こんにちは!「スキマ時間で合格!日商簿記2級 攻略Web講座」へようこそ。
前回は、固定資産の「除却・廃棄・買換え」といった処分の処理をマスターしました。 今回は、同じ固定資産に関連する論点ですが、少し特殊な**「リース会計」**について解説します。
「リース=借りる」というイメージがありますよね? しかし、簿記2級の世界(特にファイナンス・リース)では、「借りているけれど、実質的には買ったのと同じ」とみなして処理をするのが最大のポイントです。
「なぜ借りているのに資産なの?」 「利子込み法と利子抜き法の違いは?」
このあたりの疑問をスッキリ解消し、試験で頻出のパターンを確実に得点源にしましょう!
今日のゴール
- 「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」の違いがわかる
- ファイナンス・リースは「売買処理(買ったこと)」にする理由を理解する
- 「利子込み法」と「利子抜き法」の仕訳の違いをマスターする
- リース資産独特の減価償却ルール(リース期間定額法)を覚える
1. リース会計の基本:2つのリース取引
企業がコピー機やパソコン、営業車などを導入する場合、現金一括で購入する以外に「リース契約」を結ぶことがよくあります。 簿記では、契約の内容によって、リースを大きく2つに分類します。
| 種類 | ファイナンス・リース取引 | オペレーティング・リース取引 |
|---|---|---|
| イメージ | 「分割払いでの購入」に近い | 単なる「レンタル(賃貸借)」 |
| 条件 |
|
ファイナンス・リース以外のもの |
| 会計処理 | 売買処理 (資産と負債に計上する) | 賃貸借処理 (支払家賃として処理) |
簿記2級でメインとなるのは、「ファイナンス・リース取引」です。 契約期間の途中でやめることができず(ノンキャンセラブル)、そのモノを使うためのコストを実質的に全額負担する(フルペイアウト)契約は、形は「賃貸借」でも、実態は「後払いで買った」のと同じですよね。
そのため、資産(リース資産)と負債(リース債務)として計上します。これを「売買処理」といいます。
2. 仕訳攻略:2つの方法を使い分ける!
ファイナンス・リース取引の処理には、リース料に含まれる「利息」をどう扱うかで2つの方法があります。 問題文の指示に従って使い分ける必要があります。
ケースA:利子込み法
リース料総額(元本+利息)をそのまま資産・負債の金額にする方法です。 計算が単純なので、まずはここから押さえましょう。
① 契約時(リース開始時) リース料の総額(200円×5年=1,000円)で、資産と負債を計上します。
| (借)リース資産 | 1,000 | (貸)リース債務 | 1,000 |
② リース料支払時 計上した「リース債務」を返済していきます。
| (借)リース債務 | 200 | (貸)現金預金 | 200 |
ケースB:利子抜き法
「リース資産」は本来の価値(現金購入価額)で記録し、リース料に含まれる利息部分は「支払利息」として処理する方法です。 原則的な処理方法であり、支払時の仕訳に注意が必要です。
① 契約時(リース開始時) 資産と負債は、利息を含まない「見積現金購入価額」で計上します。
| (借)リース資産 | 950 | (貸)リース債務 | 950 |
② リース料支払時(★重要) 支払額200円のうち、19円は「利息」、残りが「元本の返済」です。
| (借)リース債務(借)支払利息 | 18119 | (貸)現金預金 | 200 |
※ 200円 - 19円 = 181円(リース債務の減少)
3. 決算時の処理:リース資産の減価償却
ファイナンス・リース取引で計上した「リース資産」も、決算で減価償却を行います。 ただし、計算方法に特別なルールがあります。
リース期間定額法
通常の固定資産とは異なり、以下の条件で計算します。
- 耐用年数 ⇒ リース期間とする
- 残存価額 ⇒ ゼロとする
【減価償却費の計算(利子込み法の例)】 取得原価 1,000円 ÷ リース期間 5年 = 200円
| (借)減価償却費 | 200 | (貸)減価償却累計額 | 200 |
【注意点】
問題文に「所有権移転ファイナンス・リース」(契約後に自分のものになる契約)と書かれている場合は、通常の固定資産と同じように「経済的耐用年数」で計算しますが、2級の試験では9割以上が「所有権移転外(自分のものにならない)」が出題されます。
基本は「リース期間で割る」「残存価額ゼロ」と覚えておけばOKです!
POINTまとめ
- ファイナンス・リース取引は、中途解約不可・フルペイアウトの契約。「売買処理」を行う。
- オペレーティング・リース取引は、単なる賃貸借。「賃貸借処理(支払家賃)」を行う。
- 利子込み法:リース料総額で計上。支払時は「リース債務」を減らすだけ。
- 利子抜き法:現金購入価額で計上。支払時は利息分を「支払利息」とする。
- 減価償却は、原則として「リース期間」で、残存価額「ゼロ」で計算する(リース期間定額法)。
確認ミニクイズ
今回の内容を定着させましょう!
- フルペイアウト(コストを全額負担)
- キャッシュレス(現金を使わない)
- ショートターム(短期契約)
答えを見る
- 「リース債務」のみ
- 「支払家賃」のみ
- 「リース債務」と「支払利息」
答えを見る
次回は、目に見えないけれど価値がある「無形固定資産」について解説します。 「のれん」って聞いたことありますか?美味しいお店の暖簾…ではなく、M&Aなどで登場する超重要勘定科目です!お楽しみに。

