こんにちは!「簿記3級合格へ導く!無料Web講座」へようこそ。
第31回では、「増資」や「配当」といった、「純資産の部」が動く取引について学びました。特に配当の2段階の仕訳(決議時・支払時)と利益準備金の積立は重要でしたね。
さて、第6部「試験特有の論点」もいよいよ大詰めです。会社を運営する上で、絶対に避けて通れないものがあります。それは「税金」の支払いです。
簿記3級では、たくさんの税金の中でも特に重要な2種類の税金、「商品売買」に関わる「消費税」と、「会社の利益」にかかる「法人税等」の処理方法が問われます。
今回は、この2つの税金について、仕訳の方法をしっかりマスターしましょう!
今日のゴール
- 「消費税」の「税抜方式」の仕組みがわかる
- 「仮払消費税」(資産)と「仮受消費税」(負債)を使った売買時の仕訳ができる
- 決算で、消費税の納付額を計算し「未払消費税」へ振り替える仕訳ができる
- 「法人税等」の処理(中間納付→決算→確定納付)という3ステップの流れがわかる
- 「仮払法人税等」(資産)と「法人税等」(費用)、「未払法人税等」(負債)を正しく使い分けられる
① 消費税の処理(税抜方式)
消費税は、商品やサービスの消費に対して課される税金です。
お店(会社)は、消費者から消費税を「預かり」、仕入先には消費税を「支払い」、その差額を国に納付します。
簿記3級で学ぶのは「税抜方式」です。
これは、商品の本体価格と消費税額を、最初から分けて仕訳する方法です。
この処理のために、2つの新しい勘定科目を使います。
- 仮払消費税
- グループ: 資産
- 使う場面: 商品を仕入れたり、費用を支払ったりした時(=税金を支払った時)。
- 意味: 「後で国に納める税金から引いてもらう(または返してもらう)権利」
- 仮受消費税
- グループ: 負債
- 使う場面: 商品を売り上げたりした時(=税金を預かった時)。
- 意味: 「後で国に納めなければならない義務」
設例①:商品を仕入れた時(仮払消費税)
【設例1】商品10,000円を仕入れ、消費税1,000円(税率10%)とともに、合計11,000円を現金で支払った。
【考え方】
- 「仕入」(費用)が10,000円発生した → 借方(左)に「仕入 10,000」
- 消費税1,000円を「支払った」 → 借方(左)に「仮払消費税 1,000」
- 「現金」(資産)が合計11,000円減った → 貸方(右)に「現金 11,000」
【仕訳】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 10,000 | 現金 | 11,000 |
| 仮払消費税 | 1,000 |
設例②:商品を売り上げた時(仮受消費税)
【設例2】商品20,000円を売り上げ、消費税2,000円(税率10%)とともに、合計22,000円を現金で受け取った。
【考え方】
- 「現金」(資産)が合計22,000円増えた → 借方(左)に「現金 22,000」
- 「売上」(収益)が20,000円発生した → 貸方(右)に「売上 20,000」
- 消費税2,000円を「預かった」 → 貸方(右)に「仮受消費税 2,000」
【仕訳】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 22,000 | 売上 | 20,000 |
| 仮受消費税 | 2,000 |
設例③:決算時の仕訳(差額の納付)
決算日になったら、「仮受消費税(預かった分)」と「仮払消費税(支払った分)」を相殺し、差額(=国に納めるべき金額)を計算します。
この納付すべき金額は、「未払消費税」という「負債」の勘定科目で処理します。
【設例3】決算日になった。当期の「仮受消費税」の残高は 500,000円、「仮払消費税」の残高は 300,000円であった。納付すべき消費税額を計算し、決算整理仕訳を行う。
【考え方】
(預かった)500,000円 - (支払った)300,000円 = 200,000円(納付すべき額)
仕訳は、2つの「仮」勘定をゼロにし、差額を「未払消費税」にします。
- 「仮受消費税」(負債)をゼロにする → 借方(左)に「仮受消費税 500,000」
- 「仮払消費税」(資産)をゼロにする → 貸方(右)に「仮払消費税 300,000」
- 差額(納付額)を「負債」として計上 → 貸方(右)に「未払消費税 200,000」
【仕訳】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仮受消費税 | 500,000 | 仮払消費税 | 300,000 |
