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第26回では、「決算整理後残高試算表」の「資産・負債・純資産」を使って、会社の財産状況を示す「貸借対照表(B/S)」を作成しました。
そして、第25回で作成した「損益計算書(P/L)」の「当期純利益」が、B/Sの「純資産の部」に合流し、左右の合計がバランスすることを学びましたね。
これで、1年間の成績表(P/LとB/S)が完成しました!本当にお疲れ様でした!
…さて、これで終わりではありません。最後の大仕事、「後片付け」が残っています。
来年(翌期)もまた新しい帳簿付けが始まります。そのために、今年使った勘定をキレイにリセットし、来年に引き継ぐ準備をしなければなりません。
今回は、この簿記一巡のサイクルの最後を飾る「帳簿の締切」と、利益を元手(純資産)に組み込む手続きをマスターしましょう!
今日のゴール
- なぜ帳簿の締切が必要なのか、その目的を理解する
- 「収益・費用」の勘定(臨時勘定)をリセット(ゼロに)する方法がわかる
- 「損益(そんえき)」勘定の役割と、決算書との違いがわかる
- 当期純利益を「資本金」勘定に振り替える仕訳ができる
- 「資産・負債・純資産」の勘定(永久勘定)を次年度に繰り越す流れがわかる
なぜ「帳簿の締切」が必要なの?
帳簿の締切が必要な理由は、勘定科目に2つの種類があるからです。
- 臨時勘定
- 該当:「収益」と「費用」のグループ(売上、仕入、給料など)
- 役割:その1年間(当期)の儲けを計算するため「だけ」に存在する。
- 処理:来年のために残高をゼロにリセットする必要がある。
(例:来年の売上は、また0円からスタートする)
- 永久勘定
- 該当:「資産」「負債」「純資産」のグループ(現金、買掛金、資本金など)
- 役割:会社の財産状況を示し、来年に引き継がれる。
- 処理:残高はゼロにならず、そのまま来年に持ち越される(繰り越される)。
(例:12月31日の現金10万円は、1月1日も10万円のまま)
つまり、帳簿の締切とは、主に「収益」と「費用」の臨時勘定をゼロにする作業のことを指します。
帳簿締切の3ステップ
では、どうやって「収益」「費用」の残高をゼロにするのでしょうか?
ここで、P/L(損益計算書)の作成とは別に、帳簿上で「損益」という特別な勘定(T勘定)を使います。
この「損益」勘定は、P/Lを作るための一時的な「集計ボックス」だと考えてください。
ステップ1:すべての「収益」を「損益」勘定に振り替える
「売上」や「受取家賃」などの収益科目は、決算整理後残高試算表で「貸方(右側)」に残高があります。
これをゼロにするため、仕訳の「借方(左側)」に書いて強制的に残高を消します。
そして、その相手科目を「損益」にします。
【決算整理後残高】
(売上) T勘定: 貸方残高 500,000円
(受取家賃) T勘定: 貸方残高 10,000円
【締切仕訳①:収益の振替】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売上 | 500,000 | 損益 | 510,000 |
| 受取家賃 | 10,000 |
→ この仕訳を転記すると、「売上」「受取家賃」のT勘定は残高ゼロになり、「損益」T勘定の貸方(右側)に収益合計 510,000円 が集まります。
ステップ2:すべての「費用」を「損益」勘定に振り替える
次に、「仕入」「給料」「支払利息」などの費用科目は、「借方(左側)」に残高があります。
これをゼロにするため、仕訳の「貸方(右側)」に書いて残高を消します。
相手科目は、もちろん「損益」です。
【決算整理後残高】
(仕入) T勘定: 借方残高 300,000円
(給料) T勘定: 借方残高 120,000円
(支払利息)T勘定: 借方残高 5,000円
(※P/Lの例から費用合計は 425,000円 とします)
【締切仕訳②:費用の振替】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 損益 | 425,000 | 仕入 | 300,000 |
| 給料 | 120,000 | ||
| 支払利息 | 5,000 |
→ この仕訳で、「仕入」「給料」などの費用勘定はすべて残高ゼロになり、「損益」T勘定の借方(左側)に費用合計 425,000円 が集まります。
ステップ3:「損益」勘定の差額(=利益)を「資本金」に振り替える
ステップ1と2の結果、「損益」T勘定はどうなっているでしょうか?
