「標準原価計算の『差異分析』で、いつもプラスマイナスを間違える…」
「シュラッター図(固定費の分析)の意味が全く理解できない!」
「公式を丸暗記しようとして、結局本番でパニックになる」
簿記1級の工業簿記・原価計算において、多くの受験生が最初に挫折するのが「標準原価計算」です。
2級までの「実際原価計算」とは異なり、「目標(標準)」と「実際」のズレを分析するこの分野は、計算プロセスが複雑になりがちです。
しかし、断言します。標準原価計算は「図(ビジュアル)」で形を覚えれば、満点を狙える得点源になります。
この記事では、数式ではなく「図解」を使って、苦手意識を克服するための直感的な解法を解説します。
1. まず「標準原価計算」の全体像をイメージせよ
細かい計算に入る前に、「何のためにやっているのか」を理解しましょう。
標準原価計算は、一言で言えば「ダイエットの記録」と同じです。
目標(標準)
体重 60kg
「これくらいで作れるはずだ」というノルマ。
(製品1個あたり100円など)
実績(実際)
体重 65kg
「実際にかかってしまった」金額。
(製品1個あたり120円かかった)
このズレ(差異)が「なぜ起きたのか?」を分析するのが標準原価計算です。
「高かったから(価格のズレ)」なのか、「使いすぎたから(数量のズレ)」なのかを分解して犯人探しをします。
2. 【図解】直接材料費・直接労務費は「箱」で解く!
公式(実際価格-標準価格…)で覚えるのはやめましょう。「箱図(ボックス図)」を描けば、視覚的に一発で解けます。
【最強のボックス図】
(Quantity)
(Price)
この図の「使い方」と「ルール」
- 縦軸は「単価(円)」、横軸は「数量(kg, 時間)」を取る。
- 内側の箱に「標準(目標)」、外側の線に「実際」の数字を書く。
- 「コ」の字型に計算するのが鉄則。
1. 数量差異 = (実際数量 - 標準数量) × 標準単価
2. 価格差異 = (実際単価 - 標準単価) × 実際数量
ポイント:計算結果が「プラス」なら不利差異(借方)、「マイナス」なら有利差異(貸方)です。
(※実際の方が大きければコスト増なので「不利(損した)」、実際の方が小さければ「有利(得した)」と感覚で覚えましょう)
3. ラスボス「シュラッター図」を完全攻略
製造間接費の差異分析で使う「シュラッター図」。これが苦手な人が最も多いですが、これも「形」で覚えます。
【簡易版 シュラッター図】
T字型の交差点をイメージしてください!
変動費率×実際時間
+ 固定費予算
(問題文にある)
標準配賦率×標準時間
能率差異 ← (許容額 – 標準) ※変動費部分のみ
操業度差異 ← (実際操業 – 基準操業) × 固定費率
シュラッター図の「描き方」手順
本番の下書き用紙には、以下の順番で線を引きます。
- まず「十字(縦軸と横軸)」を書く。
- 固定費のライン(横線)を引く。
- 変動費のライン(斜め線)を引く。
- 「基準操業度」「実際操業度」「標準操業度」の3本の縦線を引く。
ポイントは「上から下へ引く」こと。
「実際発生額」から「予算許容額」を引けば予算差異。
「予算許容額」から「標準配賦額」のズレを見れば能率差異・操業度差異が見えてきます。
差異の「勘定記入」で迷わない魔法の呪文
計算はできたけど、仕訳で「借方だっけ?貸方だっけ?」と迷う方へ。
標準原価計算の仕訳は、この理屈で一発です。
不利差異(F)= 損した = 費用(借方)
有利差異(Y)= 得した = 収益っぽい(貸方)
標準(目標)より実際コストがかかりすぎた(不利差異)ということは、会社にとっては「損(コスト増)」です。
簿記で「費用の発生」は借方(左)ですよね? だから「不利差異は借方」です。
逆に、コストが浮いた(有利差異)なら、「有利差異は貸方」です。これだけ覚えておけば、仕訳問題は怖くありません。
まとめ:図を描く手が止まらなければ勝ち
標準原価計算は、頭の中でやろうとすると必ず失敗します。
合格者は、問題文を見た瞬間に「反射的にボックス図やシュラッター図を下書き用紙に描く」ことができます。
今日から、問題を解くときは必ず「図」を描いてください。
最初は時間がかかっても、図の形が脳に焼き付けば、本試験の緊張下でも「図に数字を当てはめるだけのパズル」に変わります。

