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第18回では、将来の売掛金(債権)の貸倒れに備える「貸倒引当金」の計算と仕訳を学びました。(期末のゴール額)から(現在の残高)を引く「差額補充法」がポイントでしたね。
さて、決算整理は「会社の正しい成績」を出すための作業です。
今回は、会社が長期間使う「モノ」=「固定資産」(建物、備品、車両など)に注目します。
第8回で、これらの資産は購入時に全額を費用とせず、使う期間(耐用年数)にわたって少しずつ費用化する、という「減価償却」の基本を学びました。
あの時は「なぜ必要か」という概念的な話が中心でしたが、今回は決算整理の場で、実際にどうやって1年分の費用を計算し、仕訳するのかを徹底的にマスターします!
特に、年度の途中で買った場合の「月割計算」は、試験で超頻出の論点ですよ!
今日のゴール
- 「減価償却」の目的(費用の配分)と仕訳を復習する
- 「定額法」による減価償却費の計算式を使いこなせる
- 【重要】期中に購入した固定資産の「月割計算」ができる
- 「減価償却累計額」が貸借対照表(B/S)でどのように表示されるか理解する
復習:「減価償却」のキホン
なぜ減価償却が必要だったか、思い出してみましょう。
例えば100万円の車(車両運搬具)を買い、5年間使うとします。
もし買った年に100万円すべてを費用にしたら、その年は大赤字、でも2年目~5年目は車をタダで使えて利益が出すぎ…となってしまい、会社の正しい成績がわかりません。
そこで、「100万円というコストを、活躍する5年間に均等に配分(費用化)しよう!」と考えます。これが減価償却です。
そして、決算整理で行う仕訳は、この形でしたね。
【減価償却の決算整理仕訳】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | (1年分の費用) | 減価償却累計額 | (1年分の費用) |
- 減価償却費(費用):今期の費用としてP/Lへ
- 減価償却累計額(資産のマイナス):固定資産の間接的なマイナス項目としてB/Sへ
※土地は時間が経っても価値が減らない(老朽化しない)ため、減価償却は行いません!
計算方法:「定額法」と「月割計算」
簿記3級で使う計算方法は「定額法」です。毎年「一定額」を費用化する方法です。
【基本の計算式】
- 取得原価:購入代金 + 付随費用(手数料など)
- 残存価額:耐用年数が終わったときの処分見込額(「ゼロ」か「取得原価の10%」が一般的)
- 耐用年数:その資産が使えると見積もられる年数
【重要】期中に購入した場合の「月割計算」
問題は、その固定資産を「期中」(年度の途中)で購入した場合です。
例えば、決算が3月31日で、10月1日に車を買ったとします。
この場合、今期は「10月1日~翌年3月31日」までの6ヶ月間しか車を使っていません。
それなのに、1年分の減価償却費を計上するのはおかしいですよね。
そこで、使った月数分だけ費用を計上する「月割計算」を行います。
【月割計算の式】
設例でマスター!減価償却の仕訳
設例①:期首に購入した(1年分を計上)
【設例1】決算日(3月31日)になった。当期首(4月1日)に購入した備品(取得原価 100,000円、耐用年数 5年、残存価額 ゼロ)について、定額法で減価償却を行う。
【考え方】
1. 1年分の減価償却費を計算
(100,000円 - 0円) ÷ 5年 = 20,000円
2. 使用月数の確認
4月1日~3月31日まで、まるまる12ヶ月間使用しています。
→ 20,000円 ×(12ヶ月 ÷ 12ヶ月) = 20,000円
【決算整理仕訳】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 20,000 | 減価償却累計額 | 20,000 |
設例②:期中に購入した(月割計算)
【設例2】決算日(3月31日)になった。当期の10月1日に購入した車両(取得原価 1,200,000円、耐用年数 6年、残存価額 取得原価の10%)について、定額法で減価償却を行う。
【考え方】
1. 1年分の減価償却費を計算
・取得原価:1,200,000円
・残存価額:1,200,000円 × 10% = 120,000円
・(1,200,000円 - 120,000円) ÷ 6年 = 1,080,000円 ÷ 6年 = 180,000円(/年)
2. 使用月数の確認(月割計算)
10月1日に購入し、決算は3月31日。
使用した月は「10, 11, 12, 1, 2, 3」の6ヶ月間です。
→ 180,000円 ×(6ヶ月 ÷ 12ヶ月) = 90,000円
【決算整理仕訳】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 90,000 | 車両運搬具減価償却累計額 | 90,000 |
※「減価償却累計額」は、「備品減価償却累計額」や「建物減価償却累計額」のように、どの固定資産のものか分かるように名前をつけて区別するのが一般的です。
T勘定とB/Sでの表示
この仕訳をT勘定に転記すると、「減価償却累計額」の残高(貸方)がどんどん積み上がっていきます。
【例】設例1の備品を3年間使った場合
| 備品減価償却累計額(資産のマイナス) | |
|---|---|
| 借方 | 貸方 |
| 1年目の決算: 20,000 2年目の決算: 20,000 3年目の決算: 20,000 |
|
| 3年目の決算後残高: 60,000円(貸方) | |
この結果、3年目の決算書のB/S(貸借対照表)では、この備品の価値は以下のように表示されます。
貸借対照表(一部)
【資産の部】
- 備品
- 100,000
- (備品)減価償却累計額
- △ 60,000
- 40,000
「10万円で買った備品だけど、今までの価値の減少(累計額)が6万円だから、今の価値(帳簿価額)は4万円だね」ということが一目でわかります。
POINTまとめ
- 減価償却は、固定資産の取得原価を、耐用年数にわたって費用配分する手続き。
- 決算整理仕訳は、(借)減価償却費 / (貸)減価償却累計額 。
- 計算方法は「定額法」:(取得原価 - 残存価額) ÷ 耐用年数
- 期中に購入した資産は、「月割計算」(× 使用月数/12ヶ月)を忘れないこと!
- 「土地」は減価償却しない。
- 「減価償却累計額」は、B/Sでその資産からマイナスする形で表示される。
ミニクイズ
お疲れ様でした!「減価償却」は計算さえ間違えなければ得点源になります。特に月割計算を復習しましょう。
【Q1】次のうち、減価償却の対象に「ならない」固定資産はどれ?
- 建物
- 備品
- 土地
答えを見る
【A1】3. 土地
解説:土地は、使用によって価値が減少(老朽化)するとは考えられていないため、減価償却の対象外です。
【Q2】決算日(3月31日)にあたり、当期の7月1日に購入した備品(取得原価 240,000円、耐用年数 8年、残存価額 ゼロ)の減価償却を行う。当期の「減価償却費」はいくら?
- 22,500円
- 30,000円
- 240,000円
答えを見る
【A2】1. 22,500円
解説:
①1年分の費用 = (240,000円 – 0円) ÷ 8年 = 30,000円
②使用月数 = 7月1日~3月31日 →「7, 8, 9, 10, 11, 12, 1, 2, 3」の9ヶ月
③月割計算 = 30,000円 × (9ヶ月 / 12ヶ月) = 22,500円
これで「売上原価」「貸倒引当金」「減価償却」という、決算整理のビッグ3が終わりました!
残るは、決算整理のもう一つの山場、「経過勘定」と呼ばれるグループです。
「まだ払ってないけど、今年の費用だよね?」「もうお金は貰ったけど、来年の売上だよね?」といった、お金の動きと期間のズレを調整する、簿記の「発生主義」のど真ん中の論点です。
次回は、その第一弾、「費用の繰延べ」について学びます!お楽しみに!

