本処理だけで答えられる項目がある場合があります。要求と資料を見て、独立して解ける部分から選びます。

工業簿記は必ず先に解いたほうがよいですか?

得意分野や演習結果によります。工業先行と仕訳先行を別の初見問題で試し、時間内の正確性と未着手がどう変わるかを見て選びましょう。

途中で予定より遅れたら、どう調整しますか?

一つの遅れを取り戻そうとして全部を急ぐより、今の計算が進んでいるか、保留できるかを判断します。まだ触れていない問題を確認する時間と、入力・転記の見直しを残すように調整します。

模試なら70点を超えるのに、本番では時間切れになります

同じ問題の解答を覚えていないか、途中でタイマーを止めていないか、資料確認や入力の時間を含めているかを確認してください。初見の条件と、受験方式に近い環境で測り直すことを勧めます。

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簿記・会計資格を保有するメンバーによる編集部です。簿記の学習、税理士・公認会計士試験、資格を活かすキャリアについて情報を提供しています。制度や試験条件は公式案内を参照し、制度上の事実と編集部による学習上の提案を区別して解説します。

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