→ 当期純利益!
この差額 85,000円は、P/Lで計算した「当期純利益」と必ず一致します。
この利益は、1年頑張った結果増えた「オーナーの元手」です。
したがって、この利益を「資本金」(純資産)勘定に合流させます。
同時に、「損益」勘定もゼロにします。
【締切仕訳③:利益の振替】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 損益 | 85,000 | 資本金 | 85,000 |
→ これで「損益」勘定も残高ゼロになりました。
そして、「資本金」勘定の貸方(右側)が 85,000円 増えました。
これは、B/Sで「純資産の部」に「当期純利益 85,000円」を加算したことと、同じ結果になります!
※もし赤字(当期純損失)だった場合は、仕訳が逆(借)資本金 / (貸)損益 となり、資本金が減ります。
「資産・負債・純資産」の勘定の締切
「現金」や「買掛金」などの「永久勘定」は、残高をゼロにはしません。
帳簿上は、残高を計算し、その残高を「次期繰越」として反対側に記入し、いったんT勘定の左右を一致させて締め切ります。
そして翌期首に、その残高を「前期繰越」として元の側に戻す、という作業を行います。
これは仕訳ではなく、帳簿上の「線引き」の作業なので、簿記3級では「B/Sグループの勘定は、残高を来年に持ち越す」と理解しておけば十分です。
POINTまとめ
- 帳簿の締切は、来年の帳簿をゼロからスタートするために行う「後片付け」。
- 「収益・費用」の勘定(臨時勘定)は、残高をゼロにする必要がある。
- 「資産・負債・純資産」の勘定(永久勘定)は、残高をゼロにせず、来年に繰り越す。
- 締切は、一時的な「損益」勘定(T勘定)を使って行う。
- (借)売上など / (貸)損益 ← 収益を全部集める
- (借)損益 / (貸)仕入・給料など ← 費用を全部集める
- (借)損益 / (貸)資本金 ← 差額の「利益」を資本金に振り替える
- この結果、今年の利益が、来年の元手(資本金)にプラスされる。
ミニクイズ
お疲れ様でした!これで「仕訳に始まり、帳簿の締切に終わる」という簿記一巡のすべての流れが完了しました!
【Q1】決算において、残高をゼロにしてリセットする必要がある勘定グループはどれ?
- 資産・負債・純資産
- 収益・費用
- すべての勘定
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【A1】2. 収益・費用
解説:収益・費用は「1年間の成績」を測るための臨時勘定なので、翌期はゼロからスタートします。資産・負債・純資産は「永久勘定」として残高が引き継がれます。
【Q2】1年間の収益合計が 1,000円、費用合計が 800円だった。このとき、当期純利益 200円を「資本金」勘定に振り替える仕訳として正しいものはどれ?
- (借) 損益 200 / (貸) 資本金 200
- (借) 資本金 200 / (貸) 損益 200
- (借) 損益 800 / (貸) 資本金 800
答えを見る
【A2】1. (借) 損益 200 / (貸) 資本金 200
解説:「損益」勘定は、収益(貸方 1,000)が費用(借方 800)より多いので、「貸方残高 200」になっています。これをゼロにするために「借方」に「損益 200」と書きます。相手科目は「資本金」です。
これで、第5部「財務諸表の作成」が完了しました。
簿記の基本的な流れはすべてマスターしたことになります!
次回からの第6部「合格を掴む!試験特有の論点と対策」では、これまでの流れとは少し異なる、簿記3級試験でよく問われる「特殊な論点」をピンポイントで学習していきます。
まずは、決算作業を効率化するための集計表、「精算表」の作り方について学びます!お楽しみに!

