簿記3級無料講座 第10回:手数料や利息の受け取り|様々な「収益」の仕訳

こんにちは!「簿記3級合格へ導く!無料Web講座」へようこそ。

第9回では、「給料」や「支払家賃」など、会社を運営するために必要な様々な「費用」の仕訳(借方:〇〇費)を学びましたね。

今回はその逆、つまり会社の「儲け」に関するお話です。会社の主な儲け(収益)は、もちろん商品を売ったときの「売上」です。しかし、会社にはそれ以外にも、銀行から「利息」をもらったり、仲介サービスで「手数料」をもらったりと、色々な収益が入ってきます。

今回は、この「売上」以外の様々な「収益」の仕訳をまとめてマスターしましょう!ルールは「費用」の反対で、とてもシンプルです。

今日のゴール

  • 「収益」の基本的な仕訳ルールを再確認する
  • 「受取手数料」を受け取ったときの仕訳ができる
  • 「受取利息」を受け取ったときの仕訳ができる
  • 本業以外の収益が未回収の場合に使う「未収金」を理解し、仕訳ができる

「収益」の基本的なルール(復習)

第2回で学んだ「5つのグループ」のルールを思い出してください。「収益」は、会社の利益を計算するためのプラス要素でした。

収益の仕訳ルールはただ一つです。

「収益」が発生したら、貸方(右側)に記入する。

(借)現金・預金など(資産の増加) / (貸)〇〇収益(収益)

今回の学習のポイントは、右側(貸方)に来る「〇〇収益」という勘定科目のレパートリーを増やすことです。左側(借方)は、お金を受け取る「現金」や「普通預金」など(資産の増加)が来ることがほとんどです。

「売上」以外の主な収益科目

簿記3級では、「売上」のほかに、主に以下の3つの収益科目を覚える必要があります。

  • 受取手数料
    • 仲介や紹介など、サービスを提供した対価として受け取る手数料。
  • 受取利息
    • 銀行の預金(普通預金・定期預金)から発生する利息や、他人にお金を貸した場合(貸付金)に受け取る利息。
  • 雑益
    • 本業とは関係ない、少額で、他のどの科目にも当てはまらないような収益。(雑収入と呼ぶこともあります)

様々な収益の仕訳 – 設例

それでは、具体的な例題を見ていきましょう。どれも「収益」の発生なので、貸方(右側)が「〇〇収益」になる点に注目してください。

設例①:手数料を受け取った

【設例1】取引の仲介を行い、手数料として5,000円を現金で受け取った。

【考え方】

  • 「現金」(資産)が5,000円増えた → 借方(左)に「現金 5,000」
  • 「受取手数料」(収益)が5,000円発生した → 貸方(右)に「受取手数料 5,000」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
現金 5,000 受取手数料 5,000

設例②:預金の利息を受け取った

【設例2】普通預金口座に、利息200円が振り込まれた。

【考え方】

  • 「普通預金」(資産)が200円増えた → 借方(左)に「普通預金 200」
  • 「受取利息」(収益)が200円発生した → 貸方(右)に「受取利息 200」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
普通預金 200 受取利息 200

※(参考)実際は利息から税金が引かれます(源泉徴収)が、簿記3級ではこの形をまず覚えてください。

設例③:雑益の発生

【設例3】作業で出た不要な段ボールや梱包材(くず)を売却し、代金1,000円を現金で受け取った。

【考え方】

  • 「現金」(資産)が1,000円増えた → 借方(左)に「現金 1,000」
  • これは本業の「売上」ではない、少額な収益なので「雑益」を使います。
  • 「雑益」(収益)が1,000円発生した → 貸方(右)に「雑益 1,000」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
現金 1,000 雑益 1,000

【重要】収益が「未回収」の場合

第9回で、「商品以外の後払い」には「未払金」(負債)を使うと学びました。
(商品(仕入)の後払い → 買掛金)
(費用や固定資産の後払い → 未払金)

これと全く同じように、収益側にも「未回収」のパターンがあります。

本業の「売上」以外の収益(手数料や利息など)が未回収(後で受け取る)の場合、「売掛金」は使いません。

この場合は「未収金」という勘定科目(資産)を使います。

<使い分けのルール>

  • 商品を掛けで売った → 売掛金(資産)
  • 商品以外(手数料・利息など)を掛けで受け取る → 未収金(資産)

