おめでとうございます! 商業簿記の基礎(第1章~第2章)をクリアし、今日から新しいステージ「工業簿記」に入ります。
商業簿記が「商品を仕入れて売る(お店)」の会計だったのに対し、工業簿記は「材料を買って製品を作る(工場)」の会計です。
最初は少し難しく感じるかもしれませんが、実は「地図(勘定連絡図)」さえ頭に入れば、商業簿記よりも高得点が取りやすい科目です。まずはその全体像をつかみましょう!
この記事でマスターすること
- ✔
工業簿記の目的は、製品1個あたりの「原価(コスト)」を計算すること - ✔
製造原価の3要素(材料費・労務費・経費)を覚える - ✔
【最重要】モノの流れを表す「勘定連絡図」の形を暗記する
1. 商業簿記と工業簿記の違い
最大の違いは、「原価(仕入値)」がすぐ分かるかどうかです。
🏪 商業簿記(お店)
完成品を仕入れて売る。
仕入れた値段 = 原価
(例:100円でペンを仕入れたら、原価は100円。簡単!)
🏭 工業簿記(工場)
材料を買って、人を雇って、電気を使って作る。
計算しないと原価が不明!
(例:木材+職人の給料+電気代…全部でいくらかかった?)
つまり工業簿記とは、「いくらで作れたか(製造原価)」を計算するための簿記なのです。
2. 製造原価の3要素
製品を作るためにかかるコスト(原価)は、大きく3つに分類されます。これは基本中の基本です。
| 要素 | 内容 | 主な勘定科目 |
|---|---|---|
| 🧱 材料費 (モノ) |
製品の元になる物品の消費額 | 素材、部品、燃料など |
| 👷 労務費 (ヒト) |
工場で働く人にかかる人件費 | 賃金(給料)、退職給付費用など |
| 💡 経費 (カネ・他) |
材料費、労務費以外のすべて | 水道光熱費、減価償却費、外注加工費など |
3. 最重要!勘定連絡図(原価の流れ)
工業簿記で迷子にならないための地図、それが「勘定連絡図」です。
お金の流れが、工場の工程に合わせて左から右へ流れていきます。
工場の流れ:投入 ➡ 加工 ➡ 完成 ➡ 販売
【工場】
【倉庫】
新しい勘定科目「仕掛品」
図の真ん中にある「仕掛品」が、工業簿記の主役です。
これは「まだ完成していない作りかけのもの(=工場ラインにあるもの)」を表す資産の科目です。
材料や労務費などは、使った瞬間にこの「仕掛品」ボックスへ投入され、完成すると「製品」ボックスへ移動します。
🚀 確認ミニクイズ
次の説明に当てはまる語句を答えてください。
Q1. 製造原価の3要素のうち、工場で働く従業員の賃金などは何にあたる?
Q2. 工場の製造ラインにあり、まだ完成していない状態のものを表す勘定科目は?
Q3. 工業簿記の原価計算の流れは、「材料・労務費・経費」→「仕掛品」→「???」→「売上原価」である。
答えを見る(クリックして展開)
A1. 労務費
「人」にかかるコストは労務費です。
A2. 仕掛品
工業簿記で最も重要な勘定の一つです。
A3. 製品
完成すると「仕掛品」から「製品」に振り替わります。
まとめ
- 工業簿記は「いくらで作ったか(原価)」を計算するのが目的。
- 製造原価は「材料費」「労務費」「経費」の3つ。
- 原価の流れ:投入 ➡ 仕掛品(加工) ➡ 製品(完成) ➡ 売上原価。
次回からは、3要素のそれぞれを詳しく見ていきます。まずは一番イメージしやすい「材料費」の計算です。材料を買って、使って、残った分はどうする?という処理を解説します!

