公認会計士の「本当の」年収は? 監査法人、独立、年代別(20代・30代・40代)のリアルな給与事情

「公認会計士って、やっぱり年収高いんでしょ?」
「1年目から年収1,000万円もらえるって本当?」
「監査法人勤務と、独立開業、どっちが儲かるの?」

公認会計士は、弁護士や医師と並び「最難関国家資格」の一つであり、その年収イメージは非常に高いものがあります。

結論から言えば、そのイメージは「概ね正しい」です。しかし、「いつ、どこで、どう働くか」によって、その額は大きく変動します。

この記事では、世間一般の平均年収(統計データ)だけでは見えてこない、監査法人(BIG4)の職階別、年代別、そして独立後の「リアルな」年収事情を徹底的に解説します。

【勤務先別】公認会計士のキャリアと年収

公認会計士のキャリアは、その働き方によって年収レンジが全く異なります。最も一般的な「監査法人」キャリアから見ていきましょう。

① 監査法人(BIG4・中小):最も王道のエリートコース

合格者の9割以上が、まずは「監査法人」に就職します。特に「BIG4」と呼ばれる大手4法人(PwCあらた、EY新日本、あずさ、トーマツ)は、給与水準も明確です。

監査法人の年収は「職階(役職)」でほぼ決まります。

職階(役職) 年次(目安) 年収レンジ(目安)
スタッフ 1年目 〜 3年目 550万 〜 750万円
シニアスタッフ 4年目 〜 8年目 750万 〜 1,000万円
マネージャー 9年目 〜 12年目 1,000万 〜 1,400万円
シニアマネージャー 13年目 〜 1,400万 〜 1,800万円
パートナー 実力・運次第 2,000万円 〜 青天井

※上記はBIG4基準。残業代や賞与(パフォーマンスによる)を含んだ目安です。

「1年目から1,000万円」は誤りですが、「1年目から550万円以上」はほぼ確実であり、同世代のビジネスパーソンより圧倒的に高水準です。そして、大きな問題を起こさなければ、30代前半(マネージャー昇進時)に「年収1,000万円」の壁を突破できるのが、この業界の最大の強みです。

② コンサルティングファーム・FAS

監査法人で数年の経験を積んだ後、M&Aや企業再生などを扱うコンサルティングファーム(FAS系)に転職するキャリアも人気です。

  • 年収:監査法人よりさらに実力主義。ベース給+高額なボーナス(成果連動)が特徴。
  • 30代で年収1,500万~2,000万円を超えることも珍しくありませんが、監査法人以上の激務となる傾向があります。

③ 一般企業(事業会社)

監査法人で「外から」企業を見るのではなく、「中から」経営に携わりたい人が、一般企業の経理・財務・経営企画部門に転職するケースです。

  • 年収:一時的に下がる(監査法人シニア800万→転職先700万など)ケースも多いです。
  • しかし、CFO(最高財務責任者)や経理部長などの幹部候補として採用されるため、将来的に役員になれば、ストックオプションなどで監査法人勤務を上回る報酬を得る可能性も秘めています。

【独立開業】の年収リアル:「青天井」と「経営手腕」の世界

公認会計士は税理士登録も可能なため、監査法人を退職して「税理士」として独立開業する道もあります。

監査業務での独立は「ほぼ不可能」

まず大前提として、独占業務である「監査」で独立するのは極めて困難です(監査チームが必要なため)。独立開業する場合、仕事のメインは「税務(税理士業務)」や「会計コンサルティング」となります。

独立した場合の年収は、まさに「青天井」であり「ピンキリ」です。

  • 年収は「経営手腕」次第:顧問先をどれだけ獲得できるか、営業力やコミュニケーション能力が問われます。
  • 年収レンジ:事務所が軌道に乗れば、年収1,500万~3,000万円が現実的な目標となります。もちろん、経営に失敗すれば年収500万円以下になるリスクも、大成功して年収1億円を超える可能性もゼロではありません。

「安定・高収入」を望むなら監査法人、「自分の裁量で、上限なく稼ぎたい」なら独立、という選択になります。

【年代別】リアルな年収カーブまとめ

これまでの話を、年代別にまとめます(最も一般的な監査法人キャリアの場合)。

20代(スタッフ 〜 シニア)

年収 550万 〜 800万円

合格直後から高年収。残業も多いですが、同世代の平均を大きく上回ります。シニアに昇格すると(20代後半)、750万円前後が見えてきます。

30代(シニア 〜 マネージャー)

年収 800万 〜 1,400万円

30代前半でマネージャーに昇格すると、「年収1,000万円」の大台を突破します。この時期に、監査法人に残るか、コンサルや事業会社へ「転職」するか、キャリアの大きな分岐点を迎える人が多い年代です。

40代(マネージャー 〜 パートナー)

年収 1,200万円 〜 青天井

監査法人に残る場合、シニアマネージャー(1,400万円超)を経て、選ばれた人材は「パートナー(共同経営者)」となります。パートナーの年収は最低でも2,000万円、上位層は数億円とも言われます。独立やCFOの道を選んだ人も、成果が表れる年代です。

まとめ

公認会計士の年収は、「資格取得の難易度に見合った、非常に高いリターンが期待できる」というのが「本当の」ところです。

特に、キャリアのスタート地点である監査法人において、年功序列ではなく「職階」によって明確な給与テーブルが示されており、30代で1,000万円に到達できる道筋が見えている点が、他の職業にはない大きな魅力です。

その後のキャリアも、安定した組織人(パートナー)を目指す道、独立して一国一城の主になる道、転職して経営の中枢(CFO)に入る道など、多様な選択肢が用意されています。

About 会計資格ドットコム・編集部

View all posts by 会計資格ドットコム・編集部 →