※「未収金」は「未収収益」(決算で登場)と似ていますが、ここではまず「未収金」を覚えてください。

設例④:収益が未回収(掛け)

【設例4】仲介サービス(手数料30,000円)を提供したが、代金は来月受け取ることになった。

【考え方】

  • サービスは提供したので、「受取手数料」(収益)が今月発生した → 貸方(右)に「受取手数料 30,000」
  • 商品以外の「後で受け取る権利」なので、「未収金」(資産)が30,000円増えた → 借方(左)に「未収金 30,000」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
未収金 30,000 受取手数料 30,000

※借方を「売掛金」にしないよう、絶対に注意してください!

設例⑤:未収金を回収した

【設例5】翌月になり、設例4の未収金30,000円が普通預金に振り込まれた。

【考え方】

  • 「普通預金」(資産)が30,000円増えた → 借方(左)に「普通預金 30,000」
  • 「未収金」(資産)が30,000円減った(回収された) → 貸方(右)に「未収金 30,000」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
普通預金 30,000 未収金 30,000

POINTまとめ

  • 「収益」が発生したら、必ず貸方(右側)に記入する。
  • 「売上」以外の主な収益科目として、「受取手数料」「受取利息」「雑益」を覚える。
  • 収益を受け取ったら(資産が増えたら)、借方(左側)に「現金」や「普通預金」を記入する。
  • 商品(売上)以外の収益を後で受け取ることにしたら、「未収金」(資産)を借方(左側)に記入する。
  • 「売掛金」は、商品を売り上げた時の後受けにしか使わない!

ミニクイズ

お疲れ様でした!費用の反対(収益)のルール、しっかり掴めましたか?クイズで確認してみましょう。

【Q1】銀行の普通預金口座に、利息が500円振り込まれた。このときの仕訳として正しいものはどれ?

  1. (借) 受取利息 500 / (貸) 普通預金 500
  2. (借) 普通預金 500 / (貸) 売上 500
  3. (借) 普通預金 500 / (貸) 受取利息 500
答えを見る

【A1】3. (借) 普通預金 500 / (貸) 受取利息 500

解説:「普通預金」(資産)が増加したので借方(左)。「受取利息」(収益)が発生したので貸方(右)です。

【Q2】不動産の仲介を行い、手数料として100,000円を現金で受け取った。このときの仕訳として正しいものはどれ?

  1. (借) 現金 100,000 / (貸) 受取手数料 100,000
  2. (借) 現金 100,000 / (貸) 売上 100,000
  3. (借) 現金 100,000 / (貸) 雑益 100,000
答えを見る

【A2】1. (借) 現金 100,000 / (貸) 受取手数料 100,000

解説:仲介の対価は「受取手数料」(収益)です。「現金」(資産)が増加したので借方(左)、「受取手数料」(収益)が発生したので貸方(右)です。

【Q3】今月分の受取家賃(※)50,000円について、今月末に受け取る予定だったが、入金は来月になる旨の連絡があった。このときの仕訳として正しいものはどれ?
(※受取家賃も「収益」の一種です)

  1. (借) 売掛金 50,000 / (貸) 受取家賃 50,000
  2. (借) 未収金 50,000 / (貸) 受取家賃 50,000
  3. (仕訳なし)
答えを見る

【A3】2. (借) 未収金 50,000 / (貸) 受取家賃 50,000

解説:家賃は今月分の「収益」として発生しています(貸方)。しかし、受け取っていません。これは本業の「商品売買」ではないため、「売掛金」ではなく「未収金」(資産)を使って後で受け取る権利を計上します。

これで、日々の基本的な取引である「商品売買」「費用」「収益」のパターンを学びました。特に「買掛金/未払金」と「売掛金/未収金」の使い分けは、簿記3級試験の超重要ポイントです!

次回からは、これまでに学んだものに当てはまらない、少し特殊な取引を見ていきます。お金を貸したり、一時的に立て替えたり…といった処理を学びましょう。お楽しみに!

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