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第6部に入り、前回は試験で超重要な「精算表」を学びました。簿記の基本的な一連の流れはほぼマスターしましたが、ここからは試験で問われる個別の重要論点を深掘りしていきます。
さて、私たちは貸借対照表(B/S)の「資産の部」(現金、建物など)と「負債の部」(買掛金、借入金など)については、かなり詳しく学んできました。
では、B/Sの右側を構成するもう一つの大きなグループ、「純資産の部」とは一体何でしょうか?
「純資産」は「オーナー(株主)の持ち分」とも呼ばれ、会社の元手となる非常識に重要な部分です。
今回は、この「純資産の部」を構成する3つの主要な勘定科目、「資本金」「資本準備金」「繰越利益剰余金」について、その役割と関係性をしっかりマスターしましょう!
今日のゴール
- 「純資産の部」が何を表しているのか(オーナーの持ち分)がわかる
- 「資本金」と「資本準備金」の役割と、これらがオーナーからの出資(元手)であることを理解する
- 【最重要】「繰越利益剰余金」が、過去の利益の「貯金箱」であることを理解する
- 損益計算書(P/L)の利益が、貸借対照表(B/S)の「繰越利益剰余金」に繋がることを理解する
「純資産の部」とは? – オーナーの持ち分
「純資産」とは、会社の総資産から、返済義務のある「負債」(他人資本)を差し引いた、「正味の財産」であり、「オーナー(株主)の持ち分」を表します。
この「純資産」は、大きく2つの源泉から生まれます。
- オーナー(株主)が出資したお金(元手)
- 会社が設立後に稼いだ利益の蓄積(儲け)
簿記3級では、この2つをしっかり区別することが重要です。
【重要】「純資産=現金」ではありません!
純資産は、あくまでB/Sの右側(貸方)にある「概念上」の金額です。「純資産が1億円ある」=「金庫に1億円の現金がある」という意味ではありません。そのお金は「資産」の部で「現金」や「備品」など様々な形に姿を変えて運用されています。
① オーナーが出資したお金(元手)
会社を作るときや、追加でお金を集めるときに、オーナーである「株主」が払い込んだお金です。
これを「資本取引」といい、主に2つの勘定科目で管理します。
資本金
「資本金」は、株主が会社に払い込んだ「元手」のうち、基本となる部分です。
会社の「体力」を示す最も基本的なお金であり、会社の登記簿にも記載される、会社の「顔」とも言える金額です。
当然、「純資産」グループなので、ホームポジションは貸方(右側)です。
資本準備金
「資本準備金」は、「資本金」のパートナーのような勘定科目です。
会社法という法律では、株主が払い込んだお金(出資金)のうち、全額を「資本金」にしなくても良いとされています。(※最低でも半分は資本金にする必要があります)
では、資本金にしなかった残りのお金はどこへ行くのか?
それが、この「資本準備金」です。
【例】株主が1,000,000円を払い込み、会社は「半分を資本金、半分を資本準備金」と決めた。
【仕訳】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,000,000 | 資本金 | 500,000 |
| 資本準備金 | 500,000 |
→ 「資本金」も「資本準備金」も、どちらも株主からの出資金(純資産)なので、貸方(右側)に計上されます。
② 会社が稼いだ利益の蓄積(儲け)
これが純資産のもう一つの源泉であり、簿記の学習上、非常に重要です。
繰越利益剰余金
「繰越利益剰余金」は、会社が設立されてから今までに稼いだ「当期純利益」の、累計の貯金箱です。
私たちは第27回で、帳簿の締切の際に、1年間の儲け(当期純利益)を「資本金」に振り替える仕訳 `(借) 損益 / (貸) 資本金` を学びました。
あの仕訳は、簿記の仕組みを理解するための「簡略化」した方法です。
現在の簿記(および実際の試験)では、利益は「資本金」とは別の「貯金箱」で管理します。それが「繰越利益剰余金」です。
【正しい利益の振替(第27回の訂正・深掘り)】
P/Lで「当期純利益」が85,000円出た場合、帳簿の締切(損益勘定の締切)で行う正しい仕訳は、こちらです。
【締切仕訳③:利益の振替(正式版)】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 損益 | 85,000 | 繰越利益剰余金 | 85,000 |
→ 利益(純資産)が増えるので、貸方(右側)に「繰越利益剰余金」を計上します。
もし、翌年も100,000円の利益が出たら、この勘定の残高は 85,000 + 100,000 = 185,000円 となり、利益がどんどん積み上がっていく(繰り越されていく)のです。
この「繰越利益剰余金」こそが、P/L(1年間の利益)とB/S(財産の蓄積)とを繋ぐ、非常に重要な勘定科目なのです。
純資産の部の構造(まとめ)
B/Sの「純資産の部」は、この2つの源泉(株主資本と利益剰余金)で構成されています。
貸借対照表(純資産の部)
【純資産の部】
- 1.株主資本(オーナーからの元手)
- ・資本金
- ・資本剰余金
- (資本準備金 など)
- 2.利益剰余金(会社が稼いだ儲け)
- ・(繰越利益剰余金 など)
POINTまとめ
- 純資産は「資産 - 負債」で計算される「オーナーの持ち分」。
- 純資産は「オーナーからの出資(株主資本)」と「過去の利益の蓄積(利益剰余金)」から成る。
- 資本金:株主が出資した「元手」の基本部分。(純資産)
- 資本準備金:株主が出資した「元手」のうち、資本金にしなかった部分。(純資産)
- 繰越利益剰余金:会社が過去に稼いだ「利益」の累計額(貯金箱)。(純資産)
- 1年間の「当期純利益」は、決算で「損益」勘定から「繰越利益剰余金」勘定に振り替えられる。
ミニクイズ
お疲れ様でした!「純資産の部」の3つの主役の顔と名前が一致しましたか?クイズで確認しましょう。
【Q1】会社が設立されてから今までに稼いだ利益が蓄積されていく「貯金箱」のような勘定科目はどれ?
- 資本金
- 資本準備金
- 繰越利益剰余金
答えを見る
【A1】3. 繰越利益剰余金
解説:P/Lの利益は、この「繰越利益剰余金」に毎年繰り越され、蓄積されていきます。
【Q2】株主が100万円を払い込み、会社法の規定により、半分を資本金、半分を資本準備金とした。正しい仕訳はどれ?
- (借) 現金 100万 / (貸) 資本金 100万
- (借) 現金 100万 / (貸) 資本金 50万 / (貸) 資本準備金 50万
- (借) 現金 100万 / (貸) 資本金 50万 / (貸) 繰越利益剰余金 50万
答えを見る
【A2】2. (借) 現金 100万 / (貸) 資本金 50万 / (貸) 資本準備金 50万
解説:「資本金」と「資本準備金」は、どちらも株主からの「出資(元手)」を表す勘定科目です。「繰越利益剰余金」は、会社が稼いだ「利益」の勘定科目です。
今回は「純資産」の3つの勘定科目の「意味」を学びました。
では、これらの勘定科目は、実際の取引でどのように動くのでしょうか?
次回は、この純資産を使った取引、つまり会社が追加で出資を受ける「増資」と、儲けを株主に還元する「配当」の仕訳について学びます!

