簿記3級無料講座 第32回:意外と大事な「税金」の処理|消費税と法人税等

こんにちは!「簿記3級合格へ導く!無料Web講座」へようこそ。

第31回では、「増資」や「配当」といった、「純資産の部」が動く取引について学びました。特に配当の2段階の仕訳(決議時・支払時)と利益準備金の積立は重要でしたね。

さて、第6部「試験特有の論点」もいよいよ大詰めです。会社を運営する上で、絶対に避けて通れないものがあります。それは「税金」の支払いです。

簿記3級では、たくさんの税金の中でも特に重要な2種類の税金、「商品売買」に関わる「消費税」と、「会社の利益」にかかる「法人税等」の処理方法が問われます。
今回は、この2つの税金について、仕訳の方法をしっかりマスターしましょう!

今日のゴール

  • 「消費税」の「税抜方式」の仕組みがわかる
  • 「仮払消費税」(資産)と「仮受消費税」(負債)を使った売買時の仕訳ができる
  • 決算で、消費税の納付額を計算し「未払消費税」へ振り替える仕訳ができる
  • 「法人税等」の処理(中間納付→決算→確定納付)という3ステップの流れがわかる
  • 「仮払法人税等」(資産)と「法人税等」(費用)、「未払法人税等」(負債)を正しく使い分けられる

① 消費税の処理(税抜方式)

消費税は、商品やサービスの消費に対して課される税金です。
お店(会社)は、消費者から消費税を「預かり」、仕入先には消費税を「支払い」、その差額を国に納付します。

簿記3級で学ぶのは「税抜方式」です。
これは、商品の本体価格と消費税額を、最初から分けて仕訳する方法です。

この処理のために、2つの新しい勘定科目を使います。

  1. 仮払消費税
    • グループ: 資産
    • 使う場面: 商品を仕入れたり、費用を支払ったりした時(=税金を支払った時)。
    • 意味: 「後で国に納める税金から引いてもらう(または返してもらう)権利」
  2. 仮受消費税
    • グループ: 負債
    • 使う場面: 商品を売り上げたりした時(=税金を預かった時)。
    • 意味: 「後で国に納めなければならない義務」

設例①:商品を仕入れた時(仮払消費税)

【設例1】商品10,000円を仕入れ、消費税1,000円(税率10%)とともに、合計11,000円を現金で支払った。

【考え方】

  • 「仕入」(費用)が10,000円発生した → 借方(左)に「仕入 10,000」
  • 消費税1,000円を「支払った」 → 借方(左)に「仮払消費税 1,000」
  • 「現金」(資産)が合計11,000円減った → 貸方(右)に「現金 11,000」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
仕入 10,000 現金 11,000
仮払消費税 1,000

設例②:商品を売り上げた時(仮受消費税)

【設例2】商品20,000円を売り上げ、消費税2,000円(税率10%)とともに、合計22,000円を現金で受け取った。

【考え方】

  • 「現金」(資産)が合計22,000円増えた → 借方(左)に「現金 22,000」
  • 「売上」(収益)が20,000円発生した → 貸方(右)に「売上 20,000」
  • 消費税2,000円を「預かった」 → 貸方(右)に「仮受消費税 2,000」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
現金 22,000 売上 20,000
仮受消費税 2,000

設例③:決算時の仕訳(差額の納付)

決算日になったら、「仮受消費税(預かった分)」と「仮払消費税(支払った分)」を相殺し、差額(=国に納めるべき金額)を計算します。

この納付すべき金額は、「未払消費税」という「負債」の勘定科目で処理します。

【設例3】決算日になった。当期の「仮受消費税」の残高は 500,000円、「仮払消費税」の残高は 300,000円であった。納付すべき消費税額を計算し、決算整理仕訳を行う。

【考え方】

(預かった)500,000円 - (支払った)300,000円 = 200,000円(納付すべき額)

仕訳は、2つの「仮」勘定をゼロにし、差額を「未払消費税」にします。

  • 「仮受消費税」(負債)をゼロにする → 借方(左)に「仮受消費税 500,000」
  • 「仮払消費税」(資産)をゼロにする → 貸方(右)に「仮払消費税 300,000」
  • 差額(納付額)を「負債」として計上 → 貸方(右)に「未払消費税 200,000」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
仮受消費税 500,000 仮払消費税 300,000
未払消費税 200,000

