簿記2級無量講座 第13回:簿記と税金の関係! 法人税等と消費税(税抜・税込方式)の処理

会社が活動して利益が出れば、当然「税金」を支払わなければなりません。簿記2級では、会社の利益にかかる「法人税等」と、売買に伴って発生する「消費税」の2大税金を扱います。

「税金を払うだけでしょ?」と思うかもしれませんが、期中の中間納付や、記帳方法(税抜か税込か)によって仕訳が大きく変わるため、正確な理解が必要です。

この記事でマスターすること


  • 法人税等の中間申告(仮払法人税等)と決算時の確定処理

  • 消費税の税抜方式(仮受・仮払)の基本

  • 【重要】税込方式の場合、決算で「租税公課」を使う!

1. 法人税、住民税及び事業税(法人税等)

会社の利益(正確には課税所得)に対して課される税金です。長いので、勘定科目としては「法人税、住民税及び事業税」を使いますが、解説では「法人税等」と呼びます。

① 期中の処理(中間申告・納付)

法人税等は、決算が終わってから一度に払うのではなく、期中に「見込み額」を前払いする制度があります。これを中間申告・納付といいます。

仕訳のルール:
前払いした税金は、まだ確定していないため「仮払法人税等(資産)」として処理します。

例:期中において、法人税等の中間納付額1,000円を現金で納付した。

借方科目 金額 貸方科目 金額
仮払法人税等 1,000 現金 1,000

② 決算時の処理(確定・計上)

決算において、今年の利益に基づいた「本当の税金額」が計算されます。そこから、すでに払った「仮払分」を差し引いて、足りない分を「未払法人税等(負債)」として計上します。

例:当期の法人税等が3,000円と計算された。なお、中間納付額1,000円(仮払法人税等)があるため、差額を未払計上する。

借方科目 金額 貸方科目 金額
法人税、住民税
及び事業税
3,000 仮払法人税等
未払法人税等
1,000
2,000

※借方は費用の発生、貸方は資産の減少と負債の増加です。

2. 消費税の処理(税抜 vs 税込)

消費税は、企業が負担するものではなく、「お客様から預かって、国に納める」ものです。

記帳方法には「税抜方式(原則)」「税込方式(例外)」の2つがあり、試験ではどちらで指示されるか必ず確認が必要です。

① 税抜方式(原則)

3級で学んだ方法です。売上や仕入の金額と、消費税の金額を分けて記帳します。

  • 売上時:預かった税金 ➡ 仮受消費税(負債)
  • 仕入時:支払った税金 ➡ 仮払消費税(資産)
  • 決算時:差額を計算 ➡ 未払消費税(負債)

② 税込方式(2級の注意点!)

売上や仕入の金額に消費税を含めて記帳します。
つまり、期中は「仮受消費税」や「仮払消費税」という勘定科目は出てきません。

税込方式の決算処理(超重要)

決算にて、納付すべき消費税額を計算し、その金額を「租税公課(費用)」として計上し、相手科目を「未払消費税(負債)」とします。

仕訳:(借)租税公課 ×× (貸)未払消費税 ××

比較表:決算整理仕訳の違い

例:当期の「仮受消費税」相当額が500円、「仮払消費税」相当額が300円であった。決算仕訳を行いなさい。

方式 借方 貸方
税抜方式 仮受消費税 500
(負債の減少)
仮払消費税 300
未払消費税 200
税込方式 租税公課 200
(費用の発生)
未払消費税 200
(負債の増加)

税込方式の場合、差額(納付額200円)だけを新たに費用計上するのがポイントです。
※売上や仕入に税金が含まれているため、利益が多く計算されすぎています。そのため、最後に「租税公課」という費用を計上して、利益を適正額に調整するのです。

🚀 確認ミニクイズ

次の取引の勘定科目と金額を答えてください。


Q1. 法人税等の中間納付として現金50万円を納付した。借方の科目は?

Q2. 決算において、当期の法人税等は120万円と確定した。中間納付額50万円を差し引いた残額を計上する。貸方に出てくる「負債」の科目は?

Q3. 当社は消費税について「税込方式」を採用している。決算において、当期の納付すべき消費税額が10万円と計算された。借方の科目は?

答えを見る(クリックして展開)

A1. 仮払法人税等
(借)仮払法人税等 500,000 / (貸)現金 500,000

A2. 未払法人税等
(借)法人税、住民税及び事業税 1,200,000
(貸)仮払法人税等 500,000 / 未払法人税等 700,000

A3. 租税公課
税込方式の決算整理は(借)租税公課 100,000 / (貸)未払消費税 100,000 となります。

まとめ

  • 法人税等: 中間納付は「仮払法人税等」。決算で精算して残りを「未払」にする。
  • 消費税(税抜): 期中に仮受・仮払を使い、決算で相殺。
  • 消費税(税込): 期中は税金を含めて処理。決算で納付額を「租税公課」として計上する。

ここまでで、簿記2級の「商業簿記」の第1章~第2章(資産・負債・純資産)が終わりました!
次回からはいよいよ第3章、新しい科目「工業簿記」がスタートします。
工場の会計は、商業簿記とは全く違う考え方をするので、頭を切り替えていきましょう!

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