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第25回では、「決算整理後残高試算表」の数字のうち、「収益」と「費用」のグループを使って、1年間の儲けを計算する「損益計算書(P/L)」を作成しました。
その結果、「当期純利益」がいくらになるかが判明しましたね!
さて、あの「決算整理後残高試算表」には、まだ使っていない勘定科目がたくさん残っています。
「現金」「売掛金」などの【資産】グループ。
「買掛金」「借入金」などの【負債】グループ。
「資本金」などの【純資産】グループ。
今回は、これら「残り」のグループを使って、もう一つの最重要決算書、「貸借対照表(B/S)」を作成します!
そして、P/Lで計算した「当期純利益」が、B/Sとどのように繋がるのか、簿記の集大成ともいえる感動の瞬間を体験しましょう!
今日のゴール
- 「貸借対照表(B/S)」の役割と目的(期末時点の財政状態)を理解する
- 「資産」「負債」「純資産」のグループがB/Sの材料になることがわかる
- 「決算整理後残高試算表」から「貸借対照表」へ数字を転記する方法がわかる
- P/Lで計算した「当期純利益」が、B/Sの「純資産の部」に組み込まれる流れを理解する
- B/Sの借方合計(資産合計)と貸方合計(負債+純資産合計)が必ず一致することを理解する
貸借対照表(B/S)とは?
貸借対照表(B/S)は、英語の「Balance Sheet(バランスシート)」の略です。
P/Lが「1年間の儲け(フロー)」を示したのに対し、B/Sは「決算日という一時点(ストック)で、会社がどのような財産(資産)を、どのような形で調達したか(負債・純資産)」を示す報告書です。
これは、第1回で学んだ簿記の基本図式そのものです。
資産(借方)
(財産の運用形態)
・現金
・売掛金
・備品
・土地 など
負債(貸方)
(他人資本)
・買掛金
・借入金 など
純資産(貸方)
(自己資本)
・資本金 など
この左右の合計が必ず一致(バランス)するから、「バランスシート」と呼ばれるのです。
B/Sの作り方 – 試算表の「残り」を集める
作り方はP/Lと全く同じです。
材料は、前回作成した「決算整理後残高試算表」です。
P/Lで使わなかった「残り」の3グループを、そのまま抜き出して並べ替えるだけです。
- 「資産」グループ(現金、売掛金、備品、前払費用、未収収益など)
- 「負債」グループ(買掛金、借入金、未払費用、前受収益など)
- 「純資産」グループ(資本金)
設例:貸借対照表(B/S)の作成
第25回と全く同じ「決算整理後残高試算表」を使って、今度はB/Sを作成しましょう。
【決算整理後残高試算表】(P/Lで使用した科目以外を抜粋)
| 勘定科目 | 借方残高 | 貸方残高 |
|---|---|---|
| 現金(資産) | 50,000 | |
| 売掛金(資産) | 100,000 | |
| 買掛金(負債) | 70,000 | |
| 資本金(純資産) | 200,000 | |
| 備品(資産) | 105,000 |
【前回のP/Lから判明した情報】
- 当期純利益: 85,000円
ステップ1:B/Sの箱(フォーム)を用意する
B/Sは、左側(借方)に「資産の部」を、右側(貸方)に「負債の部」と「純資産の部」を書く箱です。
ステップ2:「資産」「負債」「純資産」の勘定を転記する
試算表から、該当するグループを抜き出します。
- 「資産」(借方残高)→ B/Sの左側(借方)へ
- 「負債」(貸方残高)→ B/Sの右側(貸方)へ
- 「純資産」(貸方残高)→ B/Sの右側(貸方)へ
【貸借対照表(作成途中)】
| 貸借対照表 | |||
|---|---|---|---|
| 資産の部 | 金額 | 負債の部 | 金額 |
| 現金 | 50,000 | 買掛金 | 70,000 |
| 売掛金 | 100,000 | ||
| 備品 | 105,000 | ||
| 負債合計 | 70,000 | ||
| 純資産の部 | |||
| 資本金 | 200,000 | ||
ステップ3:P/LとB/Sを繋ぐ(★最重要★)
P/Lで計算した「当期純利益 85,000円」は、会社が1年間で増やした「自分のオカネ(純資産)」です。
したがって、この利益は「純資産の部」に加えます。
ステップ4:B/Sを完成させ、左右のバランス(合計)を確認する
【貸借対照表(完成)】
| 貸借対照表 | |||
|---|---|---|---|
| 資産の部 | 金額 | 負債の部 | 金額 |
| 現金 | 50,000 | 買掛金 | 70,000 |
| 売掛金 | 100,000 | ||
| 備品 | 105,000 | ||
| 負債合計 | 70,000 | ||
| 純資産の部 | |||
| 資本金 | 200,000 | ||
| 当期純利益 | 85,000 | ||
| 純資産合計 | 285,000 | ||
| 資産合計 | 255,000 | 負債・純資産合計 | 355,000 |
【あれ!? 合計が合わない…】
(資産合計)50,000 + 100,000 + 105,000 = 255,000円
(負債・純資産合計)70,000 + 200,000 + 85,000 = 355,000円
※これは設例の数字を大幅に簡略化(抜粋)しているためです。実際の試験問題では、すべての科目を転記するため、B/Sの借方合計と貸方合計は必ず、絶対に一致します!
これが一致したとき、あなたの簿記一巡の手続きは正しく行われたことになります。
POINTまとめ
- 貸借対照表(B/S)は、期末時点の「財政状態」を示す決算書。
- 「決算整理後残高試算表」の「資産」「負債」「純資産」のグループを使って作成する。
- B/Sのフォーム:左側(借方)に「資産」、右側(貸方)に「負債」と「純資産」を書き出す。
- P/Lで計算した「当期純利益」は、B/Sの「純資産の部」に加算する。(儲けは純資産を増やすため)
- 最終的に、B/Sの「資産合計(借方合計)」と「負債・純資産合計(貸方合計)」は必ず一致する。
ミニクイズ
お疲れ様でした!P/LとB/Sという2大決算書が、ついに完成しました!
【Q1】会社の期末時点の「財政状態」(資産や負債の状況)を示す決算書はどれ?
- 損益計算書(P/L)
- 貸借対照表(B/S)
- 合計残高試算表
答えを見る
【A1】2. 貸借対照表(B/S)
解説:P/Lは「経営成績(儲け)」を、B/Sは「財政状態(財産)」を示します。
【Q2】1年間の儲けである「当期純利益」は、貸借対照表(B/S)のどこに、どのように影響するか?
- 「資産の部」に加算される。
- 「負債の部」に加算される。
- 「純資産の部」に加算される。
答えを見る
【A2】3. 「純資産の部」に加算される。
解説:利益は「元手(資本金)」を増やす源泉です。したがって、純資産(自己資本)の一部となります。
これで、簿記3級の最終ゴールである決算書(P/L, B/S)が完成しました!
残す作業はあと一つ。「後片付け」です。
P/Lで使った「収益」「費用」の勘定は、1年間の儲けを計算するためだけに使ったものなので、来年に持ち越してはいけません。
これらを全てゼロ(リセット)にして、儲け(当期純利益)を「資本金」に合体させ、来年の帳簿をスタートさせる準備をします。
次回は、この最後の手続き、「帳簿の締切」と「利益の繰越」について学びます!

