簿記2級無料講座 第5回:固定資産攻略(1) 定率法・生産高比例法と「建設仮勘定」の使い方

簿記3級では、固定資産(建物や備品)の減価償却といえば「定額法(毎年同じ金額)」だけでした。
しかし実務では、「買ったばかりの車は価値が下がりやすい」「使った分だけ価値が減る」といったように、資産の性質に合わせた計算方法が使われます。

簿記2級では、この計算方法のバリエーションが増えます。計算式さえ覚えれば確実に点数が取れる分野ですので、電卓を叩きながら体に馴染ませていきましょう!

前回の記事はこちら→第4回

今日のゴール

  • 「定率法」の計算ロジック(未償却残高×率)をマスターする
  • 「生産高比例法」を使う場面と計算式を覚える
  • 建物が完成するまでの支払い「建設仮勘定」の処理を理解する

1. 減価償却のレベルアップ! 3つの方法を使い分ける

2級で出題される減価償却方法は主に以下の3つです。

方法 特徴 よく使われる資産
定額法
(3級の復習)
毎年同額ずつ価値が減る。
計算が簡単。
建物など
定率法
(★今回メイン)
最初はガクンと減り、徐々に減り幅が少なる。
「早い段階で費用化したい」場合に有効。
備品、機械など
生産高比例法
(★今回メイン)
使った量に応じて価値が減る。
使わなければ費用はゼロ。
自動車、鉱業権

2. 計算ミス多発!「定率法」を攻略せよ

定率法は、「未償却残高(まだ価値が残っている金額)」に一定の率(%)を掛ける方法です。

📝 定率法の計算式

減価償却費 = (取得原価 - 減価償却累計額) × 償却率

定額法と違い、「これまでに計上した累計額」を引いてから率を掛けるのが最大のポイントです。

【設例】定率法の計算シミュレーション

備品(取得原価1,000円、償却率20%)を定率法で償却する。

📅 1年目

まだ減価償却していないので、原価そのままに率を掛けます。

1,000円 × 20% = 200円

(減価償却累計額:200円)

📅 2年目

原価から、昨年の償却分を引いた残りに率を掛けます。

(1,000円 - 200円) × 20% = 160円

(減価償却累計額:360円)

📅 3年目

さらに累計額を引きます。

(1,000円 - 360円) × 20% = 128円

このように、200円 → 160円 → 128円 と、年々償却額(費用)が減っていくのが定率法の特徴です。

⚠️注意点:
問題文に「200%定率法」と書かれている場合も計算ロジックは同じです。指示された償却率を使って計算してください。

3. 車や航空機に使う「生産高比例法」

「時間は関係ない。どれだけ走ったか(使ったか)が重要だ!」という資産に使います。

📝 生産高比例法の計算式

(取得原価 - 残存価額) × 当期利用量


総利用可能量

要は「全体のうち、今年どれくらい使い潰したか?」という割合計算です。

【設例】
車両(取得原価 1,000円、残存価額 0円、総走行可能距離 10,000km)を購入した。
当期の走行距離は 2,000km であった。

【計算】
1,000円 × (2,000km ÷ 10,000km) = 200円

※最近の試験では「残存価額ゼロ」が多いですが、もし「残存価額10%」などの指示があれば、最初に引き算するのを忘れないようにしましょう。

4. 建物が完成するまでは「建設仮勘定」

工場やビルを建てるとき、完成して引き渡されるまでに長い時間がかかり、代金の一部を「着手金」や「中間金」として先に支払うことがあります。

このとき、まだ建物は完成していないので「建物」勘定は使えません。
代わりに使うのが、一時的な勘定科目「建設仮勘定」(資産)です。

① 着手金を払ったとき

【設例】工場の建設を依頼し、着手金 100万円を小切手を振り出して支払った。

(借)建設仮勘定 1,000,000 / (貸)当座預金 1,000,000

※「前払金」と似ていますが、有形固定資産の場合は「建設仮勘定」を使います。

② 完成して引き渡しを受けたとき

【設例】工場が完成し、残額 200万円を普通預金から支払った。これまでの支出額と合わせて建物勘定に振り替える。

(借)建物 3,000,000 / (貸)建設仮勘定 1,000,000
/ (貸)普通預金  1,200,000

建設仮勘定(仮の姿)を消して、正式な「建物」に変身させるイメージです。


🌱 今回のPOINTまとめ

  • 定率法は、(取得原価 - 減価償却累計額) × 率。必ず累計額を引いてから率を掛ける!
  • 生産高比例法は、使った割合で計算する。主に車両や鉱山用設備で登場。
  • 建設中の建物への支払いは「建設仮勘定」。完成時に「建物」へ振り替える。
  • 建設仮勘定は「減価償却しない」(まだ完成してないから!)。

✏️ ミニクイズ

理解度を確認してみましょう!

Q. 取得原価 1,000,000円、償却率 20%の備品(定率法)の「3年目」の減価償却費はいくらか?

  1. 200,000円
  2. 160,000円
  3. 128,000円
答えを見る

正解:3

解説:
1年目:1,000,000 × 0.2 = 200,000円
2年目:(1,000,000 - 200,000) × 0.2 = 160,000円
3年目:(1,000,000 - 200,000 - 160,000) × 0.2 = 128,000円
電卓で「1,000,000 × 0.8 × 0.8 × 0.2」と計算する裏技もあります(残存率を掛けていく方法)。

次回は、固定資産の応用編。古くなった資産を捨てたり、買い換えたりするときの処理を学びます。
「第6回:固定資産攻略(2) 除却・廃棄・買換え・圧縮記帳の処理パターン」です。少し複雑になりますが、パターン化すれば怖くありません!

About 会計資格ドットコム・編集部

View all posts by 会計資格ドットコム・編集部 →