「仕事が忙しくて、勉強時間をどう確保すればいいか分からない…」
「残業や飲み会もある中で、本当に合格なんてできるの?」
「具体的な1日のタイムスケジュールが知りたい!」
税理士試験の受験生の多くは、あなたと同じように「仕事」と「勉強」の狭間で戦う社会人です。
結論から言えば、働きながらの税理士試験合格は「可能」です。
ただし、それには精神論だけではない、緻密な「スケジュール管理」と「タイムマネジメント」が不可欠です。
この記事では、社会人受験生が挫折せず最短で合格を掴むための、具体的な勉強スケジュール例(年間・月間・毎日)を徹底的に解説します。
大前提:合格に必要な「勉強時間」と「ペース配分」
まず、敵を知ることから始めましょう。税理士試験(5科目)の合格に必要な総勉強時間は、一般的に3,000時間~5,000時間と言われています。
1科目あたりの勉強時間(目安)
- 簿記論:約450~500時間
- 財務諸表論:約450~500時間
- 法人税法 or 所得税法:約600~1,000時間
- 相続税法:約500~600時間
- 消費税法:約300~350時間
- ミニ税法(国税徴収法など):約200~250時間
社会人受験生の現実的な戦略は「1年に1科目(または簿財2科目)の合格」を目指すことです。仮に年間500時間(1科目)の勉強を確保する場合、1日あたり平均で約1.5時間となりますが、これは少なすぎます。
合格ライン(上位15%)に入るには、平日は平均3時間、休日は8時間程度の勉強時間を「安定して」確保する覚悟が必要です。
【年間スケジュール例】(1科目合格ペース / 9月スタート)
最も一般的な「9月開講~翌年8月本試験」のコースをモデルに、年間の流れを掴みましょう。
Phase 1:基礎期(9月~12月)
- 目標:講義の消化とテキストの読み込み(インプット)を完了させる。
- 行動:
- 平日は講義の視聴(通信講座など)と復習。
- 週末にテキスト全体の復習と、基礎的な個別問題を解く。
- 忘年会シーズンも「1日30分でも理論暗記」など、学習の「ゼロ日」を作らない。
Phase 2:応用期(1月~4月)
- 目標:個別問題集を完璧にし、理論暗記を本格化させる。
- 行動:
- 問題集を「解ける」ではなく「他人に説明できる」レベルまで繰り返す(最低3回転)。
- 理論暗記を毎日のルーティンに組み込む。
- この時期の中だるみに注意。勉強仲間を見つけるのも手。
Phase 3:直前期(5月~7月)
- 目標:総合問題演習(答練・模試)を通じて「合格点を取る技術」を磨く。
- 行動:
- 答練(答案練習)は「受けること」より「復習」が10倍重要。間違えた箇所を潰す。
- 時間配分の訓練。解くべき問題(Aランク)と捨てる問題(Cランク)の見極めを徹底する。
- GW(ゴールデンウィーク)は最大の追い込みチャンス。有給休暇の活用も検討する。
Phase 4:本試験(8月)
新しいことには手を出さず、これまで使った教材の復習と、理論暗記の最終確認に徹する。何よりも体調管理を最優先に。
【毎日の勉強スケジュール例】タイムマネジメント術
社会人受験生の最大の敵は「時間の無さ」です。しかし、時間は「作る」ものです。
鍵は「スキマ時間の徹底活用」と「朝時間の確保」です。
平日(勉強時間:合計3〜4時間確保)
| 時間帯 | 勉強内容(例) |
|---|---|
| 6:00〜7:30 (1.5h) | 【朝:ゴールデンタイム】 頭が最も冴えている時間。計算問題や、前日の理論暗記の確認。 |
| 7:30〜8:30 (1.0h) | 【通勤時間】 理論の音声講義(耳学)または、スマホで理論暗記アプリ。 |
| 12:00〜12:45 (0.5h) | 【昼休み】 食事を素早く済ませ、理論テキストの読み込み。(※0.5hでも貴重!) |
| 19:00〜20:00 (1.0h) | 【帰宅時間】 (もし座れれば)理論テキストの読み込み。 |
| 22:00〜23:00 (1.0h) | 【就寝前】 1日の総復習、新しい理論のインプット(暗記は朝)。疲れているので無理はしない。 |
※上記はあくまで一例です。「飲み会」や「残業」は最大の敵です。「週に2日は絶対に残業しない日を作る」「飲み会は一次会で必ず帰る」など、自分ルールを徹底することが重要です。
休日(勉強時間:合計8〜10時間確保)
| 時間帯 | 勉強内容(例) |
|---|---|
| 9:00〜12:00 (3.0h) | 【午前】 最も集中できる時間帯。答練や総合問題など、時間のかかるものを解く。 |
| 13:00〜17:00 (4.0h) | 【午後】 答練の徹底的な復習。個別問題演習で弱点を潰す。 |
| 21:00〜23:00 (2.0h) | 【夜】 1週間の総復習。平日にやり残した部分の調整。理論暗記。 |
※休日に「丸一日休む日」を作るのは危険です。リフレッシュは「半日」にとどめ、学習リズムを崩さないことが重要です。
働きながら合格するための「3つの鉄則」
スケジュール管理と合わせて、以下のマインドセットが合否を分けます。
鉄則①:「完璧」ではなく「合格点」を目指す
税理士試験は満点を取る試験ではなく、上位15%に入る試験(相対評価)です。誰も解けない難問(Cランク)を追うより、全員が正解する基礎(Aランク)を絶対に落とさないことが重要。完璧主義を捨てましょう。
鉄則②:「勉強しない日」を絶対に作らない
どんなに疲れていても、飲み会で遅くなっても、「理論テキストを1ページだけ読む」「スマホで5分だけ暗記する」など、学習をゼロにしないでください。一度途切れた習慣を取り戻すのは非常に困難です。
鉄則③:「予備校(通信)」を最大限活用する
社会人受験生に独学は推奨しません。時間がないからです。予備校(特にWeb通信講座)は、「時間をお金で買う」最強のツールです。プロの分析による最短カリキュラム、質問体制、スキマ時間で観られる講義動画を最大限に活用してください。
まとめ
働きながら税理士試験に合格する道は、平坦ではありません。しかし、「絶対に税理士になる」という強い意志と、「正しい戦略(スケジュール管理)」があれば、必ずゴールにたどり着けます。
合格までに数年かかるかもしれません。しかし、その先に待っている「税理士」という専門家キャリアは、その苦労を補って余りあるものです。
他人と比べる必要はありません。今日のあなたが立てたスケジュールを、淡々とこなすこと。その小さな積み重ねが、未来のあなたを創ります。

