全経簿記上級と日商簿記1級、どっちを受けるべき?難易度と評価の違いを徹底比較

「日商簿記1級を目指しているけど、全経上級も受けた方がいい?」
「税理士の受験資格が欲しいだけなんだけど、どっちが受かりやすい?」
「就職活動で評価されるのはどっち?」

簿記の最高峰資格として並び称される「日商簿記検定1級」「全経簿記能力検定上級(全経上級)」
どちらも合格すれば「税理士試験の受験資格」が得られるため、多くの受験生が選択に迷います。

しかし、この2つは似ているようで「難易度の質」と「世間の評価」が明確に異なります。
この記事では、両者の違いを徹底比較し、あなたの目的(税理士・就職)に合わせた「賢い受験戦略」を提示します。

結論:目的によって「本命」を変えるのが正解

迷っている方のために、先に結論からお伝えします。あなたのゴールはどこにありますか?

税理士になりたい人

両方受験(W受験)せよ!

目的は「受験資格を得ること」です。
全経上級の方が比較的合格しやすいため、こちらで資格を取る人が非常に多いです。年4回のチャンス(日商2回+全経2回)をフル活用しましょう。

就職・転職でアピールしたい人

日商簿記1級 一択!

企業の採用担当者への知名度は、圧倒的に「日商」が上です。
「日商簿記1級合格」のブランド力は絶大です。全経上級は「マニアックな資格」と見られるリスクがあります。

【比較表】日商1級 vs 全経上級 スペックの違い

それぞれの試験の特徴を一覧で比較します。特に「合格率」と「評価方法」の違いに注目してください。

項目 日商簿記1級 全経簿記上級
主催 日本商工会議所 全国経理教育協会
試験月 6月・11月 2月・7月
合格率 約10%(相対評価) 約15%〜20%(絶対評価的)
難易度 S(超難関)
応用・ひねった問題が多い
A(難関)
理論重視・素直な問題が多い
社会的評価 圧倒的知名度
大企業の経理・財務で必須
知る人ぞ知る資格
税理士受験資格としては同等

全経上級が「受かりやすい」と言われる理由

一般的に、日商1級よりも全経上級の方が合格しやすいと言われています。その理由は主に3つあります。

理由①:「絶対評価」に近い採点

日商1級は「上位10%」を合格させるための競争試験(相対評価)の側面が強く、傾斜配点で点数が調整されることがあります。
一方、全経上級は「基準点を超えれば合格」という絶対評価の傾向があります。実力さえあれば、ライバルの出来に関わらず合格できます。

理由②:問題が「素直」で理論重視

日商1級は「落とすための難問・奇問(パズル的な計算)」が出ることがありますが、全経上級は「テキスト通りの標準的な良問」が多いです。
また、全経は「理論(文章問題)」の比重が高いため、計算ミスで一気に崩れるリスクが日商より低いです。

理由③:試験日程が絶妙

全経上級は「2月」と「7月」にあります。これは、日商簿記(11月・6月)の合間に位置しています。
日商に向けた勉強のピークを維持したまま、あるいは日商のリベンジとして受験できるため、学習計画に組み込みやすいのです。

就職・転職市場での評価の違い

就職活動においては、残念ながら大きな差があります。

  • 日商簿記1級:
    「すごい!」「努力家で頭が良い」と即座に評価されます。上場企業の経理や大手監査法人への就職において、最強のパスポートになります。
  • 全経簿記上級:
    会計事務所や税理士法人では「税理士受験資格を持っている」として高く評価されます。
    しかし、一般企業の採用担当者は「全経って何?日商とどう違うの?」と知らないケースも多々あります。履歴書に書く際は「日商簿記1級と同等レベル」と補足説明が必要になることも。

おすすめの戦略:日商を軸にした「W受験」

最も効率的でリスクの少ない戦略は、以下の通りです。

【最強のロードマップ】

  1. 学習のベースは「日商簿記1級」の教材で行う。(網羅性が高いため)
  2. 「全経上級」の過去問を直前1ヶ月に追加で行う。(理論対策と独特の形式に慣れる)
  3. 年4回(2月全経・6月日商・7月全経・11月日商)すべてのチャンスを受験する。

これにより、「全経上級で税理士受験資格を確保しつつ、本命の日商1級合格を目指す」という盤石な体制が整います。

まとめ:どちらも「価値ある資格」に変わりはない

日商簿記1級も全経上級も、どちらも高度な会計知識を証明する素晴らしい資格です。

「ブランドの日商」か「実利の全経」か。
あなたの最終ゴールがどこにあるのかを見極め、両方の試験をうまく利用してキャリアアップにつなげてください。
まずは、直近の試験日程をチェックして申し込みを済ませましょう!

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