【令和8年度改正】インボイス「3割特例」が新設!個人事業主の適用条件と法人が除外される理由

2023年のインボイス制度導入から数年、免税事業者から課税事業者になった方々の負担を支えてきた「2割特例」が、いよいよ2026年(令和8年)9月末をもって順次終了します。

これに伴い、「いきなり税額が跳ね上がるのではないか」という不安に応える形で、2025年12月に発表された令和8年度税制改正大綱にて、新たな負担軽減策「3割特例」の創設が打ち出されました。

今回は、この新しい「3割特例」の具体的な中身と、個人事業主が知っておくべき適用条件、そして法人が対象から外れるという重要な変更点について詳しく解説します。

この記事の重要ポイント


  • 3割特例は売上税額の30%を納税(実質70%控除)すればよい新制度

  • 対象は個人事業主のみであり、法人は対象外となる見込み

  • 適用期間は令和9年(2027年)分と令和10年(2028年)分の2年間限定

1. 「3割特例」の仕組みと2割特例との違い

「3割特例」は、現行の2割特例(売上税額の20%を納税)が終了した後に用意される、第2段階の激変緩和措置です。

比較項目 2割特例(現行) 3割特例(新設)
納税額の計算 売上税額 × 20% 売上税額 × 30%
適用期間 2026年9月末を含む期まで 令和9年〜令和10年(2年間)
主な対象者 個人・法人問わず 個人事業主のみ

納税額を売上の30%に固定できるこの制度は、簡易課税制度の「第5種(サービス業・みなし仕入率50%)」よりも有利です。そのため、多くのフリーランスや一人親方にとって、2割特例終了後のデフォルトの選択肢となることが予想されます。

2. なぜ法人は対象外?「マイクロ法人」への影響

今回の新制度において、最も大きな変更点は「法人が対象外」とされていることです。これまで法人成り(マイクロ法人化)によって社会保険料や税負担を抑えるスキームが流行していましたが、消費税については法人化のメリットが一部削られる形となります。

【注意:安易な法人成りはリスクに】

法人は2割特例が終わると、強制的に「本則課税」または「簡易課税」のいずれかを選択しなければなりません。個人事業主であれば令和10年(2028年)まで3割特例で低く納税できますが、法人は早期に増税を強いられる可能性があるため、法人化のタイミングには十分な注意が必要です。

3. 3割特例を受けるための具体的な「条件」

3割特例を適用するためには、これまでの2割特例と同様に以下の要件をクリアする必要があります。

  • 基準期間の売上高が1,000万円以下: 2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えている年度については、この特例は使えません。
  • インボイス発行事業者であること: 免税事業者のままでは、そもそも消費税の納税義務がないため、この特例の対象外です。
  • 事前の届出は不要: 簡易課税制度とは異なり、事前の届出は不要となる見込みです。確定申告時に申告書へ適用する旨を記載するだけで、誰でも簡単に利用できます。

まとめ:2027年以降を見据えた賢い選択を

  • 3割特例は個人事業主限定の2年間限定救済策
  • 法人は対象外のため、法人成り後の消費税負担を再計算すべき
  • 業種によっては「簡易課税」の方が安くなるケースもあるため、比較が不可欠

インボイス制度の負担は、2割から3割、そして本来の納税額へと段階的に進んでいきます。特に法人は早い段階で対策を迫られるため、自身の決算期や売上規模に応じたシミュレーションを早めに行っておきましょう。

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