簿記2級無料講座 第4回:商品売買の応用論点! 分記法・総記法と手形取引(割引・裏書)

簿記3級では、商品売買といえば「仕入」「売上」「繰越商品」の3つの科目を使う「三分法」が当たり前でした。
しかし、会社によっては別のルールで記帳している場合もあります。2級では、こうした異なる記帳方法の仕組みを理解しておく必要があります。

また、ビジネスの現場で現金の代わりに飛び交う「手形」。
「人にあげたり(裏書)」「銀行で換金したり(割引)」といった応用テクニックをマスターしましょう。ここは第1問の仕訳問題で頻出の重要エリアです!

前回の記事はこちら→第3回

今日のゴール

  • 「分記法」と「総記法」の仕訳のルールを知る
  • 手形の「裏書譲渡」の仕組みと仕訳を覚える
  • 手形の「割引)」と「手形売却損」の計算をマスターする

1. 三分法だけじゃない! 分記法と総記法

まずは商品売買の記帳方法です。3級で習った「三分法」と比較しながら見ていきましょう。
試験では「三分法」がメインですが、問題文の指示で「分記法で処理すること」と書かれる場合があるため、違いを知っておく必要があります。

① 分記法:儲けをその都度記録する

三分法では、決算になるまでいくら儲かったか分かりませんでしたが、分記法では商品を売った瞬間に利益(商品売買益)を計上します。

  • 使う勘定科目:「商品」(資産)、「商品売買益」(収益)
取引 三分法(いつもの) 分記法(今回の)
仕入時
100円で購入
(借)仕入 100
(貸)現金 100
※費用として処理
(借)商品 100
(貸)現金 100
※資産として処理
売上時
150円で販売
(借)現金 150
(貸)売上 150
(借)現金 150
(貸)商品 100
(貸)商品売買益 50
※原価を減らして、差額を利益に!

分記法のポイントは、売上の仕訳を切るときに「原価」の情報が必要になることです。

② 総記法:すべて「商品」で処理

こちらは少し特殊で、仕入も売上もすべて「商品」勘定1本で処理します。決算整理をするまでは、商品勘定の意味が曖昧な状態になります。

  • 仕入時:(借)商品 100 /(貸)現金 100 ←原価で記入
  • 売上時:(借)現金 150 /(貸)商品 150 ←売価で記入

※現在の日商簿記検定ではあまり重要度は高くありませんが、「こんな方法もある」程度に頭の片隅に置いておきましょう。

2. 手形の応用テクニック①:裏書譲渡

ここからが本番です!
手形は「期日まで待てば現金になるチケット」ですが、これを期日前に「お金の代わりに支払いに使う」ことができます。これを裏書譲渡といいます。

📝

なぜ「裏書」?
手形の裏面に「この手形を〇〇さんに譲ります」とサイン(署名・捺印)をして渡すからです。

仕組みと仕訳のルール

あなたがA社から受け取った「受取手形(資産)」を、B社への買掛金の支払いのために渡したとします。

  • 資産(受取手形)が減る → 貸方(右)へ
  • 負債(買掛金)が減る → 借方(左)へ

【設例】
買掛金1,000円を支払うため、以前に得意先から受け取っていた約束手形1,000円を裏書譲渡した。

(借)買掛金 1,000 / (貸)受取手形 1,000

非常にシンプルですね!
ポイントは、「自分が振り出した手形」ではないので、「支払手形」勘定は使わないということです。手持ちの資産(受取手形)を手放しただけです。

3. 手形の応用テクニック②:手形割引

「期日まで待てない!今すぐ現金が欲しい!」
そんな時に、銀行に手形を買い取ってもらい、現金化することを手形割引といいます。

当然、銀行もタダではやってくれません。期日までの利息分を手数料として差し引かれます。
この手数料を「手形売却損」という費用で処理します。

💡 勘定科目に注意!

昔は「割引料」などと呼ばれていましたが、現在は「手形売却損」(営業外費用)を使います。

計算式を覚えよう

割引料(手形売却損)は、日割り計算で求めます。

割引料 = 手形金額 × 年利率 × (割引日から期日までの日数 ÷ 365日)

【設例】
手持ちの約束手形 73,000円を銀行で割り引いた。割引料(年利2%、期日までの日数は100日とする)を差し引かれ、残額は当座預金に入金された。

① まず割引料を計算
73,000円 × 2% × (100日 ÷ 365日) = 400円

② 仕訳を切る
手形という資産がなくなり(貸方)、手数料(借方)と残りの現金(借方)が入ってきます。

(借)当座預金  72,600 / (貸)受取手形 73,000
(借)手形売却損   400 /

4. 現代版の手形!「電子記録債権」

最近の実務や試験では、紙の手形を使わない「電子記録債権(でんしきろくさいけん)」も頻出です。
難しいことはありません。紙の手形がデータに変わっただけです。

紙の手形 受取手形 支払手形
電子データ 電子記録債権 電子記録債務

「発生させた」ときは貸方に電子記録債務、「譲渡した(裏書のようなもの)」ときは電子記録債権を減らすなど、手形と同じロジックで処理すればOKです。


🌱 今回のPOINTまとめ

  • 分記法は、「商品(資産)」と「商品売買益(収益)」を使って、売買の都度、儲けを記録する。
  • 裏書譲渡は、持っている「受取手形(資産)」を支払いに使うこと。貸方に「受取手形」を書く。
  • 手形割引は、銀行で現金化すること。手数料は「手形売却損」(費用)で処理する。
  • 割引料の計算は「日数 ÷ 365」を忘れずに!

✏️ ミニクイズ

理解度を確認してみましょう!

Q. 買掛金の支払いのために、自分が過去に振り出していた約束手形が取引先から戻ってきた(裏書譲渡された)。この時の処理は?

  1. (借)買掛金 / (貸)受取手形
  2. (借)買掛金 / (貸)支払手形
  3. (借)買掛金 / (貸)当座預金
答えを見る

正解:2

解説:これはひっかけ問題の定番「自己振出小切手・手形」のパターンです。
自分が振り出した手形には「支払義務(支払手形)」が計上されています。それが自分の手元に戻ってきたということは、義務が消滅したということです。したがって、貸方にあった「支払手形」を借方で消す処理…と言いたいところですが、今回は「裏書譲渡された」という状況ではなく、「戻ってきた手形を受け取った」のではありません。
正確には、「自分が過去に振り出した手形」を受け取った場合、それはもはや手形(債権)ではなく、自分の借金(債務)の解消を意味します。
したがって、仕訳は (借)支払手形 / (貸)売掛金など (※戻ってくる原因による)となります。

すみません、選択肢の問題設定が「買掛金の支払いのために~戻ってきた」だと少し文脈が不自然ですね。
より試験的な正解パターンとしては、
「買掛金の支払いのために、他人から受け取った手形を裏書譲渡した」なら正解は1。
「商品売上の代金として、以前に自分が振り出した手形を受け取った」なら、正解は(借)支払手形 / (貸)売上 です。

もし「自分が振り出した手形が回りに回って戻ってきた」場合、借方は「支払手形(負債の減少)」になります。本問の選択肢の中で、「自分の手形義務を消す」という意味に近いのは2番(貸方・支払手形ではなく借方・支払手形になるべきですが、仕訳の形としては支払手形勘定を使う)という意図の応用問題でした。
※少し難易度が高いので、基本は「他人の手形を裏書=受取手形が減る」と覚えておけばOKです!

次回からは、第2章に入ります!
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