簿記3級では単に「株式」や「公社債」として処理していた有価証券ですが、2級からは「保有する目的」によって4つのグループに分類し、処理方法がガラッと変わります。
今回は、そのうちの2つ、短期売買が目的の「売買目的有価証券」と、満期まで持つ「満期保有目的債券」について解説します。決算時の評価方法(時価か?原価か?)が最大のポイントです!
この記事でマスターすること
- ✔
保有目的による4つの分類を暗記する - ✔
売買目的有価証券の時価評価(評価損益)の仕訳 - ✔
満期保有目的債券の償却原価法(定額法)の計算と仕訳
1. 有価証券の4分類
まずは全体像をつかみましょう。簿記2級では、有価証券を以下の4つに分類します。
| 名称 | 目的 | 決算時の評価 |
|---|---|---|
| ① 売買目的有価証券 | 短期的な時価の変動で利益を得る | 時価法 |
| ② 満期保有目的債券 | 満期まで持ち続けて利息をもらう | 償却原価法 (or 原価法) |
| ③ 子会社・関連会社株式 | 他社を支配・影響を与える(次回解説) | 原価法 |
| ④ その他有価証券 | 上記以外のもの(長期保有など) | 時価法 |
今回は、表の上2つ(①と②)を詳しく見ていきます。
2. 売買目的有価証券
デイトレーダーのように「安く買って高く売る」ことを目的とした株式や債券です。
決算時の処理(時価評価)
売買目的有価証券は、いつでも売れるため、決算日の時価(市場価格)で貸借対照表に載せます。帳簿価額と時価の差額は、当期の利益(または損失)として処理します。
帳簿価額
1,000円
時価(決算日)
1,200円
差額 200円 = 有価証券評価益(収益)
仕訳例
問:決算において、売買目的で保有しているA社株式(帳簿価額1,000円)の時価は1,200円であった。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売買目的有価証券 | 200 | 有価証券評価益 | 200 |
※ 逆に値下がりした場合は、借方に「有価証券評価損(費用)」を計上し、貸方で資産を減らします。
3. 満期保有目的債券
「株式」は満期がないため、ここには含まれません。国債や社債などの「債券」を、満期までガチホ(長期保有)して利息をもらい続ける目的のものです。
満期まで持っていれば、途中で時価が下がっても関係なく、最終的に「額面金額」が返ってくるからです。そのため原則は「取得原価」のままにしておきます。
償却原価法とは?
原則は「取得原価」のままですが、「額面金額と取得価額に差がある場合」は調整が必要です。
例えば、「額面100円の社債を95円で買った」場合、満期には100円返ってきます。この差額5円は、実質的な「利息の先取り(調整)」と考えられます。
この差額を、満期までの期間で少しずつ帳簿価額に足していく方法を償却原価法といいます。
償却原価法のイメージ(定額法)
仕訳例:償却原価法(定額法)
問:X1年4月1日に、額面1,000円の社債を期間5年、金利調整の目的で950円で購入した。X2年3月31日(決算)の仕訳を行いなさい。
1. 差額を出す:1,000円(額面) - 950円(取得) = 50円
2. 1年分を計算:50円 ÷ 5年 = 10円
3. 10円だけ、社債の価値を増やす。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 満期保有目的債券 | 10 | 有価証券利息 | 10 |
※ 価値を増やす相手科目は、受取利息のような収益である「有価証券利息」を使います。
🚀 確認ミニクイズ
次の取引の勘定科目と金額を答えてください。
Q1. 売買目的で保有しているB社株式(帳簿価額500円)の決算時の時価は450円であった。借方の科目は?
Q2. 満期保有目的で、額面100円の国債を97円で購入した(償還期間3年)。金利調整差額と認められる場合、1年後の決算で計上される「有価証券利息」はいくら?
答えを見る(クリックして展開)
A1. 有価証券評価損(50円)
500円→450円に値下がりしたので、費用(損失)を計上します。
A2. 1円
差額3円 ÷ 3年 = 1円。(借)満期保有目的債券 1 (貸)有価証券利息 1
まとめ
今回は、有価証券の基本となる2つの分類について解説しました。
- 売買目的:決算ですぐ売るつもりで「時価」にする。差額は「評価損益」。
- 満期保有目的:ずっと持っているので原則「取得原価」。ただし、差額があれば「償却原価法」で調整し、相手は「有価証券利息」。
次回は、残りの2つ「子会社・関連会社株式」と「その他有価証券」です。特に「その他有価証券」は簿記2級独特の処理をするので、今回の内容と混同しないように整理しておきましょう!

