簿記2級無料講座第14回:工業簿記はじめの一歩! 製造原価の3要素と「勘定連絡図」の全体像

おめでとうございます! 商業簿記の基礎(第1章~第2章)をクリアし、今日から新しいステージ「工業簿記」に入ります。

商業簿記が「商品を仕入れて売る(お店)」の会計だったのに対し、工業簿記は「材料を買って製品を作る(工場)」の会計です。
最初は少し難しく感じるかもしれませんが、実は「地図(勘定連絡図)」さえ頭に入れば、商業簿記よりも高得点が取りやすい科目です。まずはその全体像をつかみましょう!

この記事でマスターすること


  • 工業簿記の目的は、製品1個あたりの「原価(コスト)」を計算すること

  • 製造原価の3要素(材料費・労務費・経費)を覚える

  • 【最重要】モノの流れを表す「勘定連絡図」の形を暗記する

1. 商業簿記と工業簿記の違い

最大の違いは、「原価(仕入値)」がすぐ分かるかどうかです。

🏪 商業簿記(お店)

完成品を仕入れて売る。

仕入れた値段 = 原価

(例:100円でペンを仕入れたら、原価は100円。簡単!)

🏭 工業簿記(工場)

材料を買って、人を雇って、電気を使って作る。

計算しないと原価が不明!

(例:木材+職人の給料+電気代…全部でいくらかかった?)

つまり工業簿記とは、「いくらで作れたか(製造原価)」を計算するための簿記なのです。

2. 製造原価の3要素

製品を作るためにかかるコスト(原価)は、大きく3つに分類されます。これは基本中の基本です。

要素 内容 主な勘定科目
🧱
材料費
(モノ)
製品の元になる物品の消費額 素材、部品、燃料など
👷
労務費
(ヒト)
工場で働く人にかかる人件費 賃金(給料)、退職給付費用など
💡
経費
(カネ・他)
材料費、労務費以外のすべて 水道光熱費、減価償却費、外注加工費など

3. 最重要!勘定連絡図(原価の流れ)

工業簿記で迷子にならないための地図、それが「勘定連絡図」です。
お金の流れが、工場の工程に合わせて左から右へ流れていきます。

工場の流れ:投入 ➡ 加工 ➡ 完成 ➡ 販売

材料
労務費
経費
仕掛品
(しかかりひん)
※作りかけの状態
【工場】
製品
※完成した状態
【倉庫】
売上原価
(P/Lの費用)

新しい勘定科目「仕掛品」

図の真ん中にある「仕掛品」が、工業簿記の主役です。
これは「まだ完成していない作りかけのもの(=工場ラインにあるもの)」を表す資産の科目です。
材料や労務費などは、使った瞬間にこの「仕掛品」ボックスへ投入され、完成すると「製品」ボックスへ移動します。

🚀 確認ミニクイズ

次の説明に当てはまる語句を答えてください。


Q1. 製造原価の3要素のうち、工場で働く従業員の賃金などは何にあたる?

Q2. 工場の製造ラインにあり、まだ完成していない状態のものを表す勘定科目は?

Q3. 工業簿記の原価計算の流れは、「材料・労務費・経費」→「仕掛品」→「???」→「売上原価」である。

答えを見る(クリックして展開)

A1. 労務費
「人」にかかるコストは労務費です。

A2. 仕掛品
工業簿記で最も重要な勘定の一つです。

A3. 製品
完成すると「仕掛品」から「製品」に振り替わります。

まとめ

  • 工業簿記は「いくらで作ったか(原価)」を計算するのが目的。
  • 製造原価は「材料費」「労務費」「経費」の3つ。
  • 原価の流れ:投入 ➡ 仕掛品(加工) ➡ 製品(完成) ➡ 売上原価

次回からは、3要素のそれぞれを詳しく見ていきます。まずは一番イメージしやすい「材料費」の計算です。材料を買って、使って、残った分はどうする?という処理を解説します!

About 会計資格ドットコム・編集部

View all posts by 会計資格ドットコム・編集部 →