簿記3級無料講座 第4回:お金の動きを記録!「現金」「普通預金」「当座預金」の仕訳をマスター

こんにちは!「簿記3級合格へ導く!無料Web講座」へようこそ。

第3回では、簿記の基本ルールである「仕訳」と「勘定科目」について学びました。取引を「借方(左側)」と「貸方(右側)」に分け、適切な勘定科目を使って記録する、あのルールです。

今回はいよいよ、具体的な取引の記録に入っていきます。会社の活動で最も基本的かつ頻繁に動くもの、それは「お金」ですよね。

今回は、お金の代表的な勘定科目である「現金」「普通預金」「当座預金」の3つの仕訳方法を徹底的にマスターしていきましょう!

今日のゴール

  • 簿記における「現金」の範囲がわかる
  • 「現金」の入金・出金の仕訳ができる
  • 「普通預金」への預け入れ・引き出しの仕訳ができる
  • 「当座預金」と「小切手」の関係を理解し、仕訳ができる

「現金」の仕訳 – 簿記の世界の「現金」とは?

まずは「現金」です。これは皆さんお馴染みの、手元にある紙幣や硬貨のことですね。簿記の世界でも、もちろんこれらは「現金」として扱います。

ただし、簿記3級で注意が必要なのは、手元の紙幣・硬貨以外にも「現金」として扱うものがあるという点です。

簿記における「現金」の範囲

簿記では、以下のものを受け取った場合、勘定科目「現金」(資産のグループ)で処理します。

  1. 通貨(紙幣・硬貨): いわゆる「お金」です。
  2. 他人振出の小切手: 他社が振り出した小切手のこと。銀行に持っていけばすぐに換金できるため、「現金」と同じとみなします。
  3. 郵便為替証書: 郵便局が発行する、送金や支払いのための証書です。これもすぐに換金できます。
  4. 配当金領収証: 株式の配当金を受け取るための証書です。

初学者のうちは、「他人振出の小切手=現金」という点だけ、まずはしっかり押さえてください!

「現金」は「資産」のグループです。したがって、ルールは以下の通りです。

  • 現金が増えたら → 借方(左側)に「現金」
  • 現金が減ったら → 貸方(右側)に「現金」

設例①:現金を受け取った(入金)

【設例1】取引先A社に商品を10,000円で売り上げ、代金は現金で受け取った。

【考え方】

  • 「現金」(資産)が10,000円増えた → 借方(左)に「現金 10,000」
  • 「売上」(収益)が10,000円発生した → 貸方(右)に「売上 10,000」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
現金 10,000 売上 10,000

設例②:現金を支払った(出金)

【設例2】文房具代として500円を現金で支払った。

【考え方】

  • 「現金」(資産)が500円減った → 貸方(右)に「現金 500」
  • 「消耗品費」(費用)が500円発生した → 借方(左)に「消耗品費 500」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 500 現金 500

「預金」の仕訳 – 銀行との取引を記録しよう

次に、銀行口座のお金(預金)の処理です。簿記3級では主に「普通預金」と「当座預金」の2種類が登場します。

「普通預金」の仕訳

「普通預金」は、皆さんが普段利用している銀行口座とほぼ同じイメージです。利息が付き、自由に出し入れができます。

「普通預金」も「資産」のグループです。ルールは現金と同じです。

  • 普通預金が増えたら → 借方(左側)に「普通預金」
  • 普通預金が減ったら → 貸方(右側)に「普通預金」

設例③:普通預金口座に入金した

【設例3】手元の現金50,000円を、普通預金口座に預け入れた。

【考え方】

  • 「普通預金」(資産)が50,000円増えた → 借方(左)に「普通預金 50,000」
  • 「現金」(資産)が50,000円減った → 貸方(右)に「現金 50,000」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
普通預金 50,000 現金 50,000

※このように、資産グループの中でお金が移動する(現金が減って普通預金が増える)取引もよくあります。

設例④:普通預金口座から引き落とされた

【設例4】今月の電気代8,000円が、普通預金口座から引き落とされた。

【考え方】

  • 「普通預金」(資産)が8,000円減った → 貸方(右)に「普通預金 8,000」
  • 「水道光熱費」(費用)が8,000円発生した → 借方(左)に「水道光熱費 8,000」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
水道光熱費 8,000 普通預金 8,000

「当座預金」の仕訳 – 小切手との関係が重要!

「当座預金」は、主に「小切手」を使った支払いのために利用される口座です。普通預金と違って、通常は利息が付きません。

当座預金とは? 小切手とは?

