簿記3級無料講座 第23回:今年の収益が未収!「収益の見越し」の考え方と仕訳

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第22回では、「収益の繰延べ」として、受け取ったお金(収益)のうち「来年分」を取り除く(前受収益)処理を学びました。これは「前受け」のパターンでしたね。

いよいよ決算整理編もこれがラストです!今回は、第21回で学んだ「費用の見越し」(後払い)の、ちょうど「収益」バージョンです。

「サービスは当期(今年)に提供した。でも、お金をもらうのは翌期(来年)だ」…というケースです。
例えば、銀行にお金を貸していて、利息は1年後にまとめて受け取る契約の場合。
簿記の超重要ルール「発生主義」では、お金をまだもらっていなくても、当期中にお金を貸していた期間分の利息は「当期の収益」として計上しなければなりません。

今回は、このように「当期の収益」として計上すべき未回収分を認識する、「収益の見越し」の仕訳をマスターしましょう!

今日のゴール

  • 「収益の見越し」がなぜ必要なのか(発生主義)を理解する
  • 新しい勘定科目「未収収益」(資産)の役割がわかる
  • 当期に発生した未収分の収益を「月割計算」できる
  • 決算整理仕訳と、翌期首の「再振替仕訳」という一連の流れをマスターする

「収益の見越し」とは?

「収益の見越し」とは、当期にすでにサービスは提供している(=収益は発生している)にもかかわらず、入金日がまだ到来していないため、当期の収益として計上されていないものを、決算で正しく計上する手続きです。

当期のP/L(損益計算書)に、「当期に発生した収益」を正しく載せるために行います。

代表的な例は以下の通りです。

  • 未収利息:貸付金の利息を、元本回収時にまとめて後受けする
  • 未収家賃:当月分の家賃を、翌月に後受けする契約

「未収収益」は「資産」

この決算整理仕訳で使う勘定科目が「未収収益」です。

「当期分のサービスを提供したのに、まだ受け取っていない」ということは、会社にとって「後で受け取る権利」があることを意味します。
したがって、「未収収益」は「資産」のグループになります。

「未収入金」との違いは?

第12回で「未収入金」を学びました。どちらも「資産」ですが、以下のように使い分けます。

  • 未収入金:商品「以外」のもので、すでに請求書を送るなど、受け取る権利が「確定」している後受け。(例:備品の売却代金)
  • 未収収益:家賃や利息のように「継続的なサービス」で、決算日時点ではまだ入金日が来ていないものを、決算整理で「見越して」計上するもの。

決算整理で「時間の経過」に伴う未収分を計上する時は「未収収益」を使う、と覚えておきましょう。

イラスト解説:収益を当期に「見越す」

決算日が3月31日の会社が、当期の10月1日に100万円を貸し付け(期間1年)、利息は1年後にまとめて受け取るケースで見てみましょう。

収益の期間(10/1〜翌9/30)

【当期】 (4/1〜3/31)
【翌期】 (4/1〜)
当期分 (6ヶ月)
翌期分 (6ヶ月)

↑ 10/1からサービス(お金を貸す)を提供開始

【決算整理の作業】
3月31日の決算では、お金はまだ1円も受け取っていません。
しかし、「当期分」の6ヶ月(10, 11, 12, 1, 2, 3月)は、サービス(お金を貸す)を提供しています。
そこで、入金がまだでも、この6ヶ月分の利息を「当期の収益」として計上(見越し計上)します。

「収益の見越し」の仕訳(3ステップ)

この流れも、「①期中」「②決算整理時」「③翌期首」の3ステップで見ていきましょう。

【設例】
決算日は3月31日。当期の10月1日に1,000,000円を貸し付けた(期間1年)。利息(年率3%)は、1年後の翌期9月30日に元本とともに一括で受け取る契約である。

① 期中(10/1~3/30)

利息の入金はまだ発生しないため、利息に関する仕訳は「なし」。

② 期末(3/31):決算整理仕訳(★これが見越し★)