※(参考)もし支払った分(仮払)が多かった場合、差額は「未収消費税」(資産)として借方に計上されます(=還付)。

② 法人税等の処理

「法人税等」とは、会社の利益(儲け)に対して課される税金です。
(正式には「法人税、住民税及び事業税」といいますが、簿記3級では「法人税等」とまとめます)

この処理は、「①中間納付」→「②決算」→「③確定納付」という3ステップで進みます。

ステップ①:中間納付(期中)

期中に、前期の税額などを参考にした「予定額」を、あらかじめ半分納付します。これを中間納付といいます。
この時点では、まだ当期の「費用」とは確定していないため、「仮払法人税等」という「資産」で処理します。

【設例4】法人税等の中間納付として、80,000円を普通預金から支払った。

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
仮払法人税等 80,000 普通預金 80,000

ステップ②:税額の確定(決算整理仕訳)

決算日になり、当期の利益が計算され、納めるべき税金の「総額」が確定します。
ここで初めて、当期の「費用」として「法人税等」を計上します。

そして、すでに支払った「仮払法人税等」を差し引き、残りの納付すべき額を「未払法人税等」という「負債」で処理します。

【設例5】決算日になった。当期の法人税等は 130,000円 と確定した。なお、中間納付(設例4)で 80,000円 を仮払いしている。

【考え方】

(当期の税金総額)130,000円 - (中間納付)80,000円 = 50,000円(これから払う分)

  • 当期の「費用」総額を計上 → 借方(左)に「法人税等 130,000」
  • 中間納付した「仮払」をゼロにする → 貸方(右)に「仮払法人税等 80,000」
  • 残りの「未払」額を負債として計上 → 貸方(右)に「未払法人税等 50,000」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
法人税等 130,000 仮払法人税等 80,000
未払法人税等 50,000

ステップ③:確定納付(翌期)

翌期になり、決算で確定した残額(未払法人税等)を、税務署に納付します。

【設例6】上記設例5の未払法人税等 50,000円を、現金で納付した。

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
未払法人税等 50,000 現金 50,000

POINTまとめ

  • 消費税(税抜方式)
    • 仕入時: (借)仕入、(借)仮払消費税 / (貸)現金など
    • 売上時: (借)現金など / (貸)売上、(貸)仮受消費税
    • 決算時: (借)仮受消費税 / (貸)仮払消費税、(貸)未払消費税
  • 法人税等
    • ①中間納付時: (借)仮払法人税等 / (貸)現金など
    • ②決算時: (借)法人税等 / (貸)仮払法人税等、(貸)未払法人税等
    • ③確定納付時: (借)未払法人税等 / (貸)現金など

ミニクイズ

お疲れ様でした!税金の処理は、使う勘定科目が多いですが、流れを掴めば難しくありません。

【Q1】商品を売り上げた時に、お客様から預かった消費税を処理する勘定科目はどれ?

  1. 仮払消費税(資産)
  2. 仮受消費税(負債)
  3. 未払消費税(負債)
答えを見る

【A1】2. 仮受消費税(負債)

解説:「仮に」「受け取った」消費税なので「仮受消費税」です。国に納める義務(負債)ですね。「仮払」は支払った時、「未払」は決算で納付額が確定した時に使います。

【Q2】法人税等の中間納付を行った。このとき、費用の勘定科目である「法人税等」は使う? 使わない?

  1. 使う
  2. 使わない
答えを見る

【A2】2. 使わない

解説:中間納付の時点では、まだ当期の費用(税額)は確定していません。あくまで「仮払い」なので、「仮払法人税等」(資産)を使います。「法人税等」(費用)を使うのは決算時です。

これで、第6部「試験特有の論点」もすべて完了です!
簿記3級の学習範囲は、ほぼすべて網羅しました!

次回はいよいよ最終回。
これまでの学習を振り返りながら、合格に向けた総復習のポイントや、学習のアドバイスをお伝えします!

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