| 未払消費税 | 200,000 |
※(参考)もし支払った分(仮払)が多かった場合、差額は「未収消費税」(資産)として借方に計上されます(=還付)。
② 法人税等の処理
「法人税等」とは、会社の利益(儲け)に対して課される税金です。
(正式には「法人税、住民税及び事業税」といいますが、簿記3級では「法人税等」とまとめます)
この処理は、「①中間納付」→「②決算」→「③確定納付」という3ステップで進みます。
ステップ①:中間納付(期中)
期中に、前期の税額などを参考にした「予定額」を、あらかじめ半分納付します。これを中間納付といいます。
この時点では、まだ当期の「費用」とは確定していないため、「仮払法人税等」という「資産」で処理します。
【設例4】法人税等の中間納付として、80,000円を普通預金から支払った。
【仕訳】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仮払法人税等 | 80,000 | 普通預金 | 80,000 |
ステップ②:税額の確定(決算整理仕訳)
決算日になり、当期の利益が計算され、納めるべき税金の「総額」が確定します。
ここで初めて、当期の「費用」として「法人税等」を計上します。
そして、すでに支払った「仮払法人税等」を差し引き、残りの納付すべき額を「未払法人税等」という「負債」で処理します。
【設例5】決算日になった。当期の法人税等は 130,000円 と確定した。なお、中間納付(設例4)で 80,000円 を仮払いしている。
【考え方】
(当期の税金総額)130,000円 - (中間納付)80,000円 = 50,000円(これから払う分)
- 当期の「費用」総額を計上 → 借方(左)に「法人税等 130,000」
- 中間納付した「仮払」をゼロにする → 貸方(右)に「仮払法人税等 80,000」
- 残りの「未払」額を負債として計上 → 貸方(右)に「未払法人税等 50,000」
【仕訳】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 法人税等 | 130,000 | 仮払法人税等 | 80,000 |
| 未払法人税等 | 50,000 |
ステップ③:確定納付(翌期)
翌期になり、決算で確定した残額(未払法人税等)を、税務署に納付します。
【設例6】上記設例5の未払法人税等 50,000円を、現金で納付した。
【仕訳】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払法人税等 | 50,000 | 現金 | 50,000 |
POINTまとめ
- 消費税(税抜方式)
- 仕入時: (借)仕入、(借)仮払消費税 / (貸)現金など
- 売上時: (借)現金など / (貸)売上、(貸)仮受消費税
- 決算時: (借)仮受消費税 / (貸)仮払消費税、(貸)未払消費税
- 法人税等
- ①中間納付時: (借)仮払法人税等 / (貸)現金など
- ②決算時: (借)法人税等 / (貸)仮払法人税等、(貸)未払法人税等
- ③確定納付時: (借)未払法人税等 / (貸)現金など
ミニクイズ
お疲れ様でした!税金の処理は、使う勘定科目が多いですが、流れを掴めば難しくありません。
【Q1】商品を売り上げた時に、お客様から預かった消費税を処理する勘定科目はどれ?
- 仮払消費税(資産)
- 仮受消費税(負債)
- 未払消費税(負債)
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【A1】2. 仮受消費税(負債)
解説:「仮に」「受け取った」消費税なので「仮受消費税」です。国に納める義務(負債)ですね。「仮払」は支払った時、「未払」は決算で納付額が確定した時に使います。
【Q2】法人税等の中間納付を行った。このとき、費用の勘定科目である「法人税等」は使う? 使わない?
- 使う
- 使わない
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【A2】2. 使わない
解説:中間納付の時点では、まだ当期の費用(税額)は確定していません。あくまで「仮払い」なので、「仮払法人税等」(資産)を使います。「法人税等」(費用)を使うのは決算時です。
これで、第6部「試験特有の論点」もすべて完了です!
簿記3級の学習範囲は、ほぼすべて網羅しました!
次回はいよいよ最終回。
これまでの学習を振り返りながら、合格に向けた総復習のポイントや、学習のアドバイスをお伝えします!

