「簿記論・財務諸表論の次は、いよいよ税法…」
「法人税法と所得税法、どっちも難しそうだけど、何が違う?」
「実務で役立つのは?早く合格できるのはどっち?」
会計科目(簿財)を乗り越えた(あるいは目指している)受験生が、必ず直面する最大の選択。それが、選択必須科目である「法人税法」と「所得税法」のどちらを選ぶか、です。
どちらも税理士試験における「ラスボス」級の科目であり、学習ボリュームは膨大。この最初の税法選択が、あなたの学習計画と将来のキャリアを大きく左右します。
この記事では、両者を徹底的に比較し、あなたがどちらを選ぶべきかの明確な指針を示します。
結論ファースト:実務を目指すなら「法人税法」一択
先に結論から申し上げます。もしあなたが将来、会計事務所への就職・転職や、独立開業を視野に入れているのであれば、迷わず「法人税法」を選んでください。
これは、学習が「楽」だからではありません。むしろ逆です。学習量は最大級ですが、それを補って余りあるほど「重要」だからです。
法人税法 vs 所得税法 徹底比較テーブル
まずは、両者の違いが一目でわかる比較表をご覧ください。
| 比較項目 | 法人税法 | 所得税法 |
|---|---|---|
| 対象 | 会社(法人)の所得(儲け)にかかる税金 | 個人の所得(儲け)にかかる税金 |
| 実務での重要度 | ★★★★★(最重要) | ★★★☆☆(重要) |
| 学習ボリューム | 最大級(全科目中No.1) | 最大級(法人税法よりは少ないとされるが膨大) |
| 難易度(合格率) | 例年10%~15%程度(安定) | 例年10%~15%程度(安定) |
| 主な内容 | 益金・損金、減価償却、引当金、組織再編税制など | 10種類の所得区分、所得控除、税額控除など |
| キャリアへの影響 | 会計事務所の「必須装備」。これがないと仕事にならない。 | 個人事業主や資産税(相続など)に強い税理士として評価される。 |
最大の分岐点:「誰」の税金を扱うか
税理士の主なクライアント(顧問先)の9割以上は「法人(会社)」です。
これが、法人税法が「最重要」と言われる唯一にして最大の理由です。
なぜ「法人税法」を選ぶべきなのか?3つの理由
多くの受験生が、その膨大な量に怯えながらも、最終的に法人税法を選ぶのには明確な理由があります。
理由①:実務での使用頻度が「圧倒的」
税理士のメイン業務は、顧問先である「法人」の決算・税務申告です。当然、そこでは法人税法の知識が毎日使われます。
「法人税法」を知らない税理士は、言わば「武器を持たない兵士」です。
所得税法しか知らずに会計事務所に就職すると、実務で必ず苦労します。「法人税法を勉強してこなかった」という負い目は、合格後もずっとついて回るのです。
理由②:転職市場で「必須スキル」として評価される
会計事務所の採用担当者が見ているのは、「合格科目」です。5科目合格していれば誰でも良いわけではありません。
「簿財+法人税法+消費税法」の合格者は、「実務の基礎ができている」と判断され、転職市場で最も高く評価されます。
逆に、法人税法を避けて(例えば所得税+ミニ税法で)5科目揃えた場合、「この人は実務ができるのか?」と疑問符がつく可能性があります。
理由③:「大は小を兼ねる」理論の土台になる
税法の考え方の根幹は「法人税法」に詰まっています。「所得とは何か」「経費(損金)とは何か」という基本的な考え方を、最も厳密に、深く学ぶのが法人税法です。
この土台があれば、所得税法や他の税法を学ぶ際も「法人税ではこうだったが、所得税ではこう違う」と比較しながら理解できるため、学習効率が上がります。
では、「所得税法」を選ぶメリットはないのか?
もちろん、所得税法を選ぶメリットもあります。以下のようなキャリアプランを描く人には、所得税法が適している場合があります。
「所得税法」が活きるキャリア
- 資産税・相続税専門の税理士を目指す場合:
富裕層のクライアントは、必ず不動産所得や株の譲渡所得(所得税)の問題を抱えています。「所得税」と「相続税法」の組み合わせは、資産税特化の道を開きます。 - 個人事業主・フリーランス特化の事務所を目指す場合:
クライアントを「個人」に絞るのであれば、法人税法より所得税法がメインの武器になります。 - 学習ボリュームを少しでも抑えたい場合:
(あくまで「法人税法と比較すれば」ですが)組織再編税制のような超難解な論点がない分、学習ボリュームは少ないとされています。
ただし、注意点として、資産税専門の事務所であっても、クライアントが資産管理会社(法人)を持っているケースは多く、結局は法人税法の知識が必要になります。
学習スケジュール上の注意点
法人税法も所得税法も、合格までに最低600時間~1,000時間は必要とされるヘビーな科目です。
- 「簿財」合格前に手を出さない:全ての税金計算は、会計(簿財)が作った決算書(利益)からスタートします。土台なしに税法は学べません。
- 1年1科目に集中する:このレベルの科目を、働きながら他の科目と並行して合格するのは至難の業です。「この1年は法人税法だけ」と決めて集中しましょう。
まとめ
税理士試験の科目選択は、あなたの「税理士としての未来」を決める戦略です。
「どちらが楽か」で選ぶと、合格後に必ず後悔します。「どちらが実務で役立ち、自分の市場価値を高めるか」という視点で選ぶべきです。
会計事務所で活躍する「王道」を目指すなら、迷わず「法人税法」
資産税などの「専門特化」の道に進むなら、「所得税法」も選択肢
多くの受験生にとっての「最適解」は法人税法です。
膨大なボリュームに臆することなく、税理士としての必須装備を手に入れるために、真正面から挑戦することをおすすめします。

