「計算問題は解けるけど、理論問題になると手が止まる…」
「会計基準の文章が難しすぎて、丸暗記するしかないの?」
「理論の穴埋め問題でポロポロ点数を落としてしまう」
日商簿記1級や税理士・公認会計士試験において、多くの受験生が苦手とするのが「理論(会計学)」です。
計算手順の暗記で乗り切れた2級までとは違い、1級以上では「なぜその処理をするのか?」という背景(会計理論)が問われます。
しかし、理論を「丸暗記」しようとするのは、最も非効率で挫折しやすい勉強法です。
この記事では、計算が得意な人こそ実践してほしい、「暗記に頼らず、計算とリンクさせて理解する」理論攻略の極意を解説します。
なぜ「理論対策」が合否を分けるのか?
「計算で満点を取ればいいや」と思っていませんか? それは非常に危険な賭けです。
理由①:配点の比重と「足切り」のリスク
日商簿記1級では、「会計学」という科目で理論がガッツリ出題されます。ここで点数が取れないと、全体の合格点に届かないばかりか、足切り(10点未満)にかかるリスクが高まります。
理由②:理論を知ると「計算ミス」が減る
これが最大のメリットです。理論は「計算のルールブック(説明書)」です。
「なぜこの数字を足すのか」という理屈を知っていれば、万が一計算手順をド忘れしても、理論から逆算して正しい処理を導き出すことができます。理論は計算の最強の「検算ツール」になるのです。
「丸暗記」が通用しないワケ
会計基準の文章は、独特の堅苦しい表現で書かれています。これを呪文のように丸暗記しようとすると、以下の悪循環に陥ります。
【丸暗記の悪循環】
意味が分からないまま文字を覚える
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少しひねられた問題(応用)が出ると対応できない
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すぐに忘れるため、何度も覚え直す時間のロス
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「理論はつまらない」と思い込み、勉強しなくなる
暗記不要!理論を攻略する「3つのステップ」
では、どうすればいいのでしょうか? 答えはシンプルです。「すでにできる計算」を「言葉」に変換するだけです。
Step 1:計算処理(仕訳)を思い浮かべる
理論の問題を見たら、まずは頭の中で(あるいは下書き用紙に)「関連する仕訳」を切ってください。
会計理論の9割は、「その仕訳を切る理由」を説明しているに過ぎません。
例:「減価償却」の理論問題が出たら、まずは `(借) 減価償却費 / (貸) 累計額` の仕訳をイメージします。
Step 2:「誰に」「何を」伝えたいか考える
会計の目的は「利害関係者(投資家など)に、企業の正しい姿を伝えること」です。
その処理をすることで、「B/S(財政状態)やP/L(経営成績)をどう見せたいのか?」という意図を考えます。
- 費用を配分したいのか?(期間損益計算)
- 資産の価値を下げたいのか?(保守主義)
- 将来の支払いに備えたいのか?(負債の計上)
Step 3:キーワードだけを「リンク」させる
文章全てを覚える必要はありません。「この計算処理」=「このキーワード」というリンクを作ります。
穴埋め問題や選択問題では、この「核となるキーワード」さえ分かれば正解できます。
【実践例】「資産除去債務」でやってみよう
具体的な論点で試してみましょう。苦手な人が多い「資産除去債務」です。
計算(仕訳)
固定資産を取得した時、将来の解体費用(100万円)の現在価値(80万円)を計算し、資産と負債に計上する。
(借) 固定資産 80 / (貸) 資産除去債務 80
理論(なぜ?)
なぜ、まだ払っていない費用を計上するの?
- 理由①(P/L的視点):解体費用は、その資産を使って収益を得るために不可欠なコストだから、使用期間に割り振って収益と対応させたい。⇒ 費用配分の原則、費用収益対応の原則
- 理由②(B/S的視点):将来必ず支払う義務がある負債だから、隠さずに載せるべき。⇒ 負債の網羅性
→ つまり、資産除去債務の理論キーワードは「費用配分」と「負債計上」です。これさえ掴めば、難しい定義文も読めるようになります。
効率的な「理論学習ルーティン」
最後に、日々の勉強にどう組み込むかのアドバイスです。
① 計算問題を解いた「直後」にテキストを読む
計算練習をして、「どう処理するか」の記憶が鮮明なうちに、該当箇所の理論テキスト(基準)を読んでください。
「あ、さっきやったあの仕訳は、こういう理屈だったのか!」というアハ体験が記憶を強固にします。計算と理論を別々の日に勉強するのはNGです。
② 「間違いノート」に理由を一行書き足す
計算問題を間違えた時、正しい仕訳だけでなく「なぜ間違えたか(理論的背景)」を一言メモします。
例:「有価証券の評価替えを忘れた」→「売買目的は時価変動で儲けるものだから、B/Sも時価じゃないとダメ(時価評価)」
まとめ:理論は「敵」ではなく「味方」
商業簿記・会計学において、理論はあなたを苦しめる敵ではありません。
むしろ、計算の記憶を助け、ケアレスミスを防ぎ、得点を安定させてくれる「最強の味方」です。
「暗記しなきゃ」というプレッシャーを捨て、「計算の理由を知ろう」という好奇心に切り替えてみてください。
その瞬間から、会計学は面白くなり、あなたの得点源へと変わるはずです。

