「公認会計士試験に合格したら、すぐに公認会計士になれるの?」
「合格後の『実務補習』や『修了考査』って何?」
「一人前の会計士になるまで、トータルで何年かかる?」
医師や弁護士と並ぶ三大国家資格の一つ、公認会計士。
実は、超難関の「公認会計士試験」に合格しただけでは、まだ「公認会計士」と名乗ることはできません。
合格後には、数年間にわたる実務経験と研修、そして「最後の試験」が待ち受けています。
この記事では、学習開始から最終的な公認会計士登録まで、その長く険しい(しかし充実した)道のりを完全ガイドします。
【全体像】公認会計士になるための「3つの要件」
公認会計士として登録し、独占業務である「監査」を行うためには、以下の3つの壁をすべてクリアする必要があります。
公認会計士登録への 3 STEP
- STEP 1 公認会計士試験(論文式)に合格する
- STEP 2 2年以上の「業務補助(実務経験)」を積む
- STEP 3 3年間の「実務補習」を経て、「修了考査」に合格する
※STEP 2と3は、試験合格後に「監査法人で働きながら」同時に進めるのが一般的です。
これらをすべて満たして初めて、内閣総理大臣から「公認会計士」としての登録を受けることができます。
STEP 1:公認会計士試験(最難関の壁)
最初の、そして最大の難関がこの国家試験です。年齢・学歴・国籍を問わず「誰でも受験できる」のが特徴ですが、合格率は非常に低いです。
| 第1関門:短答式試験 | マークシート方式(年2回:12月・5月) 財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の4科目。 膨大な知識量が問われ、ここで多くの受験生が涙を飲みます。 |
|---|---|
| 第2関門:論文式試験 | 記述方式(年1回:8月) 短答合格者だけが受けられる3日間の過酷な試験。 上記4科目に「租税法」と「選択科目(経営学など)」を加えた計6科目。 知識だけでなく、論理的思考力と文章力が問われます。 |
合格に必要な勉強時間は3,000〜5,000時間と言われており、合格までは平均して2〜4年程度かかります。
STEP 2 & 3:働きながら学ぶ「J1・J2・J3」時代
晴れて論文式試験に合格しても、身分は「公認会計士」ではなく「公認会計士試験合格者」となります。
ここから、一人前になるための修行期間が始まります。
① 業務補助(実務経験)2年以上
原則として2年以上、監査法人などで実際の監査業務や会計業務に従事する必要があります。
ほとんどの合格者は、合格発表後の11月〜12月頃に「監査法人」に就職し、給料をもらいながらこの要件を満たします。
② 実務補習(学校)3年間
監査法人で働きながら、「実務補習所(補習所)」という専門機関に通い、単位を取得する必要があります。
- 通学スタイル:平日の夜や土日に講義を受けたり、eラーニングを受講したりします。
- 課題・考査:定期的にレポート提出やテストがあります。仕事との両立はかなりハードです。
業界では、この補習所の年次によって、1年目を「J1」、2年目を「J2」、3年目を「J3」と呼びます。
最後の壁:修了考査(ファイナル・テスト)
3年間の実務補習を経て、必要な単位を取得すると、ついに最終試験である「修了考査」の受験資格が得られます。
⚠️ 修了考査は「落とす試験」です!
「3年も頑張ったんだから、形式的なものでしょ?」と思ったら大間違いです。
かつては合格率70%〜80%の時代もありましたが、近年は難化傾向にあり、合格率が50%〜60%台になることも珍しくありません。
監査法人の繁忙期と重なる時期に勉強しなければならず、体力的にも精神的にも追い込まれる、まさに最後の「修羅場」です。
ゴール:公認会計士登録
修了考査に合格し、実務経験要件も満たしていれば、日本公認会計士協会に書類を提出し、「開業登録」を行います。
ここで初めて、名刺に「公認会計士」と刷ることができ、公認会計士バッジ(正章)を手にすることができます。
まとめ:トータルで何年かかる?
学習開始から公認会計士になるまでの標準的なタイムラインは以下の通りです。
受験勉強(2〜3年)
⬇
試験合格
⬇
実務経験 + 補習所(3年)
⬇
修了考査 合格
トータル:最短でも 5〜6年
公認会計士への道は、決して楽なものではありません。しかし、その長い道のりを乗り越えた先には、「経済界の最高峰」としての高い専門性、安定した高収入、そして社会的な信頼が待っています。
まずは第一歩、STEP 1の「試験合格」を目指して、学習をスタートさせてみてはいかがでしょうか。

