公認会計士試験と簿記1級の重複範囲は?ステップアップ受験のメリット・デメリットを徹底解説

「いきなり公認会計士を目指すのはハードルが高い…まずは簿記1級から受けるべき?」
「簿記1級に受かれば、公認会計士試験もかなり有利になる?」
「試験範囲はどれくらい被っているの?」

会計系資格の最高峰「公認会計士」と、その登竜門とされる「日商簿記1級」。
この2つは親和性が高く、多くの受験生が「簿記1級 → 公認会計士」というステップアップを検討します。

しかし、安易なステップアップ戦略は、かえって「合格までの期間」を延ばしてしまうリスクもあります。
この記事では、両試験の「重複範囲のリアル」を解剖し、ステップアップ受験のメリット・デメリット、そして最短で公認会計士になるための最適解を解説します。

【図解】試験範囲の「重複」はどれくらい?

結論から言えば、「計算科目(簿記・原価計算)」に関しては、約80%〜90%重複しています。
しかし、公認会計士試験全体で見ると、重複しているのは「全体の約3割〜4割」に過ぎません。

公認会計士試験の科目構成と重複度

財務会計論
【簿記1級と激しく重複!】
簿記1級の「商業簿記・会計学」とほぼ同じ。ただし会計士の方が理論(記述)が深い。
管理会計論
【簿記1級とかなり重複】
簿記1級の「工業簿記・原価計算」がベース。会計士試験では計算より理論・意思決定が重視される傾向。
監査論
× 重複なし(新規)
監査のルールや法律を学ぶ科目。
企業法
× 重複なし(新規)
会社法などの法律科目。暗記量が膨大。
租税法・経営学
× 重複なし(新規)
論文式試験の科目。全く新しい学習が必要。

つまり、簿記1級でカバーできるのは、会計士試験の「計算の土台」部分だけです。残りの膨大な理論科目(法律・監査・税法)は、ゼロから積み上げる必要があります。

ステップアップ受験(1級→会計士)のメリット

それでも、簿記1級を経由することには確かなメリットがあります。

① 会計士試験の「最大の壁」をクリアした状態でスタートできる

公認会計士試験で多くの受験生が脱落する原因は、「財務会計論(計算)の難しさについていけない」ことです。
簿記1級合格者であれば、この最大の壁を既に突破しているため、初期段階で圧倒的なアドバンテージを持ち、理論科目の学習に時間を割くことができます。

② 挫折リスクを低減できる(適性判断)

いきなり数十万円の会計士講座に申し込むのは勇気がいります。「まずは簿記1級を勉強してみて、自分に会計の適性があるか、勉強を続けられるか」をテストすることができます。

注意!ステップアップ受験のデメリット(罠)

一方で、プロとして警鐘を鳴らしたいデメリットもあります。

① 「遠回り」になり、合格が遅れる

簿記1級の合格には500〜1,000時間かかります。その時間を最初から会計士の勉強(企業法や監査論など)に充てていれば、もっと早く会計士に合格できた可能性があります。
「1級合格まで会計士の勉強を始めない」というスタンスだと、会計士合格は1〜2年遅れます。

② 「出題のクセ」に苦しむことがある

実は、「簿記1級の方が、会計士試験より計算がマニアックで難しい」ケースがあります。
簿記1級は「落とすためのパズル問題」が出る傾向がありますが、会計士試験は「標準的な問題を正確に解く」ことが求められます。
1級の難問奇問対策に時間を使いすぎると、会計士試験ではオーバースペック(無駄な努力)になることがあります。

【結論】本気なら「いきなり会計士講座」が最短ルート

あなたの目的が「公認会計士になること」なら、簿記1級講座を経由せず、最初から「公認会計士講座」に申し込むのがベストです。

賢い戦略:会計士のカリキュラムで「ついでに」1級を取る

公認会計士講座のカリキュラムは、基礎から応用まで網羅しています。つまり、「会計士の勉強をしていれば、簿記1級の範囲も自動的にカバーできる」のです。

多くの会計士受験生は、会計士講座で勉強を進めながら、力試しとして(追加の対策なしで)日商簿記1級を受験し、合格しています。

これが最も時間とお金を無駄にしない「最短ルート」です。

まとめ:自分の「覚悟」に合わせて選ぼう

最終的な選択は、あなたの「覚悟」次第です。

  • 「絶対に公認会計士になる!」と決めている人
    → 迷わず公認会計士講座へ。簿記1級は「通過点」として受験しましょう。
  • 「なれたらいいな、でも不安…」という人
    → まずは簿記1級を目指し、合格したら自信を持って会計士へステップアップしましょう。

簿記1級の知識は、公認会計士を目指す上で決して無駄にはなりません。どちらのルートを選んでも、計算力の土台は強力な武器となります。自信を持って学習をスタートさせてください!

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