【計算】
・1年分の利息: 1,000,000円 × 3% = 30,000円/年
・当期に発生した利息(10月1日~3月31日):
サービスを提供した月は「10, 11, 12, 1, 2, 3」の6ヶ月間
当期分の収益: 30,000円 ×(6ヶ月 ÷ 12ヶ月) = 15,000円 ← この金額を見越す

【仕訳】
当期分の収益(受取利息)を「発生」させ(貸方)、その分を「未収収益」(資産)として計上します。

借方 金額 貸方 金額
未収収益 15,000 受取利息 15,000

→ この結果、「受取利息」15,000円が当期のP/Lに計上されます。
「未収収益」15,000円がB/Sに資産として計上されます。

③ 翌期首(4/1):再振替仕訳

「繰延べ」や「費用の見越し」の時と全く同じです。
翌期の初日(4月1日)になったら、決算整理仕訳の「真逆の仕訳」(再振替仕訳)を行います。

【仕訳】
決算で行った「見越し」を、いったんリセット(振り戻し)します。

借方 金額 貸方 金額
受取利息 15,000 未収収益 15,000

【なぜこれが必要?】
翌期の9月30日に、利息30,000円(1年分)を全額受け取ります。
その時の仕訳は(借)現金 30,000 / (貸)受取利息 30,000 です。
もし再振替仕訳をしないと、翌期の収益が30,000円になってしまいます(多すぎる)。
再振替仕訳(借方15,000)をしておくことで、入金時の仕訳(貸方30,000)と相殺され、翌期の受取利息は 30,000 – 15,000 = 15,000円(翌期分)となり、正しく計算されます。

POINTまとめ

  • 収益の見越しとは、当期にサービスを提供したが、「未回収」の収益を当期の収益として計上すること。
  • 使う勘定科目は「未収収益」で、「資産」のグループ。
  • 計算は「月割計算」で、当期分のサービス(まだ受け取っていない期間)の金額を計算する。
  • 決算整理仕訳(期末)
    (借)未収収益 / (貸)受取利息など  [←当期分の未収額]
  • 再振替仕訳(翌期首)
    (借)受取利息など / (貸)未収収益  [←決算整理仕訳と逆]

ミニクイズ

お疲れ様でした!これで「繰延べ」(前払い・前受け)と「見越し」(後払い・後受け)の4パターン、決算整理の「経過勘定」が全て終了です!

【Q1】収益の見越しで使う「未収収益」は、どのグループの勘定科目?

  1. 資産
  2. 負債
  3. 収益
答えを見る

【A1】1. 資産

解説:「後で(利息などを)受け取る権利」を表すため、「資産」となります。

【Q2】決算日(3月31日)になった。当月分の受取家賃50,000円は、翌月5日に受け取る契約になっている。決算整理仕訳として正しいものはどれ?

  1. (借) 未収収益 50,000 / (貸) 受取家賃 50,000
  2. (借) 未収入金 50,000 / (貸) 受取家賃 50,000
  3. (借) 受取家賃 50,000 / (貸) 未収収益 50,000
答えを見る

【A2】1. (借) 未収収益 50,000 / (貸) 受取家賃 50,000

解説:3月分のサービス(場所を貸す)は当期に提供しています。これを「見越し」て計上します。収益(受取家賃)を貸方に計上し、相手科目は「未収収益」(資産)を使います。

長かった第4部「決算整理編」は、これで全て終了です!
「売上原価の算定(しーくり、くりしー)」「貸倒引当金」「減価償却」、そして4つの「経過勘定(繰延べ・見越し)」を学びました。

日々の取引を集計した「決算整理前残高試算表」に、これら全ての「決算整理仕訳」を反映させることで、ついに「決算整理後残高試算表」、つまり会社の正しい成績を示す「完成版の試算表」が出来上がります。

次回からの第5部「財務諸表の作成」では、この「決算整理後残高試算表」を使って、いよいよ最終ゴールである「損益計算書(P/L)」「貸借対照表(B/S)」を作成していきます!ゴールはもうすぐです!

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