副業ブームが定着する中、まことしやかに囁かれている「副業収入が20万円以下なら、税金の申告はしなくていい」という噂。
さらに最近では、「住民税の申告不要制度が廃止されたから、少額でも全員確定申告が必要になったらしい」という新たな情報の混乱も広がっています。
結論から言うと、これらは情報の「つまみ食い」による危険な誤解です。間違った知識のまま放置すると、無申告加算税のペナルティを受けたり、所得証明書が発行できずにローン審査に落ちるといった事態になりかねません。
今回は、複雑に絡み合った「20万円ルール」と「制度廃止」の誤解を解きほぐし、あなたが今すべき正しい手続きを解説します。
この記事の重要ポイント
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「所得税」は20万円以下なら申告不要だが、「住民税」は1円でもあれば申告必須 - ■
廃止されたのは「上場株式等」の制度であり、副業(雑所得)の話とは別物 - ■
住民税申告をサボると、所得証明書が「0円」になり社会的信用を失うリスクがある
1. 多くの人がハマる「2つの制度」の混同
ネット上の情報が混乱している原因は、全く別の2つの話をごちゃ混ぜにしてしまっている点にあります。
| 制度・ルール | 内容 | 現状(2025年時点) |
|---|---|---|
| ① 副業20万円ルール | 副業所得が20万円以下なら「所得税(国税)」の確定申告は不要。 | 継続中(変更なし) |
| ② 申告不要制度の廃止 | 「上場株式等の配当・譲渡所得」について、所得税と住民税で異なる課税方式を選べる制度。 | 廃止済み(令和6年度〜) |
ニュースで「住民税の申告不要制度が廃止」と報じられたのは、あくまで株取引や配当金の話(②)です。
しかし、これを「副業(雑所得)の申告不要ルールも廃止されたのか?」と勘違いする人が続出しています。
重要なのは、①のルールはずっと変わっていないという点です。「所得税は20万円以下なら不要だが、住民税はずっと昔から全額申告が必要」なのです。
2. 「バレなきゃいい」が通用しない理由とリスク
「たかだか数万円の利益だし、住民税の申告なんてしなくてもバレないでしょ?」と考えるのは非常に危険です。
住民税無申告の3大リスク
リスク1:延滞金とペナルティ
役所はマイナンバーや支払調書を通じて個人の所得を把握しつつあります。後から指摘されれば、本来の税金に加えて延滞金が課されます。
リスク2:所得証明書が「0円」になる
フリーランスや個人事業主の場合、住民税の申告データがそのまま「所得証明書」になります。申告をしていないと所得が証明できず、住宅ローンや融資の審査で門前払いされます。
リスク3:国民健康保険料の誤算定
正しい所得が反映されないと、保険料が正しく計算されず、後で遡って請求されるトラブルの原因になります。
3. あなたが今やるべき「正しい申告手順」
副業所得が20万円以下の場合、税務署に行く必要はありません。お住まいの市区町村役場で手続きを行います。
- ステップ1: 副業の収入と経費をまとめた「収支内訳書(簡易なメモでも可の場合あり)」を用意する。
- ステップ2: 3月15日までに、市役所・区役所の税務課へ行き、「市民税・県民税申告書」を提出する。
- ※注意点: もし「ふるさと納税」などで確定申告をする場合は、その中で副業分も一緒に申告すれば、別途役所に行く必要はありません。
まとめ:正しい知識で「無駄なリスク」を回避しよう
- 「副業20万円以下=申告不要」は所得税だけの話。
- 「制度廃止」のニュースは株取引の話であり、副業には関係ない。
- 住民税は1円でも利益があれば役所に申告するのが鉄則。
税金のルールは複雑ですが、基本原則を知っていれば怖くありません。「知らなかった」で損をしないよう、少額の副業収入であっても適正な申告を心がけましょう。

