「簿記3級で『仕訳』や『転記』を学んだけど、今の時代は全部ソフトがやってくれるんでしょ?」
「弥生会計やfreeeって、一体どういう仕組みで動いてるの?」
「簿記の知識って、会計ソフトを使う上で本当に役立つの?」
その通り!現代の経理実務は、会計ソフトなしには成り立ちません。そして、簿記3級で学んだ知識は、まさにその会計ソフトの「裏側(=仕組み)」を理解するための「設計図」そのものなのです。
会計ソフトは「魔法の箱」ではありません。簿記3級で学んだ「仕訳→転記→集計」という一連の流れを、超高速で自動実行しているにすぎません。
この記事では、簿記の知識が「弥生会計」や「freee」などの代表的なソフトでどう活かされているのか、その仕組みを徹底解説します。
簿記3級で学んだ「手書き」の世界(復習)
まず、簿記3級で学んだ流れを思い出しましょう。あなたは「すべて手作業」でこれを行いました。
- 取引(レシート)を見て「仕訳」を考える。
- 仕訳帳に記入する。
- 「仕訳帳」から「総勘定元帳」の各勘定(現金、売掛金など)に「転記」する。(一番面倒な作業!)
- 月末に、全勘定の残高を「試算表(T/B)」に「集計」する。
- 決算整理仕訳を行い、最終的に「P/L」と「B/S」を「作成」する。
この中で、人間が「考える」必要があるのは、最初の「仕訳」だけです。残りの「転記」「集計」「作成」は、ただの「作業」にすぎません。
会計ソフトが「自動で」やっていること
現代の会計ソフトは、この面倒な「作業」をすべて肩代わりしてくれます。
あなたが「仕訳」を1本入力した瞬間、
ソフトは裏側で「①転記」「②集計」「③決算書作成」を瞬時に完了させます。
簿記3級で苦労した「総勘定元帳への転記」や「試算表の作成」は、もはや人間がやる作業ではないのです。あなたが(例えば)「現金」の残高を見たいと思ったら、ソフトは瞬時に最新の残高(=自動転記・集計済みの結果)を表示してくれます。
[Image of a diagram showing how accounting software automates the bookkeeping cycle]
「弥生会計」と「freee」仕組みの違い
では、代表的なソフト「弥生会計」と「freee」は、この「仕訳の入力」部分でどう動きが違うのでしょうか?
① 弥生会計(伝統的ソフト):「簿記の知識」が前提
弥生会計は、伝統的な「仕訳帳」や「伝票」の概念をそのままコンピュータ化したソフトです。
- ユーザーがやること:
簿記3級で学んだ「仕訳」そのものを入力します。
(借) 消耗品費 1,000 / (貸) 現金 1,000
という「簿記の言語」をそのまま入力画面に打ち込みます。 - ソフトがやること:
入力された仕訳をもとに、瞬時に「転記」「集計」を行います。
特徴:簿記3級の知識(借方・貸方)がないと、そもそも「入力」ができません。簿記学習者にとっては、学んだ知識がそのまま活かせる、分かりやすいソフトです。
② freee(クラウド型ソフト):「簿記の知識」が不要(な設計)
freeeは、「簿記が分からない人でも使える」ことを目指して作られた、新しいタイプのソフトです。
- ユーザーがやること:
「仕訳」を入力しません。「何に使ったか」という質問に答えるだけです。
例:「取引日:11/17」「勘定科目:消耗品費」「金額:1,000円」「支出元:現金」 - ソフトがやること:
入力された情報(質問の答え)から、freeeが「裏側で」簿記の仕訳を自動生成します。
→((借) 消耗品費 1,000 / (貸) 現金 1,000)という仕訳が作られる。
その後、弥生と同様に「転記」「集計」を自動で行います。
特徴:ユーザーは借方・貸方を一切意識しません。しかし、裏側では簿記3級で学んだ「仕訳」が確実に動いています。
簿記3級の知識が「最強の武器」になる理由
「じゃあ、freeeを使えば簿記の知識はいらない?」
いいえ、まったく逆です。簿記3級の知識は、会計ソフトが普及した現代だからこそ、さらに価値が高まっています。
理由①:ソフトが作った「自動仕訳」をチェックできる
freeeなどのクラウドソフトは、銀行明細やクレジットカード連携で「仕訳を自動で推測」します。しかし、このAI推測は100%完璧ではありません。
(例:単なる「振込」を、AIが「売上」と間違えて仕訳するかもしれない)
この「AIの間違い」に気づき、「いや、これは売上じゃなくて、ただの資金移動((借)普通預金 / (貸)普通預金)ですよ」と修正できるのは、簿記3級の知識がある人だけです。このチェックができないと、間違った決算書が自動で出来上がってしまいます。
理由②:トラブルの原因を「設計図」から特定できる
「なぜか現金残高がマイナスになってる!」「利益が合わない!」
ソフトを使っていても、必ずエラーやトラブルは起きます。
簿記の知識がない人は、ソフトの「表面(入力画面)」しか見えず、パニックになります。しかし、簿記3級の知識があるあなたは、ソフトの「裏側(総勘定元帳や試算表)」を開き、「どの仕訳がおかしいのか」「どの勘定の転記が間違っているのか」を論理的に追跡し、原因を特定できます。
まとめ
会計ソフトは、簿記3級で学んだ「転記・集計」という面倒な作業を自動化してくれる、非常に便利な「マシン」です。
- 弥生会計は、そのマシンに「仕訳」という命令(コード)を直接打ち込むソフト。
- freeeは、日常会話(取引内容)を「仕訳」に自動翻訳してから、マシンを動かすソフト。
どちらにせよ、そのマシンの「設計図(=簿記の仕組み)」を理解していることが、現代の経理担当者にとっての最強の武器となります。簿記3級の知識は、あなたの実務を生涯にわたって支える土台となるのです。