会社が大きな金額を支払うとき、多額の現金を持ち歩くのは危険ですよね。そこで「小切手」という紙を使います。

<小切手の流れ(図解)>

当座預金と小切手の流れ

当社
(小切手を振り出す)

① 小切手で支払い

取引先
(小切手を受け取る)

② 銀行で換金

③ 口座から引落

銀行
(当社の当座預金口座から
取引先に代金を支払う)

このように、小切手を振り出す(発行する)と、後で当社の当座預金口座からお金が引き落とされます。そのため、簿記では「小切手を振り出した時」に「当座預金」(資産)が減ったものとして処理します。

設例⑤:当座預金に預け入れた

【設例5】手元の現金100,000円を、当座預金口座に預け入れた。

【考え方】

  • 「当座預金」(資産)が100,000円増えた → 借方(左)に「当座預金 100,000」
  • 「現金」(資産)が100,000円減った → 貸方(右)に「現金 100,000」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
当座預金 100,000 現金 100,000

設例⑥:小切手を振り出して支払った(最重要!)

【設例6】仕入先B社から商品30,000円を仕入れ、代金は小切手を振り出して支払った。

【考え方】

  • 「仕入」(費用)が30,000円発生した → 借方(左)に「仕入 30,000」
  • 小切手を振り出したので、「当座預金」(資産)が30,000円減った → 貸方(右)に「当座預金 30,000」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
仕入 30,000 当座預金 30,000

※「小切手」という勘定科目はありません! 当社が小切手を振り出したら「当座預金」の減少、と覚えてください。

設例⑦:他人振出の小切手を受け取った(最重要!)

さて、設例⑥は「当社が」小切手を振り出した(支払った)場合です。逆に、「他社が」振り出した小切手を「当社が」受け取った場合はどうなるでしょう?

これは、冒頭の「簿記における現金の範囲」で説明しましたね。

【設例7】取引先C社に商品を20,000円で売り上げ、代金としてC社振出の小切手を受け取った。

【考え方】

  • 他人(C社)振出の小切手は、すぐに換金できるので「現金」として扱います。
  • 「現金」(資産)が20,000円増えた → 借方(左)に「現金 20,000」
  • 「売上」(収益)が20,000円発生した → 貸方(右)に「売上 20,000」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
現金 20,000 売上 20,000

「当座預金」が増えるのではありません! 他人振出の小切手を受け取ったら「現金」の増加です。ここ、試験で狙われやすい超重要ポイントです!

複数の預金口座間の移動

最後に、自分の口座から自分の口座へお金を移す場合の仕訳も見ておきましょう。

設例⑧:普通預金から当座預金へ資金を移動した

【設例8】普通預金口座から100,000円を引き出し、ただちに当座預金口座へ預け入れた。

【考え方】

  • 「当座預金」(資産)が100,000円増えた → 借方(左)に「当座預金 100,000」
  • 「普通預金」(資産)が100,000円減った → 貸方(右)に「普通預金 100,000」

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
当座預金 100,000 普通預金 100,000

POINTまとめ

  • 「現金」「普通預金」「当座預金」はすべて「資産」のグループ。
  • 資産は、増えたら借方(左)、減ったら貸方(右)
  • 簿記上の「現金」には、通貨のほか「他人振出の小切手」なども含まれる。
  • 当社が小切手を振り出したら(支払ったら)、「当座預金」の減少として処理する。
  • 他社が振り出した小切手を受け取ったら、「現金」の増加として処理する。

ミニクイズ

お疲れ様でした!今回の内容が理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。

【Q1】取引先への買掛金(あとで払う約束のお金)50,000円を支払うため、小切手を振り出した。このときの貸方(右側)の勘定科目として正しいものはどれ?

  1. 現金
  2. 普通預金
  3. 当座預金
  4. 買掛金
答えを見る

【A1】3. 当座預金

解説:当社が「小切手を振り出した」場合、当社の「当座預金」口座からお金が減ることになります。したがって、貸方(右側)は「当座預金(資産の減少)」となります。(借方は「買掛金(負債の減少)」です)

【Q2】得意先から売掛金(あとでもらう約束のお金)30,000円の回収として、得意先が振り出した小切手を受け取った。このときの借方(左側)の勘定科目として正しいものはどれ?

  1. 現金
  2. 普通預金
  3. 当座預金
  4. 売掛金
答えを見る

【A2】1. 現金

解説:「他人(得意先)振出の小切手」を受け取った場合、それは簿記上「現金」として扱います。したがって、借方(左側)は「現金(資産の増加)」となります。(貸方は「売掛金(資産の減少)」です)

今回の内容は、簿記の仕訳の中でも基本中の基本であり、試験でも必ず問われる論点です。特に小切手の処理は混同しやすいので、「振り出したら当座預金」「受け取ったら現金」というルールを何度も復習してくださいね!

次回は、商品の売り買いに関する仕訳「三分法」について学びます。お楽しみに!

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