「英語を使ってバリバリ働きたいから、とりあえずBig4税理士法人」 もしあなたがこのように考えているなら、少し立ち止まってください。
確かにBig4は国際税務のメジャーリーグですが、あなたのキャリアゴールによっては、「あえて地場(中堅)の国際会計事務所」を選んだ方が、市場価値の高い税理士になれる可能性があります。
添付資料の分析に基づき、Big4と地場事務所の決定的な違いと、2026年の税制環境下で本当に求められる「英語力以上のスキル」について、実務ベースで比較・解説します。
⚖️ この記事で比較する「2つの国際税務」
- ✔ Big4のリアル:「移転価格」や「組織再編」のスペシャリストを目指すなら一択
- ✔ 地場事務所の強み:「インボイス輸出免税」や「国際相続」など、個人の一生に寄り添うゼネラリスト
- ✔ 英語より大切なこと:2026年米国税制改正(OBBBA)を読み解く「原文リサーチ力と翻訳力」
1. Big4税理士法人:超巨大企業の「歯車」かつ「最高峰」
Big4(KPMG, EY, Deloitte, PwC)での国際税務は、クライアントが超大手上場企業に限られます。 ここでの業務は「広さ」ではなく「深さ」が求められます。
メリット:国家レベルの税務に触れる
移転価格税制(Transfer Pricing)や、BEPS 2.0(グローバル・ミニマム課税)など、ニュースになるレベルの巨大な税務イシューに関われます。 「世界最先端の税務知識」に触れたいなら、Big4以外に選択肢はありません。給与水準も高く、30代で年収1,200万円〜1,500万円も現実的です。
デメリット:極度の「縦割り」
「移転価格チームに入ったら、消費税申告書の作り方は一生わからない」ということが起こり得ます。 業務が細分化されすぎており、独立に必要な「税務の全体像」が見えなくなるリスクがあります。将来的に独立を考えている場合、Big4での経験だけでは「中小企業の相談に乗れない」というジレンマを抱えることになります。
2. 地場・中堅の国際事務所:泥臭い「クロスボーダー」の何でも屋
一方、従業員数数十名〜百名規模の「国際税務に強い地場事務所」は、全く異なる景色が見えます。 クライアントは「海外進出する中堅企業」や「外資系企業の日本子会社(インバウンド)」、あるいは「国際結婚した富裕層」です。
メリット:税目の「クロスオーバー」
ここでは縦割りはありません。 「社長、海外子会社からの配当は外国子会社配当益金不算入制度を使いましょう。あ、そういえば社長個人のハワイのコンドミニアムの相続対策もしておきましょうか」 このように、法人税・所得税・相続税・消費税を横断して提案するスキルが身につきます。独立を目指すなら、圧倒的にこちらが有利です。
実務の焦点:インボイスと輸出免税
2026年問題として、インボイス制度の「輸出物品販売場制度(免税店)」の厳格化や、越境ECにおける消費税対応などがホットトピックです 。 地場事務所では、こうした「実務直結の悩み」を解決するため、クライアントからの感謝をダイレクトに感じやすい環境です。
3. 英語力よりも必要な「2026年対応スキル」
「TOEIC 900点あれば活躍できますか?」 この質問への答えは「No」です。英語はあくまでツールであり、本当に必要なのは「他国の税制改正を、日本の文脈に翻訳する力」です。
2026年、米国ではOBBBA(One Big Beautiful Bill Act)等に関連する大規模な税制改正が施行される予定です 。 標準控除(Standard Deduction)の増額や、SALT(州・地方税)控除の上限変更などが予想されます 。
ここで必要なのは、流暢な英会話ではありません。 「IRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)の原文リリースを読み、それが日本親会社の連結納税やタックス・プランニングにどう影響するかをロジカルに説明する能力」です。 この「原文リサーチ力」さえあれば、英語が多少拙くても、クライアントからは神様のように扱われます。
4. 徹底比較:あなたの適正はどっち?
最後に、両者の特徴を表で整理します。
結論:どんな「国際派」になりたいか?
Big4と地場事務所、どちらが優れているという話ではありません。 「世界規模のプロジェクトの一部になりたい」ならBig4、「一人の顧客の海外ビジネスを丸ごと支えたい(そして独立したい)」なら地場事務所が正解です。
転職エージェントの求人票を見る際は、単に「英語歓迎」という文字だけでなく、具体的な業務内容(移転価格なのか、インバウンド記帳なのか)を必ず確認してください。そこにあなたのキャリアの分かれ道があります。

