こんにちは!「簿記3級合格へ導く!無料Web講座」へようこそ。
第4部(第16回〜第23回)、本当にお疲れ様でした!「売上原価の算定(しーくり、くりしー)」「貸倒引当金」「減価償却」、そして4つの「経過勘定(繰延べ・見越し)」という、簿記3級のラスボスとも言える「決算整理仕訳」をすべて学び終えました。
さて、思い出してください。私たちが第3部(第15回)で完成させた試算表は、「決算整理前残高試算表」、つまり「未完成」な試算表でした。
今回から始まる第5部「財務諸表の作成」では、いよいよ最終ゴールである「会社の成績表」を作成します!
その第一歩として、まずは「決算整理前残高試算表」に、今学んだばかりの「決算整理仕訳」をすべて反映させ、「完成版」の試算表を作成します。
それが、「決算整理後残高試算表」です!
今日のゴール
- 「決算整理前」と「決算整理後」の試算表の違いを理解する
- 「決算整理後残高試算表」が、決算書の「元ネタ」になることを理解する
- 「決算整理前残高試算表」に「決算整理仕訳」を反映させて、「決算整理後残高試算表」を作成する流れがわかる
「決算整理後残高試算表」とは?
「決算整理後残高試算表」(Adjusted Trial Balance, 略してA.T/B)とは、その名の通り、決算整理仕訳のすべてを反映させた後の、最終的な残高試算表のことです。
この試算表に載っている数字こそが、会社の「正しい成績(発生主義に基づいた数字)」であり、この試算表の数字をそのまま転記することで、次回の「損益計算書(P/L)」と「貸借対照表(B/S)」が完成します。
イラスト解説:試算表の進化
私たちが作ってきた試算表は、このように進化していきます。
試算表の作成プロセス
① 決算整理前残高試算表
(第15回で作成。未完成)
+
② 決算整理仕訳
(第16回~第23回で学習)
⬇
③ 決算整理後残高試算表
(=完成版の試算表)
★今回学ぶのはココ!★
⬇
④ 損益計算書・貸借対照表
(=最終ゴール!次回から)
「決算整理後残高試算表」の作り方
作り方はとてもシンプルです。第13回で学んだ「転記」作業とまったく同じです。
- 「決算整理前残高試算表」の数字を、各T勘定(総勘定元帳)の「整理前残高」として書き出す。
- 「決算整理仕訳」を、1本ずつT勘定に「転記」していく。
- すべての転記が終わったら、各T勘定の「最終残高」を計算する。
- その「最終残高」を一覧表にまとめたものが、「決算整理後残高試算表」です!
そして、もちろん「決算整理後残高試算表」も、借方合計と貸方合計は必ず一致します!
設例で見てみよう!
簡単な例で、試算表が「進化」する様子を見てみましょう。
【① 決算整理前残高試算表(一部)】
| 勘定科目 | 借方残高 | 貸方残高 |
|---|---|---|
| 備品 | 100,000 | |
| 支払家賃 | 120,000 | |
| (その他…) | … | … |
【② 決算整理仕訳】
- 減価償却を行う。備品(耐用年数5年、残存価額ゼロ、定額法)。
→ (100,000円 ÷ 5年) = 20,000円
(借)減価償却費 20,000 / (貸)減価償却累計額 20,000 - 支払家賃のうち、10,000円は翌期分であった(費用の繰延べ)。
(借)前払費用 10,000 / (貸)支払家賃 10,000
【T勘定での集計】
| 支払家賃 | |
|---|---|
| (整理前) 120,000 | (整) 10,000 |
| 最終残高: 110,000 (借方) | |
| 減価償却費 | |
|---|---|
| (整) 20,000 | |
| 最終残高: 20,000 (借方) | |
| 減価償却累計額 | |
|---|---|
| (整) 20,000 | |
| 最終残高: 20,000 (貸方) | |
| 前払費用 | |
|---|---|
| (整) 10,000 | |
| 最終残高: 10,000 (借方) | |
【③ 決算整理後残高試算表(一部)】
| 勘定科目 | 借方残高 | 貸方残高 |
|---|---|---|
| 備品 | 100,000 | |
| 減価償却累計額 | 20,000 | |
| 前払費用 | 10,000 | |
| 支払家賃 | 110,000 | |
| 減価償却費 | 20,000 | |
| (その他…) | … | … |
→ このように、「支払家賃」の残高が 120,000円 から 110,000円 に修正され、決算整理で新しく登場した勘定科目(赤字)が追加されました。
もちろん、この最終版の試算表も、借方合計と貸方合計は必ず一致します!
POINTまとめ
- 決算整理仕訳をすべて反映させた後の試算表を「決算整理後残高試算表」という。
- 「決算整理前残高試算表」の残高に、「決算整理仕訳」を転記(加算・減算)して作成する。
- 「決算整理後残高試算表」は、会社の「正しい成績」が反映された「完成版」の試算表である。
- この「決算整理後残高試算表」の数字を使い、「損益計算書」と「貸借対照表」を作成する。
- 当然、この試算表も借方合計と貸方合計は必ず一致する。
ミニクイズ
お疲れ様でした!ついに、決算書を作るための「最終データ」が手に入りました。クイズで確認しましょう。
【Q1】「決算整理前残高試算表」に「決算整理仕訳」を反映させて作成する、最終的な試算表を何というか?
- 合計試算表
- 決算整理後残高試算表
- 繰越試算表
答えを見る
【A1】2. 決算整理後残高試算表
解説:その名の通り、「決算整理」の「後」の「残高試算表」です。
【Q2】「決算整理後残高試算表」の数字を使って、次に作成するものは何か?
- 仕訳帳
- 総勘定元帳
- 損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)
答えを見る
【A2】3. 損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)
解説:この「完成版」の試算表が、最終ゴールである財務諸表(決算書)の直接の元データとなります。
ついに、決算書を作るための「設計図」が完成しました!
「決算整理後残高試算表」という最強のリストを手に入れた今、やることは一つです。
次回は、このリストの数字を、「収益・費用のグループ」と「資産・負債・純資産のグループ」に振り分ける作業を行います。
そうです、いよいよ「損益計算書(P/L)」の作り方を学びます!1年間の儲けが、ついに明らかになります!お楽しみに!

